日本 80年の時を経て再び台頭

2025/11/04 更新: 2025/11/04

■論評

世界第4位の経済大国である日本は、第二次世界大戦で連合国に敗れて以来、約80年にわたる贖罪・謝罪・そしてアメリカへの従属の時代を経て、ついに世界の戦略的舞台へと復帰し始めた。

日本の新たな動きによって、即座に恩恵を受ける国の一つは中華民国、すなわち台湾である。拡大する日本の防衛力によって、台湾はさらなる安全保障の後ろ盾を得ることになるだろう。注目すべきは、1930年代に日本の中国侵攻と最も長く戦ったのは蒋介石率いる中華民国であったという事実である。しかし皮肉なことに、当時ほとんど日本と戦うことを避けた中華人民共和国が、いまなお日本による20世紀の中国本土侵略を決して許していないのである。

国家の経済への関与を縮小するという、トランプ政権下のアメリカでも見られた保守的な原則が日本でも確認されたことを踏まえると、日本が新たな経済成長期の入り口に立っていると考えるのは決して非現実的ではない。

日本は、10月4日に与党・自民党の新総裁として高市早苗氏を選出したことで、経済・軍事、そして国際社会における自信と行動力の面で、新たな戦略的方向性を明確に示した。これは、過去10年以上にわたり国内で徐々に高まってきた保守主義とナショナリズムの流れが頂点に達した結果でもある。

日本は、防御的姿勢から、増大する中華人民共和国の敵対に対抗するためのより積極的なナショナリズムへと移行した。安倍晋三元首相(2012–2020年)は、中華人民共和国の脅威の増大と、日本が世界的課題に自国の解決策で臨む必要性を背景に、日本を完全主権国家として再建するプロセスを開始した。

中華人民共和国からの地域的脅威に直面してのナショナリズムへの自信回復は、日本の統一と運命の象徴である帝(みかど)の重要性の再評価をも伴う。現在は徳仁陛下がこの位を継いでいる。高市氏は、継承における長子相続の法的地位の強化を含め、その伝統的な重要性に強い関心を示している。

自信にあふれたナショナリストの指導者を選出した日本の動きは、現在、自国の指導体制の混乱や国内的・軍事的崩壊に直面している中華人民共和国の指導部に不安を強めさせている。これは主に、日本の与党・自民党の新たな指導者が、強力な軍事力と外交政策の立場を明確に支持していることによるものである。

東アジアにおける重要な時期において、自民党の次期指導者として最も強力と見なされる人物の選出は、日米同盟の結束を強化することが期待されている。これは、中国共産党が中国本土を掌握してから76年の中で最大の戦略的脅威に直面している状況下でのことである。

一方で、保守派の高市氏が日本初の女性首相として選出されたことは、韓国、フィリピン、オーストラリアをはじめとする地域諸国に対し、反中共勢力が主導権を握る意志を持っているというメッセージを送ることになる。高市氏は、自民党総裁選の決選投票で、小泉進次郎氏(44歳)を185対156の票差で破った。高市氏は1993年から衆議院議員を務め(2003年から2005年までの2年間を除く)2006年以降、さまざまな主要閣僚の要職を歴任している。

政治家としての経歴を始める前、高市氏は作家、米国連邦議会 立法調査官、そしてキャスターとして活動していた。また、故・安倍晋三元首相の弟子でもあった。

石破茂前首相は9月、首相および自民党総裁の辞任を表明し、総裁選挙が実施されるきっかけとなった。議会は高市早苗氏(64歳)を首相として承認する投票を行った。高市氏は故・イギリス首相マーガレット・サッチャーのリーダーシップ哲学を公言して支持している人物である。サッチャーとは異なり、大学時代にはヘヴィメタル(ハードロックの一派)のドラマーでもあった。

高市氏は、10月28日に訪日したドナルド・トランプ米大統領を正式に迎え、日米の新たな関係を形作るうえで重要な会談を行った。この会談の中で、高市氏は最近の日米貿易協定を改めて確認した。

アメリカは、中華人民共和国を抑止する上で、日本に大きく依存している。日本の戦略的自律性の再主張の一環として、防衛産業の輸出が開始されており、これは安倍政権下で導入され、近年になって重要性を増している。これは重要な点でアメリカの関与なしに進められており、オーストラリアなどの国々が対象に含まれている。

日本は、イギリス主導の第6世代戦闘機開発計画においてイタリアと協力しているが、その時期は、イタリアのジョルジャ・メローニ首相と高市氏が、ともにイギリスのキア・スターマー首相の理念と思想的に対立している状況にある。同様に、高市氏はオーストラリアのアンソニー・アルバニージ首相率いる政府とも理念的に対立しているが、オーストラリアは最近、日本から11隻の新型フリゲート艦を約65億ドルで発注した。そのうち最初の3隻は日本の三菱重工業で建造され、残りの8隻はオーストラリアで建造される予定である。

これらの防衛取引は、日本とオーストラリアおよびイギリス間の理念的対立の拡大によって影響を受ける可能性は低いが、むしろ日本とアメリカが第二次世界大戦以来の歴史的な防衛関係をさらに強化するきっかけとなるかもしれない。言い換えれば、日本の主権に基づく積極的姿勢の高まりは、日米関係に悪影響を及ぼすことはないと見られている。

確かに、日本のナショナリズムと伝統主義の再興は、1930年代に日本の食糧問題や人口問題にとって重要と見なされていた日本の領土拡張主義とは一致していない。同様に、ドイツにおける「ドイツのための選択肢(AfD)」によるナショナリズムの台頭や復興も、1930年代のドイツにおける国家社会主義運動と必ずしも並行するものではない。

日本は重要な新たな路線へと舵を切り、伝統・価値観・象徴をより重視する姿勢を強める一方で「現代的ナショナリズム」とも位置づけられる動向を示している。

米NGO「国際戦略研究会(International Strategic Studies Association)」所長。政府戦略アドバイザー。外交・防衛関連著書を多数出版。新著『The New Total War of the 21st Century and the Trigger of the Fear Pandemic』。
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