中国共産党とつながりを持つ中国系シンジケートはいかにして米国のマリファナ闇市場を掌握したのか

2026/01/11 更新: 2026/01/11

高強度麻薬密売地域(HIDTA)プログラム内のマリファナ影響グループで国家副コーディネーターを務めるロブ・ロッゲフェーン氏は、闇市場のマリファナ取引が爆発的に拡大し、年間約3千億ドル規模の産業に成長していると語った。

「これはカナダ、フランス、イングランドなど国外へ輸出されている。彼らにとっては国際的なビジネスなのだ」とロッゲフェーン氏はエポック・タイムズに語った。

「彼らは米国内だけで流通させるために米国で栽培しているのではない。事業は国際化している」

例えばカリフォルニア州では、1ポンド当たり450~500ドル、あるいはそれ以下で購入できるマリファナが、ニューヨークでははるかに高値で売れる。さらに、マリファナが違法で、より厳しい刑罰が科される一部の国々では、1ポンド当たり5千~2万ドルと「桁違いに高い」価格で取引されると、ロッゲフェーン氏は述べた。

マリファナの原料となる大麻は過去には、メキシコのカルテルが国有林など米国の公共用地に屋外の栽培地を隠していたが、近年では、中国系シンジケートが、医療用および娯楽用マリファナを合法化し、違法な大麻栽培に対する刑罰を軽減した州に大胆にも進出しているという。

「10年前は、マリファナを扱っているのはほぼメキシコのカルテルだけで、しかもそれは概ね国境を越えて持ち込まれていた」とロッゲフェーン氏は語った。

「しかし、どこかの時点で状況が変わり、その取引はメキシコのカルテルから中国共産党(中共)へと移った」

それがどのように、そしてなぜ起きたのかは、いまだにやや謎のままだという。特に、中国系とメキシコ系のカルテルの間で衝突が起きたという明確な証拠が存在しないためだ。

 「マリファナ取引をめぐって、彼ら同士が争っている様子は見られない。なぜヒスパニック系と中国系の間で暴力沙汰が起きないのか。通常であれば、ヒスパニック同士、中国人同士、あるいは中国人と他のアジア系グループの間で起こるものだ」とロッゲフェーン氏は語った。

「さまざまな説はあるが、結論としては、彼らは協力して活動しているということだ」

麻薬専門家らは、メキシコ系カルテルと中国系カルテルの間で、何らかの同盟が結ばれたに違いないとみている。そして、9月18日に開かれた下院国土安全保障委員会の小委員会公聴会で証言した関係者によれば、その取引は、メキシコ系カルテルに対して中国側が提供する安価なマネーロンダリングサービスという形を取っていた可能性があるという。

2019年10月2日、メキシコ・コサラ自治体で、違法なマリファナ栽培地の破壊に参加するメキシコ兵。かつてメキシコのカルテルは、米国の公共用地で屋外の大麻栽培を隠して行っていたが、近年では、マリファナを合法化し、違法栽培に対する刑罰を軽減した州へ中国系シンジケートが進出していると、元カリフォルニア州の麻薬捜査官は述べている(Rashide Frias/AFP via Getty Images)

麻薬取締局(DEA)の元捜査官で、現在は国際調査会社ナーデロ・アンド・カンパニーに勤務するクリストファー・アーバン氏は、同小委員会に対し、現在では中共がメキシコ系カルテルの資金洗浄の大半を担っており、その手段として中国が管理するアプリ「WeChat」や暗号資産が使われていると述べた。

米財務省が公表した最新の「国家マネーロンダリング・テロ資金供与リスク評価」によれば、中国系の資金洗浄組織は、現在「米国内および世界中で、専門的に資金洗浄を行う主要な担い手の一つ」となっている。

アーバン氏は、中国系およびメキシコ系の組織犯罪を訴追するため、1970年にイタリア系マフィア対策として制定されたRICO法の活用を強化すべきだと訴え、さらに、州境を越えて機動的に活動できる、十分な予算を備えた新たな連邦タスクフォースの創設を提唱した。

公聴会に出席した専門家らは、中共と関係があるとされる中国系組織犯罪が、米国の国家安全保障に対する脅威となっていると指摘した。オクラホマ州麻薬取締局長のドニー・アンダーソン氏は、一部の違法大麻栽培拠点が、軍事基地やパイプラインなどの重要インフラの近くに存在していると証言した。

