トランプ米大統領は、ホワイトハウスの回廊の外壁に「大統領名誉の壁」を設置し、歴代47人すべての大統領の肖像写真を掲げた。ところが、第46代大統領のところには、バイデン前大統領の公式肖像ではなく、自動署名装置「オートペン」が同氏の署名を代筆する様子を写した異例の写真が飾られている。
この展示の様子は、大統領特別補佐官兼広報顧問のマーゴ・マーティン氏が9月24日にX(旧ツイッター)へ投稿した動画で公開され、回廊に並ぶ歴代大統領の写真とともに注目を集めた。
ホワイトハウス報道官はエポックタイムズの取材に対し、展示写真はすべてトランプ大統領自身の選定によるものだと説明している。
トランプ氏がこのような象徴的演出を行った背景には、バイデン政権下で多用されたオートペンの使用に対する批判がある。オートペンは大統領不在時や身体的都合で署名が困難な場合に利用される代筆装置であり、歴代政権でも限定的に使用されてきた。しかし、トランプ氏は「バイデン氏は重要政策や恩赦の決定にさえもオートペンを用いた」と指摘し、オートペンを常用する正当性に疑問を呈している。
トランプ氏は「オートペンの乱用は、場合によっては違法行為にあたる可能性がある」と警告しており、この問題を単なる形式の逸脱ではなく、合法性に関わる深刻な問題と位置づけている。
今年6月、トランプ氏はボンディ司法長官に対し、オートペン使用の実態を精査するよう大統領覚書を発出した。その中でトランプ氏は、「米国民には、誰が大統領権限を行使していたのかを意図的に隠してきた。バイデン氏の署名は数千もの文書に使われ、急進的な政策転換が進められた」と強調している。
さらに覚書は、昨年クリスマス直前にバイデン氏が行った37人の連邦死刑囚への恩赦も調査対象に含めた。恩赦を受けた中には大量殺人犯や児童殺害犯も含まれている。
この問題は国内外の反響も大きい。保守派メディアは「国民に対する重大な背信行為」として厳しく批判する一方、リベラル系の論者は「形式的な署名方法に過ぎず、本質的な政策遂行に影響はない」と反論している。
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