トランプ氏が対ロ制裁強化を呼びかけ クレムリン「NATOは参戦状態」

2025/09/17 更新: 2025/09/17

ロシアとベラルーシは大規模合同軍事演習の最終段階に入り、極超音速巡航ミサイル「ジルコン」や核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイル「オレシュニク」などの高性能兵器を相次いで投入している。

これにより、NATOは強い警戒感を示し、東欧防衛線の強化を目的とした「イースタン・セントリー」作戦をすでに開始している。

ロシア国防省によれば、北方艦隊のフリゲート艦「アドミラル・ゴロフコ」がバレンツ海でジルコンを試射し、目標を正確に破壊したという。ジルコンは音速の9倍を超える速度で飛行し、最大射程は約1000キロに達するとされ、NATO防衛網を突破し得る兵器として位置づけられている。

演習には核弾頭搭載可能な新型中距離弾道ミサイル「オレシュニク」も含まれ、ロシアはNATOが事実上交戦状態にあると強調している。これに対し、トランプ米大統領は欧州同盟国に対ロ制裁の一層強化を求め、米国が交渉の主導権を握る可能性を示唆した。

欧州メディアの記者は、「演習は周辺国に深刻な懸念をもたらしている。特に最近、ロシアの無人機がポーランド領空に侵入したことで、緊張は一層高まっている」と伝えている。

EUは9月15日、両国の演習を厳重に監視すると表明し、国際規則の順守を求めた。EUのシペル報道官は、「『ザーパド(西部)2025』演習がもたらす潜在的な安全保障上の脅威に、今後も積極的に対応していく」と述べている。

NATOも東欧国境の防衛強化を目的とした「イースタン・セントリー」作戦を開始し、フランス空軍のラファール戦闘機がポーランド領空で定期パトロールを行うなど、東欧諸国の防衛力と抑止力を高めている。

一方、ウクライナ軍の無人機は14日、ロシア国内深くに侵入し、同国最大規模の製油所の一つであるキリシ製油所を攻撃した。目撃者によれば、夜空には大きな火柱が立ち上り、施設が炎上する様子が確認されたという。この製油所は年間約1770万トン、日量にして約35.5万バレルの原油を精製している。

ゼレンスキー大統領は、「最も効果的かつ即効性のある制裁は、ロシアの製油所、港湾、石油貯蔵施設を対象とするものだ」と述べた。トランプ大統領も改めて対ロ制裁に取り組む姿勢を示し、欧州各国に歩調を合わせるよう求めた。トランプ氏は、「NATOと欧州は団結しなければならない。現行の制裁は十分に厳しいものではない。欧州もより強力な制裁を行い、米国の対応に合わせる必要がある」と強調した。

また、ロシア・ウクライナ両国の首脳会談については、トランプ大統領は「近く実現する可能性はあるが、ゼレンスキー氏とプーチン氏の間には深刻な対立があり、話し合いは容易ではない。そのため、米国が交渉の全過程を主導する必要がある」と述べた。

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