中国から米国への輸入激減 八割で50%超減少

2025/10/22 更新: 2025/10/22

2018年以降、米中貿易戦争と関税強化を背景に、アメリカへの中国からの主要輸入品8品目で50%超、5品目は60%超の減少となった。ベトナム、メキシコなど他国からの調達シフトが進み、世界のサプライチェーン再編が加速している。

アメリカ国勢調査局の7月時点の最新データによれば、対中貿易赤字は2018年から現在までに52.94%縮小した。今年の1月から7月の7か月間で赤字額は2965億4千万ドル(約45兆円)から1949億8千万ドル(約29兆6千億円)へ減少している。

アメリカ経済誌「フォーブス」の報道によると、中国からの輸入は減少したものの、中国製品の多くは依然としてアメリカ市場に出回っている。ただし現在は「ベトナム製」「インド製」「台湾製」「カンボジア製」など、他国の原産地表示へ変更されているものも多い。このため、トランプ政権は原産地偽装製品に対して最大40%の関税を課している。

以下は、2018年時点でアメリカが中国から輸入した主要10品目と、その輸入量の変化率である。

携帯電話:輸入量55.43%減

アメリカ国勢調査局の統計によると、2018年前7か月と2025年の同期間を比較した場合、アメリカ全体の携帯電話および関連機器(HS 8517)の輸入量は29.89%増加したが、中国からの輸入量は55.43%減少した。中国からの市場シェアは2018年の61.78%から2025年は21.20%に低下。ベトナムからは5.31%から20.05%、インドは0.18%から18.96%、タイは3.18%から11.91%へと拡大している。

コンピューター:輸入量67.35%減

アメリカ全体のコンピューター(HS 8471)の輸入量は140.73%増加した一方で、中国からの輸入は67.35%減少した。中国からの市場シェアは2018年の55.03%から2025年は7.46%に縮小。台湾は2.73%から30.24%、ベトナムは0.74%から15.65%へと上昇した。

コンピューター部品:輸入量67.50%減

2018年以降、アメリカ全体のコンピューター部品および関連機器(HS 8473)の輸入量は182.29%増加したが、中国からの輸入は67.50%減少した。中国の市場シェアは2018年の67.30%から8.02%へ大きく低下。台湾は5.92%から51.04%に急伸し、ベトナムは0.28%から13.93%、マレーシアは0.95%から6.17%へと拡大している。

家具および部品:輸入量62.90%減

トランプ大統領による追加関税の引き上げが、家具輸入にも影響を及ぼしている。アメリカ全体の家具(HS 9403)の輸入量はわずか2.63%の増加にとどまったが、中国からの輸入は62.90%減少した。中国からの市場シェアは2018年の49.45%から17.88%に低下。ベトナムは13.71%から30.37%へ拡大した。現在、メキシコとベトナムが中国に代わって家具および関連部品の主要な供給国に浮上している。

座席(主に自動車用):輸入量52.86%減

2018年以来、アメリカ全体の座席(HS 9401)の輸入量は0.28%増にとどまり、中国からの輸入は52.86%減少した。中国からの市場シェアは45.66%から半分以下に落ち込み、メキシコは27.52%から33.10%へ、ベトナムは5.55%から21.66%へと大きく伸びた。USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の自動車供給網拡大が、メキシコのシェア上昇を後押ししているとみられる。

テレビ・パソコン用ディスプレー:輸入量57.97%減

2018年と比較すると、アメリカ全体のテレビおよびパソコン用ディスプレー(HS 8528)の輸入量は13.96%減少し、中国からの輸入は57.97%の減少となった。中国からの市場シェアは52.50%から25.65%へと半減。メキシコが最大輸入国となり、シェアは38.16%から43.75%に拡大。ベトナムも0.97%から15.53%へ急伸している。

自動車部品:輸入量17.72%減

自動車部品(HS 8708)はUSMCA供給網の中核をなす品目であるが、中国もアメリカ供給網の重要な一角を担ってきた。2025年7月時点で、アメリカの世界全体からの輸入量は21.60%増加した一方、中国からの輸入は17.72%減少した。メキシコは2018年に続き首位で、市場シェアは34.76%から42.26%に上昇。中国は15.67%から10.60%へ、カナダは13.39%から12.82%へといずれも低下した。

玩具:わずかに増加(2.15%)

玩具(HS 9503)は、2018年にアメリカが中国から輸入した主要10品目の中で唯一、輸入量が増加した品目で、増加率は2.15%にとどまった。アメリカ全体の玩具輸入は24.18%増加している。中国からの市場シェアは82.37%から67.76%に低下したものの、依然としてアメリカの玩具輸入における最大の供給国である。

照明器具および部品:輸入量65.43%減

アメリカ国勢調査局のデータによれば、2018年前7か月と比較して、2025年の同期間における照明器具および部品(HS 9405)の輸入量は全体で23.57%減少した。一方、中国からの輸入はそれを大きく上回る65.43%減少となった。中国からの市場シェアは2018年の63.18%から28.58%に下落した。それでも依然としてアメリカ最大の供給国であるが、2位のメキシコ(20.11%→22.41%)との差は縮まりつつある。最大の伸びを示したのはベトナムで、シェアは0.13%から10.64%に急上昇している。

ハンドバッグ・財布など:輸入量30.09%減

2018年以降、アメリカで、世界全体のハンドバッグ・財布類(HS 4202)の輸入量は1.62%増にとどまったが、中国からの輸入は30.09%減少した。中国からの市場シェアは2018年の55.95%から18.32%に低下。カンボジアが最大の伸びを示し、カンボジア製品が17.36%を占め、中国に次ぐ割合となっている。フランスは5.77%から11.95%、イタリアは8.11%から12.09%へ、インドネシアは1.61%から7.75%へと増加している。

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