米連邦地裁 トランプ政権によるハーバード資金凍結を無効と判断

2025/09/04 更新: 2025/09/05

東部マサチューセッツ州は9月3日、トランプ政権がハーバード大学への20億ドル超の資金を凍結しようとした措置は、憲法修正第1条に違反すると判断した。

判決を下したアリソン・バロウズ連邦地裁判事は、政府が資金を凍結した動機に疑問を示し、司法省が学内の反ユダヤ主義に関する調査後に出した複数の要求にハーバードが応じなかったことへの報復だった可能性を指摘した。
「政府によるハーバードへの攻撃は、反ユダヤ主義との闘いよりも、政府の教義を押し付けることに重点が置かれており、憲法修正第1条に違反するものだった」と判事は記した。

また「助成金打ち切りの影響を受けた研究と反ユダヤ主義の問題の間にはほとんど関連性がない」と述べ、政府は反ユダヤ主義を「煙幕」として利用したとの見方を示した。

今回の判決により、トランプ政権による巨額の連邦資金凍結命令は無効となり、今後新たに凍結を命じることも認められなくなった。

ホワイトハウスのリズ・ヒューストン報道官は、この判決を「重大な誤り」と批判し、控訴する方針を明らかにした。

声明では「公平な目で見れば、ハーバード大学が学生を嫌がらせから守ることに失敗し、長年にわたりキャンパスで差別が横行することを許してきたのは明らかだ。ハーバードに納税者の資金を受け取る憲法上の権利はなく、今後も助成金の対象にはならない」と述べた。

今年4月、政権はハーバード大学にいくつもの要求を突きつけたが、その中には本来、憲法修正第1条で守られている活動にまで踏み込む内容が含まれていたとバロウズ判事は指摘した。たとえば、大学が自ら学問の場をどう運営するか、政府の干渉を受けずに教育をどう評価するかといった権利である。

今回の判決は、7月に開かれた公聴会の後に出されたものである。この審理で司法省は「政府にはハーバードへの資金提供を打ち切る権限がある」と主張した。また、大学が連邦地裁に訴えたことについても、本来は契約問題を扱う米連邦請求裁判所に持ち込むべきだったと指摘した。

法廷内外の緊張は、両者の主張が重大な利害を伴っていることを浮き彫りにした。司法省のマイケル・ヴェルチク弁護士(ハーバード卒)は、大学の重要性や学内の反ユダヤ主義問題への懸念について語る際、声を詰まらせた。ヴェルチク氏は「大学の対応に関係なく、政府は契約を打ち切っていただろう」と主張した。

バローズ判事は9月3日の意見書で、資金凍結がハーバード大学の政府要求拒否と無関係であることに疑問を呈した。トランプ大統領のSNS投稿が反ユダヤ主義ではなくハーバードの見解を理由に処罰しようとする意図を示していたと述べた。

ワシントン特派員 サム・ドーマンは、エポックタイムズの裁判と政治を担当するワシントン特派員です。X で @EpochofDorman をフォローできます。