【時事観察】2026年 中国共産党五大戦線同時崩壊危機(上) イラン・ベネズエラ激変

2026/01/20 更新: 2026/01/20

2026年が幕を開けたばかりの今、中国共産党(中共)はすでに避けがたい残酷な現実に直面している。それは、過去数十年にわたりこの政権を支えてきた統治メカニズムが、全面的に崩壊しつつあるということである。

口先ではいまだ「安定の中に好転あり」と唱えているが、現実はその正反対である。危機は幾重にも折り重なり、問題は一波未平にしてまた一波起こる。(一難去ってまた一難)もはや一部の局所的な出来事ではなく、五つの戦線で同時多発的かつ構造的な崩壊が起きているのである。

この五つの戦線は、巨大な楼閣を支える五本の柱のようなものであり、いずれも今や揺らぎ始めている。

第一の戦線は、「地政学的戦略」の崩壊である。
イラン情勢の変化はあまりにも速く、中共が中東で最も重視してきた代理人政権が崩壊の危機にある。さらにベネズエラでも政権交代が起こり、中共が長年にわたり中南米で築いてきた「橋頭堡(きょうとうほ、敵地への進出・攻撃の足がかりの前進拠点)」が一挙に瓦解した。

第二の戦線は、体制内部の防衛線の崩壊である。
アメリカ中央情報局(CIA)は中共幹部に対する工作を強化し、その「釣り針」はついに中共の体制深部にまで到達した。

第三の戦線は、「反腐敗」運動による恐怖の拡散である。
官僚間で粛清が止まらず、誰もが自らの身を案じる状態が続いた結果、行政機構全体が大規模な「機能麻痺」に陥っている。

第四の戦線は、中国経済の下方スパイラルである。
不動産危機、債務膨張、デフレが絡み合い、解けない経済の「死結(一度結ぶと簡単にはほどけない)」となって中共を締め上げている。

そして最後にして最も致命的なのが、「社会の情緒変化」である。
民衆が中共に挑戦状を叩きつけるようになり、中国社会に「覚醒」が広がりつつある。

今回の番組では、中東とラテンアメリカの激変を手がかりに、この「五大戦線崩壊」現象の背後にある連鎖反応を読み解く。2026年のこの波乱の幕開けが、中共を本物の「大雪崩」へと引きずり込むことになるのか、その行方に焦点を当てたい。

1. イラン反政府デモとベネズエラ政変 中共地政戦略の崩壊

まずイランから見ていく。イランで続く反政府抗議は、すでに3週間目に突入している。アメリカはいまだ軍事介入には踏み切っていないものの、アメリカ・イラン関係はすでに限界まで緊張している。

転機となったのは1月17日である。トランプ米大統領はPoliticoのインタビューで「イランに新たな指導者を見出す時が来た」と述べ、アヤトラ・アリ・ハメネイが37年にわたり権力を握ってきた時代は「終わりを迎えた」と示唆した。

トランプ氏は「イラン現政権がここまで持ちこたえたのは、弾圧と暴力によるものだ。本当の指導力とは、人々におそれではなく敬意と信頼を抱かせるものだ」と訴えた。

同じ日、アメリカ国務省もX(旧ツイッター)のペルシャ語公式アカウントで声明を発表し、イラン当局を名指しで批判した。

「あなたたちは国家の真の問題を解決していない。ただ沈黙を選んだだけだ。だが、その沈黙こそが、あなたたちが自らの正当性に自信を持てていない証拠だ」と述べ、当局によるインターネット遮断の継続も非難した。

この抗議運動は当初、経済苦境への不満から始まったが、その後まもなく反政権デモへと発展した。

アメリカに拠点を置く「人権活動家通信社」(HRANA)の統計によると、当局の弾圧で3090人が死亡し、2万2千人以上が拘束されたという。

こうした事態に対し、中共はどう反応したのか。一言で言えば、「内部では極度の警戒、対外的には意図的な沈黙」である。

大紀元の報道によると、中共の外交システムおよび安全部門は中東情勢を注視しており、イランの混乱が周辺国へ「波及」することを警戒しているという。

中共内部では特に次の三点が注目されている。
第一に、今後もイランから原油を購入し続けるべきかどうか。
第二に、イラン国内の中資系プロジェクトが継続可能かどうか。
第三に、情勢が制御不能になった場合、人員をどう撤収し、事業をどう処理するか、緊急対応策をどう整えるかである。

