イラン政変の兆し 抗議拡大 通貨崩壊  中共・ロシア・イラン連盟崩壊

2026/01/02 更新: 2026/01/02

イランで経済崩壊と全国抗議激化! テヘラン大バザールから「国王万歳」叫び、王政回帰求める。イスラエル空爆・米支援で神権体制崩壊へ。中露沈黙の「中露イ」連盟終焉の真相を解明する。

テヘランの怒号:イラン抗議 全国30都市に拡大

いま、イラン各地の街頭は沸き立つ熱気に包まれている。全国規模の抗議活動はすでに5日目に入り、テヘランの大バザールから始まった小さな火種が、いまや30を超える都市へと燃え広がっている。

今回の全国的抗議運動の背景を理解するためには、まずイラン経済の危機に触れなければならない。2025年、イラン通貨リアルは歯止めを失ったように急落し、2025年12月29日には史上最安値を記録した。1ドル=140万リアル(約21万円)である。これだけでは実感が湧きにくいだろう。比較のために3つの時期を見てみたい。1978年、すなわちパフラヴィー王朝末期には1ドル=70リアルであった。2015年には3万リアル、そして現在は140万リアル。通貨の価値は実に2万倍以上も下落した計算になる。庶民が一生かけて貯めた蓄えが、一夜にして無価値になったということだ。これはもはや単なるインフレーションではない。「経済的自殺」と呼ぶほかない。

イランでは食料価格が1年間で72%も上昇し、肉や野菜、果物の価格は常軌を逸している。2024年末にはガソリン価格も急騰し、一般市民が車を運転することすら困難になっている。生活の維持が難しいのは労働者階級だけではない。商人たちも、店を開くコストの方が閉店するより高くなり、多くの店が次々と営業を停止した。親が子に牛乳を買ってやれない。若者が未来を見失う。人々は絶望の果てに恐怖さえ感じなくなりつつある。あるデモ参加者は「通貨が崩壊するとき、嘘も共に崩れる」と語った。

国民は気づき始めた。テヘラン政府は数十年にわたり、シリア、レバノン、イエメン、ガザへ膨大な資金を投じ、ハマスやヒズボラ、フーシ派などを支援して代理戦争を続ける一方で、自国民を貧困に追いやってきたことを。今のイラン社会は、ひとたび火がつけば一気に燃え広がる可燃性ガスのような状態にある。

抗議の発火点となったのは2025年12月28日、テヘランのグランド・バザール(Grand Bazaar)での出来事であった。「イラン経済の心臓」と称されるこの伝統市場で、何千人もの商人が店を閉めて街頭に繰り出し、通貨崩壊と物価高騰に抗議した。映像には、群衆が「ジャーヴィード・シャー(Javid Shah/国王万歳)」と叫ぶ様子が映し出されていた。これは単なる経済への不満ではない。神権体制の打倒と、パフラヴィー王太子の帰還を公然と求める政治的表明である。

「国王万歳」叫び:パフラヴィー王太子帰還で王政回帰か

イラン国民の怒りを理解するには、1979年にまで遡る必要がある。当時、世俗的で近代化を進めていたパフラヴィー王朝は、宗教革命と西側諸国の圧力の中で崩壊した。国王は流血を避けるため亡命を選んだが、その後権力を握ったホメイニ師がもたらしたのは、約束された自由でも経済成長でもなく、宗教と政治が融合した狂信的体制であった。

あれから46年。かつて「ペルシャ湾の宝石」と呼ばれたイランは、国際社会の制裁に苦しみ、経済崩壊寸前の孤立国家に変わった。歴史は皮肉にも巡り、かつて「反君主」を叫んだ民衆が、今は神権政権独裁の苦しみの中で再び「王政回帰」を求めている。

12月28日夜、抗議は住宅地にも広がり、若者や女性が次々と行列に加わった。29日には各地で衝突が発生し、イスファハーンの中央広場では群衆が治安部隊を退却させ、ハマダーンでは激しい衝突、アフヴァーズでは石油労働者がストライキを開始した。それを皮切りに、エネルギー部門全体が動き出したのである。抗議の炎は瞬く間に国中に拡大した。

12月30日には主要都市30か所以上に抗議が波及した。大学生、労働組合員、商人、退職者など、あらゆる層の市民が街頭に立った。中でも注目すべきは、女性たちが先頭に立ち「女性・生命・自由」と声を上げたことである。若者の参加も多く、ある少年は「恐怖で震えながら撮影したが、世界に広めてほしい。私たちイラン人がこの政権を望んでいないことを知ってほしい」とコメントを添え、動画を拡散した。

