米連邦保安局 メンフィスで行方不明児101人を保護

2025/11/14 更新: 2025/11/14

米連邦保安局は、過去数週間にわたりテネシー州メンフィス市で行方不明となっていた子ども数十人を発見し、保護したと発表した。

同局が11月8日に発表した簡潔なプレスリリースによると、40日間の作戦期間中に101人の子どもが安全に帰還したという。詳細についてはほとんど明らかにされていない。

連邦保安局の広報担当エミリー・ウィリアムズ氏は声明で「逃亡犯の追跡で培った技能を活かし、地方および州当局と協力して行方不明児童の捜索にあたることができたことをうれしく思っている」と述べた。

「こうした事案の捜査は地道で根気のいる作業だが、行方不明になった子どもや危険にさらされた子どもを発見できることは、私たちが最も誇りに感じる任務の一つだ」

今年初め、米司法省は、全米でも最も暴力犯罪が多い大都市の一つとされるメンフィス市で、犯罪抑止に向け複数機関が連携する取り組みを開始すると発表していた。

10月29日、パム・ボンディ司法長官は、連邦捜査官らが約80人の行方不明児童を救出し、1700人を逮捕したと発表した。そのうち126人はギャング構成員だった。

トランプ米大統領は9月中旬、同市の犯罪率を理由に、州兵の派遣を命じる大統領令に署名した。

トランプ氏はホワイトハウスの執務室で記者団に対し、派遣された部隊はFBI、麻薬取締局(DEA)移民・関税執行局(ICE)連邦保安局など複数の連邦機関の職員で構成される特別タスクフォースに加わると説明した。

同氏は、同様のタスクフォースがワシントンD.C.で成功を収めた例を挙げ、今回のメンフィスでの取り組みもそれを模したものだと強調した。ワシントンでは州兵が派遣され、地元警察が連邦化されたことでも知られている。今年はロサンゼルスやシカゴなど、他の都市でも州兵が投入されている。

トランプ氏は9月のメンフィス派遣命令の署名時にこのように述べた。

「このタスクフォースは、ここワシントンで非常に成功した取り組みを再現するものだ。そして同じような手法を用いることになるが、メンフィスの数字は本当に深刻だ」

セキュリティ製品サイト SafeHome.org が分析したFBIデータによれば、メンフィスの2024年の人口10万人あたりの殺人発生率は40.6で、大都市では全米最高だった。ボルティモア市(34.8)デトロイト市(31.2)がこれに続いた。

メンフィス市の西に位置し、人口約2万3千人の郊外都市であるアーカンソー州ウェストメンフィス市は、人口10万人あたり72の殺人発生率を記録し、全米2位となった。

一方、トランプ氏が州兵の派遣を決めた当時、メンフィス警察は、強盗、侵入盗、窃盗など主要犯罪の多くが過去25年で最低水準にあり、殺人発生率も過去6年で最低だったと発表していた。

連邦政府の介入には地元で反発も出た。

メンフィス市議会議長のJ・フォード・カネール氏は9月の大統領令を受け、1968年、公民権運動期に州兵が出動した際の痛ましい記憶を呼び起こすとして、こうした派遣は「せいぜい短期的な措置にすぎない」と述べた。

一方で、一部の地元関係者は歓迎の意を示している。テネシー州議会下院議員のマーク・ホワイト氏は大紀元に、市が深刻な警察官不足に直面していると指摘した。

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。
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