報道によれば、中共が中東各国に置く大使館・領事館には、情報報告の頻度を引き上げるよう指示を出した。

イランに駐在する外交官や派遣職員にはすでに「撤収準備に入れ」という通達があり、イラン関連事業を持つ中資企業には、現地駐在員のリスク再評価が求められている。

しかし、中共を震え上がらせているのはイランだけではない。

ベネズエラの主導権がアメリカに

1月3日、ベネズエラの独裁者がアメリカに拘束され、ニューヨークで裁判にかけられた。

1月5日、ベネズエラのマドゥロ前大統領は、米国連邦捜査官の護衛を受けながら装甲車に乗り込み、ニューヨーク市の連邦裁判所へ向かった (XNY/Star Max/GC Images)

アメリカの人口研究所所長で『悪魔と共産中国』(The Devil and Communist China)の著者スティーブン・W・モッシャー氏は、17日付の『ニューヨーク・ポスト』への寄稿でこう指摘した。

「イランとベネズエラは、中共が中東とラテンアメリカで最も親密な同盟関係を築いてきた二つの国だ。両国の原油輸入量はかつて中国全輸入量の3分の1を占めていた。今、この二つが同時に揺らげば、中共が混乱するのは当然だ。エネルギーも、メンツも、一挙に失うことになる」と述べた。

突き詰めれば、中共にとって致命的なのは、原油価格の高騰そのものではなく、これまでの「やり方」が崩されつつある点である。

すなわち、制裁の抜け道を悪用し、独裁的な同盟国と結託して安価な石油を確保するという手法、その仕組み自体が抜本的に覆されようとしている。

モッシャー氏によると、ベネズエラは世界の石油埋蔵量の約17%を占めているが、今後そのインフラ整備はアメリカ企業によって再建される可能性が高い。

資源の主導権は次第にアメリカ側に移りつつあり、中共が「安く漁夫の利を得る」余地はもはやない。

さらに注目すべきは、トランプ氏が1月9日に北京に向けて発したメッセージである。「中国は、必要なだけ我々(米国)から石油を買えばいい」と述べたのだ。

この一言は、まるで警告のようにも響く。今後、中国が石油を調達するには、アメリカの顔色をうかがわざるを得なくなるという意味合いを含んでいる。

イラン政権が崩れれば、安価な原油の供給は断たれかねない。ベネズエラまでもがアメリカの掌中に入れば、中共のエネルギー供給はますます受け身になる。

それが意味するのは、単なる経済的圧力にとどまらない。それは同時に「軍事的圧力」でもある。艦艇・戦闘機・ミサイル、そして兵站システムの生産と運用は、すべてエネルギーに依存している。燃料が枯渇すれば、民生も軍事もともに崩壊する。

モッシャー氏はさらに指摘する。ベネズエラでは中共製の武器システム一式が破壊されたが、アメリカ軍側には一人の死傷者も出なかった。この事実自体が、中共にとって痛恨の恥となった。

そればかりか、各国の同盟・友好勢力も、中共が「実際には守ってくれない」存在であることを見抜いた。この結果、中国の軍需産業輸出、特にレーダー、ドローン、ミサイル分野は打撃を受けかねない。

もしイラン政権が本当に崩壊すれば、モッシャー氏はそれを「現代版ベルリンの壁崩壊」とも言える転換点になると表現している。イランがヒズボラ、フーシ派、ハマスといった勢力への資金や武器供給を止めれば、中東の勢力図は急速に再編される。

アメリカは中東から資源を引き上げ、インド太平洋へ集中投資することが可能になり、圧力の矛先がより直接的に中共へ向けられる構図となる。

それは中共にとって決定的な展開である。台湾海峡をめぐる賭けに出ようとしていた矢先に、アメリカが余力を得て全面対中圧力をかける構えを見せる。しかも原油の供給は他国に握られている──まさに最悪の展開である。

モッシャー氏は結論づける。「ベネズエラとイランが同時に没落すれば、中共は『アジア支配』の野望を一時的に棚上げせざるを得なくなるだろう。中国経済は打撃を受け、威信は失墜し、アメリカの影響力が強まる」

さらに「自由は感染性を持つ。中共上層部が最も恐れているのは外圧ではなく、民衆の心が『自由の風』に触れて覚醒していくことだ」と述べた。

中共の中南米戦略 崩れ始めた

ベネズエラのマドゥロ大統領逮捕後、中共が中南米で最も重視してきた「橋頭堡」は大きな痛手を被った。その余波はキューバやコロンビアにも及び、同地域の情勢は動揺している。

かつてベネズエラは、中共がアメリカ大陸に築いた最も安定した拠点であった。中共は「石油と引き換えの融資」政策を打ち出し、600億ドル(約9兆円)超を投じてマドゥロ政権を延命させる一方で、エネルギーを確保し、同時にアメリカの裏庭への影響力を拡大してきた。