政権の弾圧と民衆の覚醒

民意の津波に直面した神権政府は、再び暴力による弾圧に踏み出した。ハマダーンなどでは特殊部隊が私服に着替え、商店を破壊して抗議者に罪をなすりつけるという卑劣な手口も記録されている。これは、中国共産党が「六四天安門事件」で用いた手法と酷似している。しかし、今回はもはや国民は欺かれなかった。スマートフォンで撮影された映像がSNSで瞬時に拡散し、市民の眼には明確に映っている――誰が街を守り、誰が祖国を破壊しているのかを。

12月31日、現在も抗議は一層激化している。テヘランの大バザールでは再び「国王万歳」の声が響き、全国的なストライキが拡大した。トラック運転手、看護師、教師も加わり、経済活動は麻痺しつつある。一方で体制側の弾圧は凶暴化し、各地で治安部隊が発砲した。死者多数という報道がある。南部のファサでは、軍警が撤退した後、市民が州知事庁舎を掌握したとの情報もある。

パフラヴィー王太子「イラン奪還計画」

今回の「イラン最終決戦」には二つの決定的要因が存在する。一つはパフラヴィー王太子の政治的ビジョン、もう一つはイスラエルによる外的圧力である。

多くの人々が疑問を抱く。「46年も亡命している王太子が、再び『国王』として帰還する意思があるのか」と。しかし、パフラヴィー王太子が去年10月に発表した政治綱領『イラン奪還計画』は、驚くほど現実的で近代的な内容であった。パフラヴィー王太子は、神権体制が倒れた後、イランを無政府状態にしてはならないことを理解している。

彼の計画では、最初の3〜6か月を「緊急対応期」とし、水・電力・エネルギーなどインフラ維持を最優先する。続いて全170ページに及ぶ「イラン繁栄計画」を始動し、国の再建を進める方針である。将来の国家体制については事前に固定せず、共和国と立憲君主制のいずれとするかを国民投票で決定するという。

パフラヴィー王太子は自らを「権力の継承者」ではなく、「国家の門番」と位置づけている。

これは、イランが未来に向けて再び歴史の扉を開こうとする意志の象徴である。

正直に言えば、「イラン繁栄計画」であらかじめ国家体制を定めないという発想は、非常に巧妙な一手である。とくに現在の情勢を踏まえれば、これはイラン国民の心をつかむ効果的な戦略である。パフラヴィー氏はこの計画の中でこう公約している―「今、抗議活動を支持して立ち上がるなら、政権交代後に地方の軍や警察、官僚には恩赦を与える」と。報道によれば、すでに数万人規模のイラン軍・警察関係者がパフラヴィー陣営に秘密裏に登録したとされる。そのため、最近の街頭デモでは、兵士たちが抗議者を前に「発砲」ではなく「撤退」を選ぶ光景が見られるのである。

パフラヴィー氏が強調するもう一つの核心は「イラン・ファースト(イラン第一主義)」である。彼の掲げる外交方針は明快だ。レバノンのヒズボラやフーシ派への資金援助をすべて停止し、その資金を国内の水不足や食糧問題の解決に振り向けるというものである。このような現実的なナショナリズムは、宗教的イデオロギーの輸出にうんざりしてきた若いイラン人たちの心を正確につかんだ。

イスラエル「12日戦争」:革命防衛隊壊滅、核施設攻撃

パフラヴィー氏が「心」の面からイランの神権体制を揺さぶっているとすれば、イスラエルは「体」の面からその武装を破壊している。2025年6月、中東を震撼させたイスラエルによるイラン政府への「12日戦争」が勃発したのである。この戦闘で、イスラム革命防衛隊(IRGC)の脆弱さが完全に露呈した。

イスラエルは約200機の戦闘機を出動させ、イスラム革命防衛隊の最高司令部を正確に標的として定めた。空爆により、革命防衛隊のサラミ総司令官や軍総参謀長バーゲリらが相次いで死亡した。これによりイラン軍の指揮系統は麻痺し、全国的な抗議が爆発した数日間、政権の対応が遅れ、混乱を招いたのもそのためである。

その後、イスラエルはアメリカと協力し、フォルドーやナタンズなどの核施設、さらには革命防衛隊の弾道ミサイル製造基地を攻撃した。かつてハメネイ師はミサイルの力を誇示し強気な発言を繰り返していたが、今や弾薬庫の半分以上が破壊され、海外の代理勢力を軍事支援する力を失いつつある。

最新情報によれば、ネタニヤフ首相とトランプ米大統領が去年12月29日に会談した後、イスラエルは戦略の再評価を進めており、焦点は「イランの革命防衛隊による海外への資産・人員移転ルートを完全に遮断すべきかどうか」という点に移っている。イスラエルのサイバー作戦部隊は、イラン国民が政府によるインターネット封鎖を回避できるよう支援している。ネタニヤフ首相が述べた通り、いまの戦いは軍事力だけでなく、「社会の強靱性」を競う戦いでもある。

