トランプ氏 ボルティモアの治安を批判 「必要なら軍隊を派遣」発言も

2025/08/27 更新: 2025/08/27

米国のドナルド・トランプ大統領は8月24日、メリーランド州を訪問するよう招待されたことについて、時期尚早だとして出席を拒否し、同州最大の都市ボルティモアの治安を厳しく批判した。さらに、必要があれば軍を派遣して「迅速に犯罪を一掃する」と警告した。

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「メリーランド州のウェス・ムーア州知事が、かなり挑発的な口調で私に『州内の街を一緒に歩こう』と誘ってきた。おそらく彼の言う街とは、犯罪が横行しているボルティモアのことだろう」と述べた。その上で、「州が犯罪を整理した後なら訪問してもよいが、もしムーア知事が助けを必要とするなら、ロサンゼルスでギャビン・ニューサム(カリフォルニア州知事)がやったように部隊を派遣できる。近隣のワシントンD.C.はすでにそうして犯罪を一掃した」と強調した。

さらに同氏は「わずか1週間でワシントンD.C.は犯罪も殺人もなくなった」と主張し、「ボルティモアも同様の状態になれば、自信を持ってムーア知事と街を歩いてみせよう」と語った。加えて「ボルティモアは犯罪・殺人率で全米ワースト4に位置づけられている。口先ではなく行動を起こせ、ウェス。そうすれば街で会おう」とも記した。

この発言は、ムーア州知事が先週トランプ氏に宛てた公開書簡に対する反応である。ムーア氏は書簡で、先に治安対策をめぐりトランプ氏から侮辱的な発言を受けたことを指摘し、「その理由を説明するとともに、メリーランド州を訪問されたい」と招待した。さらに、「就任から2年以上で州全体の殺人件数は20%減少し、ボルティモアも過去最低水準の殺人件数を記録しつつある」と説明し、国民警衛隊の治安投入は必要ではないと主張した。

トランプ氏は今月11日、犯罪増加やホームレス問題の深刻化を理由に、1973年制定の「コロンビア特別区自治法」に基づきワシントンD.C.の警察を一時的に連邦管理下に置き、国民警衛隊を投入する方針を打ち出していた。司法長官パム・ボンディ氏によれば、この措置により1週間足らずで300人以上の逮捕実績が出ており、治安は大きく改善したとされる。

一方、この強硬策に対しては民主党の州知事らから批判の声も上がっており、とりわけムーア州知事との間で激しい言葉の応酬が続いている。

李馨
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