しかしマドゥロ氏失脚によって状況は一変した。アメリカはベネズエラから中国への石油輸出を全面停止とし、ベネズエラ政府に対し、中国・ロシア・イラン出身のスパイや軍事顧問の追放を要求した。

こうして中共の中南米戦略は、まるでドミノの列が倒れていくかのように崩れ始めた。一つが倒れれば、その後ろに連なる列も次々と倒れていく光景である。

コロンビアでは、トランプ氏の強硬姿勢を受け、ペトロ大統領がただちにトランプ氏との対話再開を電話で申し出た。キューバではベネズエラからの石油供給の滞りで経済難が一層深刻化している。さらにホンジュラスの新大統領アスフラ氏は「台湾との国交再開を検討する」と明言し、中共が多大な労力を費やして獲得した「外交成果」も崩壊の危機にある。

しかも、中共が頼みの綱とする「外部支援」も不安定である。ロシアはウクライナ戦争で手一杯、イランは抗議デモに揺れている。中東のカードが崩れれば、その影響で中共の外交的持ち札も同時に減っていく。

結局のところ、中共がこれまで取ってきた「同盟国からの供血に依存し、代理国家を通じて勢力を拡大する」という戦略そのものが、根底から揺らぎ始めているのである。

2. CIA寝返り工作強化 中共内部防衛線の瓦解

多くの人は、アメリカの中共に対する戦略といえば、関税、ハイテク分野での封鎖、外交的圧力の追加だと考えるかもしれない。しかし、アメリカの真に強力な一手は別にある。それが「内部から体制を崩す」やり方である。

1月15日、アメリカ中央情報局(CIA)はX(旧ツイッター)上で、中共官員に向けた三本目の「寝返り工作」を促す動画を公開した。その動画では「9つの安全な行動手順」を提示し、「CIAは中国の真実を知りたい。我々はその真実を知り、伝えることができる人物を探している」と記している。

実は昨年5月の時点で、CIAはすでに同様の動画を2本公開しており、その際の重点は中共官員に対し「自分や家族の将来を共産党に縛りつけるな。早く逃げ道を確保せよ」と警告する内容であった。

アメリカ政府のある官員はロイター通信に対し、最初の2本の動画は「期待した効果を得られた」と語り、「もし効果がなければ、さらに続けて展開することなどなかっただろう」と述べた。また彼は「中共はCIAの最優先の情報目標だ」とも指摘した。

台湾国防安全研究院の研究員・沈明室氏も大紀元に対し、「CIAがこのような行動を取っているのは、アメリカが最近、中国本土内部で新たな変化を察知したからだろう」と分析した。「習近平やその派閥内での権力闘争に関する話が増えており、それぞれの派閥が自らの保身に走る中、アメリカはその隙を突こうとしている」と語った。

ここ数年、中共のロケット軍に関わる大型汚職事件が頻繁に報じられているが、その背後には機密漏洩の疑いがあるとされる。前国防部長・魏鳳和氏は当局から「忠誠に背いた」と通報された。中共の用語でこれは「敵側に通じた可能性がある」ことを意味する。

今回のCIAによる動画公開のタイミングは、トランプ政権がマドゥロ大統領の逮捕を発表した直後と重なっている。

最近、中国のネットユーザーの間では「トランプが同じやり方で習近平を逮捕してほしい」という書き込みも見られる。

中共は当然ながら恐怖心を抱いており、一部では「オンライン地図上で中南海の位置が正確に検索できなくなっている」との指摘も出ている。

沈明室氏は「もしアメリカが中国内部に情報提供者を得て、習近平または他の高官らの核心情報を入手できれば、アメリカにとって『斬首作戦』を実行する上で有利に働く可能性がある」と述べた。

また同氏は「中共の一部の公式発表からも、反乱の意思を持つ者が少なくないことがうかがえる」と指摘し、その一例として「中紀委(中央紀律検査委員会)全体会議の公報では、『二心を抱き、言行が一致しない二面人を断固として一掃せよ』と強調している」と述べた。

言い換えれば、党内部に不忠な人物が多数いるとの疑念を持っているという意味である。

では、この先どうなるのか。おそらく「反腐敗」の名を借りた政治的粛清が、さらに拡大していく可能性が高い。

そして、まだ調査を受けていない官員たちは、自己保身のために先手を打つかもしれない。たとえばCIAが提示した連絡方法を見て亡命を早めたり、そのままアメリカの内部協力者となることもある。

だからこそ、この手法こそが真の意味での「内部からの体制崩し」である。外から扉を叩き壊すのではなく、内部から一つずつネジを緩めていくやり方なのである。

(つづく)

唐青
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