歴史が示す通り、専制体制が崩壊するには通常二つの条件が必要である―財政の枯渇と暴力装置の麻痺だ。そして今のイランでは、この二条件がほぼ揃いつつある。政府はもはや膨大な秘密警察を買収し続ける資金を捻出できず、外部からのイスラエルの強烈な攻撃を受けるなかで、革命防衛隊は自らの防衛に追われ、2019年のように大規模装備を動員して都市部の鎮圧に乗り出すことができない。だからこそ、2025年末のこの蜂起は「最終決戦」と呼ばれているのである。

アメリカの追い込み

一方、アメリカの「裏舞台での動き」もイラン政権を震撼させている。トランプ政権は、イラン国民に今もっとも欠けているのは武器ではなく「情報の自由」であると認識した。アメリカ政府はあらゆるルートを通じ、イラン国民が検閲を回避してインターネットへアクセスできるよう支援している。最近流出している衝撃的な街頭映像の多くも、この情報ルートの確保によるものである。

ルビオ米国務長官は頻繁にペルシャ語のビデオを投稿し、若いイラン人と直接対話を行っている。トランプ氏もまた公にイラン政府の「国民への発砲」を非難し、「天安門事件の再現だ」と断じた。こうした強い発言がデモ参加者の士気を大いに奮い立たせ、「自分たちは孤独ではない」という確信を与えたのである。

トランプ氏は最新のインタビューで次のように語っている。「私は政権転覆について話したくない。それは彼ら自身の問題だ。しかし、彼らの経済は完全に崩壊しており、指導層は深刻な窮地にあると言える」

これこそがトランプ氏の戦略、「引いて撃たず」である。極限の圧力をかけてイラン政権を崩壊寸前まで追い込み、最後の一撃を国民自身の手に委ねるという構想だ。彼は新たな長期中東戦争に巻き込まれることを望んでいないが、反米神権体制が民意の波に呑まれて瓦解することは大いに歓迎している。トランプ氏とネタニヤフ首相の会談が12月29日に行われたのも偶然ではなく、二人はイランという「火山」の噴火を事前に察知していた可能性が高い。両者の連携は、あらかじめ調整された作戦―イスラエルは軍事的削弱を、アメリカは経済的封鎖を―その通りに実行しているようにも見える。

「中共・ロシア・イラン鉄の三角同盟」崩壊 中共とプーチンの「老獪さ」と「無力」

読者の中にはすでにお気づきの方もいるだろう。かつて中国共産党、ロシア、イランは「反西側の鉄の三角同盟」と称されていた。それにもかかわらず、テヘランの街が騒然としている今、中共とロシアがこれほどまでに沈黙しているのはなぜか。その背後には、極めて現実的な政治的計算が存在する。

中共にとってイランは重要なエネルギー供給国であり、「一帯一路」戦略の要衝でもある。しかし、中共の行動原則は常に「利益優先、リスク回避」である。思い出してほしい。2025年6月、イスラエルとアメリカがイランを攻撃して叩いた際、中共は極めて慎重な姿勢を見せ、外交部が口頭で「冷静な対応」を呼びかけただけで、実質的な行動は何ひとつ取らなかった。

中共とイランは25年協定を締結しているものの、実際には2025年1月から11月までの両国貿易額は前年同期比で24%減少している。中共はいつも「塵埃が落ち着くのを待つ」のが得意である。神権体制が辛うじて持ちこたえれば、中共は「テヘランの古き友」として振る舞うだろうし、もしパフラヴィー王太子が政権に復帰すれば、真っ先に祝電を送るに違いない。

一方、習近平が「関わりたくない」姿勢を取っているのに対し、プーチンはすでに「関われない」状態にある。ロシアの軍事・財政資源の多くはウクライナ戦線に注ぎ込まれており、プーチンにとってイランは「アメリカの注意を分散させるための駒」にすぎない。いまイラン政権中枢が炎上しているなかで、もしプーチンがハメネイ師を助けに動けば、自らを中東諸国との全面対立に追い込むことになるだけである。

今回のイラン情勢の激変は、「中・露・イ連盟」の仮面を完全に剥ぎ取った。皮肉なことに、去年12月には中国が領土問題でアラブ首長国連邦(UAE)側に立ち、イランのネットユーザーたちが激怒し、政府を厳しく非難する騒ぎが起きた。これが物語るのは冷酷な現実だ。すなわち、独裁者たちを結びつけるのは「共通の敵」であって、「真の友情」ではないということである。そのうちの一人が国民の怒りの大波に呑まれるとき、残る二人が最初に考えるのは、「いかにして遺産を奪うか」、あるいは「どうすれば血飛沫を浴びずに済むか」なのである。

時代の終わりは、たいてい静かに始まり、そして雷鳴のように終わる。パフラヴィー王太子の政治綱領はイラン国民に「ポスト・ハメネイ時代」の希望を抱かせ、イスラエルの軍事行動は独裁者の最後の防壁を打ち砕いた。イランの夜明けは――もしかすると、2026年の新年とともに訪れるのかもしれない。

金然
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