「私の見解では、中共は、いわゆる『警察署』を通じて在外中国人を統制するという既知の手法を用い、これらの拠点へのアクセスを維持していると考えられる」とアンダーソン氏は述べた。オクラホマ州法では、マリファナ事業の所有者は少なくとも2年以上の州内居住歴を持つ州民でなければならないと定められているが、アンダーソン氏によれば、中国系が運営する栽培施設のほぼすべてが、コンサルティング会社、不動産業者、弁護士らの支援を受けた詐欺行為や名義貸しによって、この要件を回避しているという。

またアンダーソン氏は、捜査当局が、中国銀行への資金送金や、中国共産党政権が所有する企業とのつながりを示す証拠を記録していると述べた。

2025年4月11日、ニューヨーク市にある中国銀行の支店前を通り過ぎる人物。ロブ・ロッゲフェーン氏は、マリファナ事業をめぐり、メキシコ系カルテルと中国系カルテルの間で、安価な中国側の資金洗浄サービスを含む「秘密な取引」が交わされた可能性があるとみている(Angela Weiss/AFP via Getty Images)

 

状況証拠

ヘリテージ財団のポール・ラーキン氏は、同小委員会に、中国が世界で最も厳重に監視されている国であることから「中共が、ここで起きている中国系組織犯罪のような他国での犯罪行為を把握していないと考えるのは難しい」と述べた。

同氏は、中共が「組織犯罪を支援している」ことを示す状況証拠は十分に存在しており、米最高裁がこの活動への共謀の有罪判決を正当化できると指摘した。

また、医療用・娯楽用マリファナを合法化した州での多くのマリファナ事業は、中国系組織犯罪によって運営されており、「中華人民共和国および中国共産党という、米国にとって公然の敵である二つの主体による暗黙の了解と黙認の下で行われている」とラーキン氏は述べた。

ラーキン氏は後にエポック・タイムズに対し、もし米政府が中共の直接関与を示す証拠を持っていたとしても、それは「極秘扱い」であり、公表されることはないだろうと語った。

また、連邦政府にはRICO法をはじめとする違法マリファナ対策の「手段はあるものの」「その意思があるかどうかは不明だ」と指摘。多くの選出議員は、若年層有権者の支持を失いたくないため、マリファナ問題に触れようとしていないと示唆した。

「ニューヨーク市には、規制を守らないマリファナ店が非常に多く存在している」と同氏は述べた。

「数があまりにも多いため、警察は対応しきれず、そもそも地方検事が起訴する意思があるのかもはっきりしていない」

ラーキン氏によれば、RICO法を適用しない場合でも、司法省は詐欺や「強制労働あるいは奴隷制」といった、マリファナとは直接関係のない犯罪で、容疑者を逮捕・起訴することが可能だという。

ロッゲフェーン氏は、捜査当局が、多くの違法移民が労働搾取の被害者として、テントや老朽化したトレーラー、仮設の合板小屋などで劣悪なキャンプ生活を送っている実態を明らかにしたと述べた。しかし、彼らは自身や米国内および中国にいる友人や家族の命の安全を恐れて、口を閉ざしているという。

「カルテルは人間をゴミのように扱っている」「ひどい状況だ」とロッゲフェーン氏は述べた。

カリフォルニア州では、闇市場が「合法市場を迂回している」と同氏は指摘した。ライセンスを取得し、税金を納め、法律を遵守している合法的な栽培者たちは、「巨大な闇市場が存在し、その規模があまりに大きいため、適切に取り締まることができない」として不満を抱えているという。

2024年8月14日、カリフォルニア州ランカスターで、警察官が違法大麻栽培施設を急襲する。ロッゲフェーン氏によれば、議員たちがマリファナ合法化によって闇市場が縮小すると約束したにもかかわらず、カルテルは州内の合法栽培地の間に違法な栽培を隠すためにこれを利用したという( John Fredricks/The Epoch Times)

 

RICO法の適用

ロッゲフェーン氏によれば、現政権下の司法省はRICO法の適用を検討しているという。過去に、この法律は自らを麻薬王ではなく「フォーチュン500企業のCEO」のように振る舞うカルテルのリーダーを標的にする際に有効に機能してきたからだ。
 
「中共もそのように運営されており、ロシアマフィアもそうだ。タイ系やラオス系のグループも含め、すべてが組織犯罪のように運営されている」とロッゲフェーン氏は述べた。

また、法執行機関のリソースが限られる中で、麻薬取締局は州および地方の機関に資金を提供し、それぞれの管轄内で違法マリファナを押収させていると、南カリフォルニアのリバーサイド郡保安官事務所で違法マリファナを含む麻薬捜査を指揮してきたロッゲフェーン氏は語った。

