本当に「南京大虐殺」で約30万人の中国市民が虐殺されたのか? 虐殺否定する資料も存在

2025/08/10 更新: 2025/08/10

1937年、旧日本軍が南京を占領した際、約30万人の中国市民が虐殺されたとする「南京大虐殺」の言説は、戦後長く日本国内に広まり、学校教育などを通じて多くの人々に歴史的事実として受け止められてきた。 

日本政府は「非戦闘員の殺害や略奪があったことは否定できない」としつつも、犠牲者数については「確定困難」としている。だが国際社会では、この姿勢が中国側の主張を容認しているかのように映ることもある。 一方で、公的記録や当時の第三者による報道をたどると、広く知られる物語とは異なる記述や証言も存在している。 

2015年、中国が提出した「南京大虐殺文書」がユネスコ記憶遺産に登録された。日本政府は登録に反対し、その後も遺憾の意を表明したが、結果的に「国連機関が南京大虐殺を認定した」といった印象が広まった。 政府の公式見解は「加害行為は否定できないが規模は不明」というものだが、この曖昧さが国際的な議論で不利に働く場面もある。 実際のところ南京大虐殺には、学者が説明できない疑問点がいくつか上げられている。

 神谷宗幣参院議員は昨年4月、国会での質問(質問 118号)で、防衛庁(現・防衛省)防衛研究所戦史室が編纂した『戦史叢書 支那事変陸軍作戦〈一〉』の記述を参照し、一部の部隊で軍紀の乱れや不正行為があったが、それは法に則って処分された。 

さらに住民が戦闘に巻き込まれたり、敗残兵が住民に変装して潜伏していたりした文脈での殺傷はあったものの、軍が意図的・計画的に住民を殺害したという「虐殺」とは一線を画していると述べ、同資料では終戦後の南京軍事法廷が挙げた非戦闘員約1万2千人、避難民約5万7千人が虐殺されたという数字については「全く信じられない」と結論付けていることを質問の根拠として上げている。 

またSNS上では当時のニューヨーク・タイムズ紙の報道がリポストされ話題となっている。 1938年1月4日付のニューヨーク・タイムズ紙は、元中国軍将校が外国人立会いの下で南京での略奪を自白し、難民キャンプから女性を連れ出した後、日本兵の犯行に見せかけたと証言したことを報じている。 

この記事によると、南京での全ての非人道的行為が日本軍によるものだったという単純な構図には疑問が生じる。

 南京での戦闘により多くの犠牲が出たこと、一部日本兵による非行があったことは確かに記録されている。しかし、「30万人」という数字や、事件の性格については、資料ごとに差異が大きい。 近年、中国では「抗日戦争勝利80周年」記念事業の一環として、愛国映画『南京写真館』が公開された。

報道によれば、上映を見た子どもが「日本人を皆殺しにしたい」と泣き叫ぶ場面もあった。 しかしこうした描写は、歴史教育というよりも特定国民への敵意を強調する内容に見える。背景には、経済停滞や若者失業率の上昇といった国内問題が指摘され、国民の不満を外部に向ける効果があるとも言われている。 

神谷参院議員は国会での質問で「戦史叢書では、犠牲者数に関する疑義が示され、『その証拠を些細に検討すると、これらの数字は全く信じられない』と記述されている。この記述について、政府はどのような立場をとるか。また、「犠牲者数に関してはさまざまな議論があり、断定することは困難である」との政府見解に至った根拠と、その根拠資料は何か」と尋ねた。 

質問に対する政府の回答は個別の非行があったとの記述を繰り返すのみであった。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。
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