ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が米軍に拘束された後、暫定大統領になったデルシー・ロドリゲス氏は1月4日、アメリカとベネズエラの緊張緩和を示唆するメッセージを発信し、アメリカに対し「均衡が取れ、相互に尊重し合う」関係の構築を呼びかけるとともに、協力議題の共同策定を提案した。
ロドリゲス氏は通信アプリ「テレグラム」を通じ、「アメリカとベネズエラの間に、均衡が取れ、相互に尊重し合う関係を構築することが急務だと考えている」と表明し、「共同の発展を促進するため、協力するためのアジェンダをともに策定することをアメリカ政府に心から呼びかける」と述べた。
この発言は、前日の強硬的な姿勢から一転したものと受け止められている。最高裁がロドリゲス氏の暫定大統領就任を認めた直後、同氏はテレビ演説で、マドゥロ氏はいまなお「ベネズエラ唯一の大統領」だと強調し、アメリカの行動を「国際法違反」だと厳しく非難していた。
今回の姿勢転換について、極度に緊張した状況下でアメリカ・ベネズエラ関係の沈静化を図る狙いがあるとの見方が広がっている。
一方、4日夜、トランプ米大統領は、大統領専用機「エアフォースワン」でワシントンに戻る途中、同行記者団に対し、アメリカの当面の優先事項は、直ちに政権交代や選挙を推進することではなく、「ベネズエラが秩序を回復し、国家として再び機能することを確保する点にある」と語った。
トランプ氏はまた、アメリカがすでにベネズエラの既存権力構造の一部関係者と接触していることを明らかにし、麻薬密輸の取り締まり、情勢の安定化、主要産業の再建といった分野での協力を期待していると述べた。
さらに、ロドリゲス氏と「適切な時期に」直接電話会談を行う意向も示した。
トランプ氏は同時に、老朽化が進むエネルギー・交通インフラの修復を目的として、石油施設や基幹インフラへの「全面的なアクセス(トータル・アクセス)」をアメリカが求めていることを強調した。
「ベネズエラが協力するのであれば、アメリカはこれ以上の武力行使を望んでいない。しかし、情勢が悪化するなら、さらなる行動を取る用意はある」と警告した。
その上でトランプ氏は、「我々はあの国を大切にする。あの国を守る。そして何より、祖国を追われ、アメリカ国内に住む人々を含め、ベネズエラの人々を守る。彼らは非常に良い扱いを受けることになる」と語った。
ロドリゲス氏は56歳。イギリスおよびフランスで教育を受けた弁護士で、2018年からベネズエラ副大統領を務めてきた。石油依存度の高い同国の経済を長年統括するとともに、情報・治安機構においても重要な役割を担ってきた。
同氏と、現職の国民議会議長で兄のホルヘ・ロドリゲス氏はいずれも左派政治の出自で、ウゴ・チャベス政権およびマドゥロ政権下で徐々に影響力を拡大してきた。
マドゥロ氏の側近の一部と異なり、ロドリゲス氏本人はアメリカで刑事訴追を受けてはいないが、トランプ氏の第1次政権期には、民主的手続きを損なったとして制裁対象となっている。
米ワシントンのシンクタンク「アトランティック・カウンシル」の上級研究員ジェフ・ラムゼイ氏は、ロドリゲス氏が当初トランプ政権に強硬姿勢を取ったのは、「体面を保つため」の行動だった可能性があると指摘する。
「もし彼女がアメリカの傀儡のように振る舞えば、革命派の仲間たちから支持を得ることはできなかっただろう」と述べた。
ベネズエラ憲法では、大統領が「恒久的に職務を遂行できない」場合、30日以内に選挙を実施する必要がある。しかし、最高裁は今回、マドゥロ氏の不在を「一時的」と認定し、副大統領が最長90日間権限を代行できると判断した。さらに国民議会の承認を得れば、最長で6か月まで延長が可能とされる。
ロドリゲス氏が、融和姿勢を示しながら、国内の政治的圧力を抑え、分裂した勢力を統合しつつ、同時にアメリカ側の要求をどこまで受け入れられるのかは、依然として不透明なままである。
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