オンライン児童搾取ネットワーク「764」 拡大する脅威と米当局の徹底追及

2025/12/05 更新: 2025/12/05

アメリカ司法省(DOJ)の当局者たちは、『764』として知られるオンライン児童捕食者ネットワークの取り締まりを試みている。これは、脆弱な集団に対するオンライン搾取が増加している中で行われている。

このグループは、多くの被害者、特に未成年者にとって危険であることが証明されている。彼らはコミュニティサイトやゲームプラットフォームを通じて標的を脅迫する。FBIは2月20日に、このグループ関連の捜査を優先すると発表した。
全米行方不明・搾取児童センターは、このグループが「これまでに見た中で最も残虐なオンライン誘惑報告を生み出している」と述べている。

ここでは、764ネットワークと政府の取り締まりについて知られていることをまとめる。

 

ネットワークの活動内容

3月、FBIは764とその類似ネットワークの活動が「急増」していると警告した。
FBIによると、これらのネットワークは「未成年者やその他を体系的に標的にし、搾取する」という。グループは脅迫、恐喝、その他の操作手法を使って被害者を強要したり搾取したりする。
主な脅迫の手段は、個人に自傷行為、動物虐待、露骨な性的行為、さらには自殺を強要し、それを共有させることである。その映像はネットワークのメンバー間で流通され、被害者の継続的な恐喝と支配を可能にする

このグループは、9歳という幼い被害者を狙うことが知られている。
DOJは764を「米国および海外で犯罪行為を行う破壊主義的な暴力過激派のネットワーク」と呼んでいる。彼らは脆弱な集団の腐敗と搾取を通じて文明社会を破壊しようとしている。

764グループのメンバーに搾取された子供の母親は、全米行方不明・搾取児童センターに、そのグループのメンバーが娘にカミソリでメンバーのスクリーン名を腕に刻むよう強要したと語った。
その人物は娘に「いい子だ」「愛している」と語りかけ、娘までもが「私も愛してる」と返したという。
「彼らは本当に恐ろしい」と母親は語った。「娘に対する支配力は想像を超えている。助けてほしい!」
また、家族は、グループが被害者の親族を傷つけると脅し、要求に従わない場合に危害を加えると脅迫してくると訴えている。

 

ネットワークの目的

国際人権組織「戦略対話研究所(the Institute for Strategic Dialogue、ISD)」によれば、764ネットワークは、性搾取や児童性的虐待コンテンツの流通に関与した「Com Network」から2021年に派生した。

ネットワークは、当時15歳のテキサス州在住のブラッドリー・ケイデンヘッドによって2021年に設立され、共同設立者はゲーム「Minecraft」を通じて知り合った友人だとされるが、その友人の身元は不明とされている。
「764」という名称は、ケイデンヘッドの故郷の郵便番号に由来する。
FBIによれば、ネットワーク内の一部の暴力的行為者は「犯罪行為を通じて恐怖と混乱を生み出したい」という動機を持つ。また、動機は個々に異なり「性的満足や社会的地位、帰属意識のみを求めて犯罪に及ぶ者もいる」という。

DOJは、764のメンバーの多くが、若者を暴力に慣れさせ、暴力に対する社会的な感覚や常識を壊そうとしていると指摘している。
同省によれば、彼らは児童性的虐待資料や残虐映像を日常的に所持・制作・共有し、こうした行為を通じて被害者を未来の暴力行為へと誘導し、ネットワーク内での評価を得ようとしている。これらの活動は、764の思想を広め、社会を混乱へと向かわせることを目的としているという。

またDOJは、764ネットワークの究極的な目的として、社会不安を広げ、世界秩序――とりわけ米国政府――を崩壊させることまでも視野に入れていると指摘している。

 

政府の取り締まり

カシュ・パテルFBI長官とダン・ボンジーノ副局長は11月20日に、764の解体に全力で取り組むと述べた。
「FBIは、米国の子どもたちをオンラインで狙う凶悪な『764』ネットワークの壊滅に全面的に取り組んでいる」とパテル長官は声明で述べた。

長官によれば、全米で300件を超える捜査が進行中で、「決して止まらない」と強調した。
ボンジーノ副長官は、FBIボルティモア支局が少なくとも5人の未成年を標的にした容疑者を逮捕したと発表し、「FBIは昼夜を問わずこのネットワーク破壊に取り組む。最優先事項だ。進展しているが、まだ終わっていない」と述べた。

10月にはアリゾナ州当局が764ネットワーク関係者とされる21歳のバロン・ケイン・マーティンを訴追した。マーティンはオンラインで「Convict」など複数の名を使っていた。
マーティンは11歳から15歳までの少なくとも8人の子供を標的にし、児童性的虐待素材の制作と配布、サイバーストーキング、「動物虐殺」コンテンツ、テロリストへの物質的支援の陰謀で告発されている。

「この男の犯罪は想像を絶するほど邪悪であり、764の危険性を如実に示している。もし有罪となれば厳罰に処されるだろう」とパム・ボンディ司法長官は述べた。
マーティンはまた、他の者が被害者を特定・育成(グルーミング)・恐喝する方法を指南するガイドを書き、投稿した疑いもある。
パテル長官もこの訴追に言及し、「FBIは、地域で最も弱い立場の人々を狙う残虐な犯罪者を必ず見つけ出し、逃がさない」と述べた。

さらに4月には、764に関連する米国市民2人が逮捕された。彼らはギリシャのテッサロニキとノースカロライナのハイポイントに居住し、未成年者のグルーミング、操作、恐喝で告発された。

 

家族の安全を守る方法

ケイデンヘッドは2021年に逮捕され、児童性的虐待資料の制作・配布により80年の禁錮刑を言い渡された。しかし、それでもグループの拡大は止まっていない。

11月20日の声明でパテル長官は、親たちに対し、子どものインターネット利用を監視し、オンライン捕食者が接触する機会を減らすよう呼びかけた。
戦略対話研究所によれば、764ネットワークはメッセージアプリ「Kik」から活動を始め、現在ではDiscord、Roblox、Snapchat、Instagram、Telegramなどでも活動している。

全米行方不明・搾取児童センターとFBIは、親や保護者に対し、子どもの身体に不自然な切り傷や打撲、奇妙なパターンの外傷がないか確認するよう勧めている。また、突然の行動変化や、過剰に身体を隠そうとする様子も警戒すべき兆候である。
親たちはまた、見知らぬ人物との接触や個人情報・写真の共有に潜む危険について、子どもと話し合うことも求められている。

ボンディ長官は声明で、「親は、子どもが直面するオンライン上の脅威に対し、常に警戒を怠らないでほしい」と述べた。

サバンナ・ポインターはエポック・タイムズの政治記者。 連絡先はsavannah.pointer@epochtimes.us
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