「私たちは保安官事務所で相当額の資金を受け取り、それがチームの撲滅活動に成果をもたらした」とロッゲフェーン氏は述べた。

政治家たちがマリファナの合法化によって闇市場が消滅すると約束していたにもかかわらず、カリフォルニア州では、カルテルは合法的な栽培の中に違法事業を隠す機会としてこれを利用し「州内ほぼすべての地域」に進出したという。

ロッゲフェーン氏は、「メキシコのカルテルであれ、中国の中共であれ、彼らはこれらの地域に進出し、栽培を始めた」と述べ、現在では闇市場のマリファナを大量に全国へ出荷し、ニューヨークやフロリダの高値市場に供給しているという。

さらに、法執行機関は、医療用および娯楽用マリファナを合法化した州での取り締まりからリソースをそらし、検察官も起訴を行わず、違法栽培に対する刑罰も軽減されたとロッゲフェーン氏は説明した。

この隙間を突いて、中国系、ラオス系、タイ系、メキシコ系、ロシア系カルテルやその他の組織犯罪グループがこれらの州に押し寄せたという。

「彼らは完全に押しつぶされている」と同氏は述べた。

ロッゲフェーン氏は、警察は現在カルテルに「追いつこうとしているが、それはまるで吸気性胸部外傷に絆創膏を貼っているようなものだ」と述べた。

「我々が押収している量は、実際に市場に出回っているものに比べれば取るに足らないものだ」とロッゲフェーン氏は語った。

中国系の作戦

オクラホマ州麻薬取締局によれば、2018年にオクラホマ州が大麻由来のカンナビノイド製剤の栽培・販売を合法化して以来、同州は米国におけるマリファナ闇市場の主要拠点の一つとなっている。

オクラホマ州麻薬取締局の広報担当者であるマーク・ウッドワード氏は、同州で不正に免許を取得していた大麻農場の大半は、2022年末ごろの新型コロナウイルス感染症の流行最盛期に、中国系の所有者または運営者と関係していたと、エポック・タイムズ紙に語った。

「現在でも、メキシコ、アルメニア、セルビア、ブルガリア、ロシア、さらにはイタリア系マフィアと関わりのある農場も見られる。しかし、オクラホマ州のピーク時における闇市場農場の約85%は、中国系組織犯罪に関連していたと言えるだろう」とウッドワード氏は述べた。

同氏によれば、2024年3月には、中国大使館の職員、Zhu Diが、中国系組織犯罪とのつながりが疑われる文化協会を2度訪問し、既知の犯罪者と面会したが、更なる詳細は公表できないとしている。

中共は、米国における中国系組織犯罪や違法マリファナ事業への関与を間接的に否定しており、中国は「麻薬に対してゼロ・トレランス政策」をとっており、海外にいるすべての中国市民もこれを遵守する必要があるとしている。

「完全なる嵐」

マリファナが何らかの形で合法化されている州が40州あるにもかかわらず、オクラホマ州が違法栽培者のホットスポットとなった理由の一つは、COVID-19パンデミック時にカリフォルニア州など他州がロックダウンしていたのに対し、オクラホマ州は「開かれた州」だったことだという。

緩い法律、安価な土地、低価格のライセンス、そして手軽に稼げることに惹かれ、中国系の栽培者たちは、オクラホマ州に拠点を置く不誠実な企業の助けを借りて大量に流入し、闇市場のマリファナは「ほぼ一夜にして」爆発的に拡大したと、ウッドワード氏は述べた。

その後、州は、違法栽培者が名義貸しを通じてライセンスを取得するのを手助けしたとして、弁護士やブローカーを起訴したという。いわゆる「幽霊オーナー」は、実際には中国人が所有する土地の75%の権利を持つとする法的書類に署名していた。ウッドワード氏によれば、あるケースでは、同一人物が州内のほぼ300のマリファナ農場の所有者として記載されていたという。

ロッゲフェーン氏によれば、米国のマリファナ闇市場は年間およそ5,000億ドル規模の産業と推定されており、カルテルは、合法州で比較的低コストで栽培し、それを違法州で高値で転売することで利益を上げているという(John Fredricks/The Epoch Times)

 

「法律事務所が、広東語や福建語のウェブサイトで広告を出していた。なぜなら、闇市場のマリファナを中国人が支配していることを彼らは知っていたからだ」と彼は述べた。オクラホマ州は、「驚くほど安価」で「高品質」な不法栽培の大麻を輸出する、より集約された拠点として台頭した。

「まさに完全なる嵐でした」とウッドワード氏は語った。

オクラホマ州麻薬取締局は、2023年にニュージャージー州やニューヨーク州に向かうセミトラックを摘発した。このトラックには、2800万ドル相当の7千ポンドの闇市場マリファナが積まれていた。また、2021年から2024年にかけて、違法マリファナを積んだ複数のセミトラックが、ほぼ毎晩オクラホマシティや州内から出荷されていた可能性があるという。

