国連 大紀元記者の記者証を再び拒否 米国内で強まる中国共産党の圧力指摘

2025/09/24 更新: 2025/09/24

国連が大紀元と姉妹局NTDの複数の記者に対し、再び記者証を発行しなかったことが分かった。過去20年にわたり繰り返されてきた対応であり、中国の影響が背後にあるのではないかとの懸念が広がっている。

大紀元のホワイトハウス担当記者エメル・アカン氏は9月22日、国連総会に合わせてニューヨークを訪れた。アカン氏はトランプ米大統領やルビオ国務長官の行事を取材するため、国務省の記者団に同行していた。国務省を通じて国連の記者証を申請し、記者証を受け取るよう案内するメールを受け取っていたが、現地到着後、国務省担当者から「国連が申請を拒否した」と告げられたという。国連側は、大紀元を報道機関ではなくNGOとして扱っていると説明した。

大紀元のジャスパー・ファカート編集長は23日、「大紀元はアメリカ4番目に大きい新聞である。国連が中国共産党(中共)の検閲圧力に屈し、アメリカで活動する報道機関を排除するのは容認できない」と声明を出し、「国連に対し、読者に事実に基づく公正な情報を提供するという使命を果たすために、大紀元に必要な報道資格を付与するよう求めている」と訴えた。

NTDワシントン支局の記者マリ・オツ氏とカメラマンの陳磊氏も申請を行ったが、承認通知は届かなかった。オツ氏が国連に電話で確認したところ、「要件を満たしていない」との回答にとどまり、具体的な説明を拒否されたという。

 アメリカ内で強まる弾圧

大紀元は2000年、中国における検閲と人権侵害に抗議するため、中国系アメリカ人らが創刊した独立系報道機関。現在は33か国・22言語で発行されている独立系報道機関だ。

創刊当初、中国国内のスタッフが拘束・拷問され、10年の懲役刑を受けた者も複数いる。以来、中共当局やその代理人によるシステム的な妨害は続き、香港での印刷施設襲撃や記者への攻撃、度重なるサイバー攻撃も発生している。

2024年1月23日、ニュージャージー州の印刷所で印刷された英語大紀元の新聞 (Samira Bouaou/The Epoch Times)

2022年には習近平が治安当局に対し、大紀元とNTDを重点的に標的とするよう指示したと内部告発者が2024年に証言。

アメリカ当局は同年3月、中共と繋がりのあるハッカーや公安当局者12人を、大紀元を含む複数の標的に対する長期的なサイバー攻撃で起訴した。

最近では、中国のハッカー集団が大紀元になりすまし、米政府機関に脅迫メールを送信する事例も確認されている。

中共当局は長年にわたり、国連に圧力をかけ、大紀元の報道活動を妨害してきた。

2019年、アカン氏の国連高官会合取材申請も理由を示されないまま却下された。何度かメールで説明を求めたが、国連は2週間も返答しなかった。その後、国連広報部から名前のない共通アドレスで「申請した媒体は報道機関の要件を満たしていない」との一文だけが届いた。担当者は詳細を説明せず、申請はケースバイケースで検討していると述べ、不服申立ては認められなかった。

2003年、NTDが人権委員会の取材申請を行った際、国連職員は「中国からの圧力で処理が難航している」と述べた。翌2004年6月にも同様の事態が発生した。国連の職員は、中共当局から放送局の取材資格に関して電話を受けていたことを認めた。当初申請を却下したが、最終的に記者証を発行した。

大紀元ニューヨーク本部の編集室(The Epoch Times)

しかしその後も国連はNTDの記者数増員を拒み、中国代表団が出席する行事では取材活動を制限した。

中共当局の影響は他にも見られる。国連は度重なるアメリカなど各国の要請を無視し、台湾の国連総会やWHOなどへの参加を拒否してきた。

また、台湾の記者にも記者証を発行していない。

アメリカ下院のクリス・スミス議員は2024年4月、大紀元に対し「中共は国連システムを操り、責任を問われないまま振る舞っている」と批判。「どこを見ても状況は悪化しており、国連では全面的な情報操作が行われている」と述べた。

大紀元は今回の拒否について国連に繰り返し問い合わせたが、回答はなく、広報担当者はメディア認証部に回すよう指示するのみで、期限までに返答はなかった。

ファカート編集長は「中共による数十年にわたる圧力は、記者、広告主、印刷施設を標的にしてきた。われわれは今後も報道の自由を守る使命を果たしていく」と強調した。

アメリカ国内では通常アクセス、際立つ落差

こうした対応は、アメリカ国内や国際社会での扱いと鮮明な対照をなしている。大紀元と新唐人(NTD)はアメリカ政府や議会、ホワイトハウスを含む主要機関に通常通りアクセスしており、直近では9月21日にアリゾナ州で開かれた保守派指導者チャーリー・カーク氏の追悼集会でも公式に招かれ、VIPエリアに取材拠点を設置した。現場からは8時間にわたり生中継を行い、上院議員や関係者へのインタビューを実施。視聴者からも「真実の情報を届けてくれた」と称賛の声が寄せられた。

大紀元の姉妹メディアNTDニュースの記者、アイリス・タオ氏は、8月26日にホワイトハウスで行われた閣議で、トランプ大統領から自身の体験談を聞くよう求められた後、銃を突きつけられて強盗に遭った時のことを語った(Chip Somodevilla/Getty Images)
新唐人テレビは9月21日に行われたカークの追悼式の様子を報道した(姜琳達/大紀元)
9月21日、NTDのキャスター、スティーブ・ランス氏(左から2人目)とティファニー・マイヤー氏(右から2人目)がチャーリー・カーク追悼式で生放送インタビューを行った(姜琳達/大紀元)

NTD英語チャンネルはアメリカ国内100以上の都市で放送されており、有線・地上波・オンラインで幅広く視聴できる。さらにイギリスSkyテレビやヨーロッパのRakuten TVなど国際的プラットフォームでも配信され、数千万規模の視聴者に情報を届けている。

それにもかかわらず、国連は大紀元やNTDの記者に対して繰り返しアクセスを拒んでいる。この落差について、関係者からは「中共の圧力が背景にあるのではないか」との疑念が強まっている。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。
姜琳達
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