州の追跡システムによれば、1年間で約8700万ポンドのマリファナが栽培されたが、オクラホマ州麻薬取締局が記録した販売量はわずか約190万ポンドだったと、ウッドワード氏は述べた。

「つまり、8500万ポンド以上が未計上であり、課税されていない闇市場マリファナであることは明らかでした」と同氏は語った。オクラホマ州のマリファナ農場は、2019年は2千だった農場から、2022年末ごろには約8400の農場に増加し、その多くが組織犯罪や「闇市場パイプライン」とつながっていた、という。

その後、オクラホマ州麻薬取締局はほぼ7千の大麻農場を閉鎖し、州内には約1350農場が残っているとウッドワード氏は述べた。

州内には2200の医療用マリファナ販売所があり、2022年末ごろには38万人以上、オクラホマ州人口のほぼ10%が医療用マリファナの患者カードを保持していた、という。

2022年4月21日、ニュージャージー州ブルームフィールドの医療用マリファナ販売所の前に並ぶ客たち(Kena Betancur/AFP via Getty Images)

 

オクラホマ州は、2022年8月26日から新しい販売所、栽培者、加工業者のライセンス発行を一時停止しており、このモラトリアムは2026年8月1日に終了する予定である。オクラホマ州医療用マリファナ局によれば、州内で商業的にマリファナを栽培するためのライセンス費用は、事業規模に応じて2500ドルから5万ドル以上に及ぶ。

「オクラホマの闇市場の栽培者の中には、不法滞在の中国人労働者を使えば1ポンドあたりわずか100ドルで栽培できると言う者もいる」とウッドワード氏は述べた。

「コストを削減し、その1ポンドがニューヨーク・フラッシングまで届けば、3500~4千ドルで販売できる」

州が違法栽培拠点の閉鎖を進める中で、移民税関執行局(ICE)の捜査官が他の法執行機関と共に作戦に参加し、違法移民を拘束することもあったと同氏は語った。

「目立たない場所に紛れて隠れる」

ウッドワード氏によれば、違法栽培者の「最重要ルール」は「合法的に見えること」「良き隣人であること」を心がけ、ライセンスを取得して疑いを避け「ありふれた風景の中に隠れる」ことだという。しかし2022年、中国系組織犯罪と関係があるとされるチェン・ウーという人物が、オクラホマシティの北西約55マイルにある10エーカーの違法マリファナ栽培地に、30万ドルの回収に訪れた。彼は、犯罪組織に支払うべき金を要求し、農場の労働者がその場で支払わなかったため、発砲した。

「彼は4人を射殺し、さらに5人目を撃ったが、その人物は逃げ延びた」とウッドワード氏は語った。

ウーはフロリダに逃亡したが、2日後にマイアミビーチで逮捕された。彼は当局に、オクラホマに戻れば「マフィア」に殺されるのを恐れていたと供述した。彼は2024年2月にこれらの殺人について有罪を認め、その結果、終身刑の判決を受けた。オクラホマ州麻薬取締局によれば、この違法栽培事業は大麻由来のカンナビノイド製剤のライセンスを不正に取得しており、運営に関わった他の関係者も後に逮捕された。

 

殺人容疑者のチェン・ウーがフロリダで逮捕された後に撮影された写真。中国系組織犯罪と関係があるとされるチェンは、オクラホマの違法マリファナ栽培地で金銭を要求し、支払いがなかったために作業員4人を射殺したとされている(米国保安官局)

下院小委員会の委員長であるジョシュ・ブレッキーン議員(共和党・オクラホマ州選出)は、連邦議会の公聴会での証人の証言から、中共が米国に対する「組織的な攻撃」に関与していることは明らかであり、組織犯罪の「この収斂」に対抗するため、連邦法執行機関の強化を求めた。

「それが、密輸ネットワークであれ、サイバー攻撃であれ、メキシコ系カルテルの支援であれ、彼らはこの国に対して非対称戦争を宣言しており、我々は手元にあるあらゆる手段と資源を使って立ち向かう時だ」とブレッキーン議員は語った。

同氏は、米国は「中共とつながりがある可能性のある」外国の犯罪組織が、国家安全保障上の脅威となり、州や地方の法執行機関の対応能力を超える高度なネットワークを構築することを可能にしてしまった、と述べた。

「これらの栽培事業を運営する一部の外国人は、地元の法執行機関よりも武装が重装備だ」とブレッキーン議員は述べた。

南カリフォルニアを拠点とする受賞歴のあるジャーナリスト
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