中共軍機関紙の2本の重要論考から張又侠事件を分析

2026/02/03 更新: 2026/02/03

先月24日、中国共産党軍の重鎮である張又俠および劉振立の失脚が公式に発表された。

翌25日には中国共産党(中共)軍機関紙『解放軍報』が、1面の目立つ位置に社論「軍隊反腐敗闘争の攻堅戦・持久戦・総体戦に断固として勝利せよ」を掲載し、冒頭から「全軍の将兵は党中央の決定を断固支持し、思想・政治・行動の各面で習近平同志を核心とする党中央と高度な一致を保ち、党中央、中央軍事委員会および習主席の指揮に断固として従い、部隊の高度な集中統一と純潔性を確保しなければならない」と強調した。

さらに31日、わずか6日後に『解放軍報』は再び記事1面で、評論記事「反腐敗への必勝・強軍必ずや成るという信念と自信を堅持せよ」を掲載し、再度「全軍の将兵は思想・政治・行動の各面で、習近平同志を核心とする党中 央と高度な一致を保たなければならない」と訴えた。

しかし、1月25日から31日までの6日間、『解放軍報』には、張又俠および劉振立の処分を支持する軍の動きを伝える報道が一切見られなかった。各大軍区、兵種、総部からの支持表明はなく、基層部隊の将兵による発言や決意の表明も皆無だった。

これは正常な状況なのだろうか。答えは否である。

その異常さは、かつての郭伯雄、徐才厚中央軍事委員会副主席の失脚と比較すれば明らかだ。当時も両者の失脚後、『解放軍報』は社説を掲載し、全軍に対して党中央、中央軍委、習主席との高度な一致を求めた。しかしその後、わずか数日の間に、各軍区、兵種、総部、さらには基層の官兵に至るまで、中央の決定を断固支持するとの報道が連日のように紙面を埋めた。

これは、郭伯雄・徐才厚の処分に関しては、軍の上下が実際に「習近平を核心とする党中央」と高度な一致を保っていたことを示している。

これに対し、張又俠失脚後はどうか。習近平は『解放軍報』を通じて繰り返し全軍に忠誠の表明を求めているにもかかわらず、現在に至るまで、支持や忠誠を示す具体的な報道は一切現れていない。

この沈黙は、ネット上で流布してきた噂、すなわち軍全体が張又俠の摘発に不満を抱き、中央軍委からの複数の指令が広範に抵抗を受け、軍令が現場で空回りしているという見方の信憑性を裏付けるものと受け取れる。

1月31日に『解放軍報』が再び1面で、「思想・政治・行動の各面で習近平同志を核心とする党中央と高度な一致を保て」と強調した背景には、まさにこうした軍内部の異常事態がある可能性が高い。

これは、張又俠を失脚させること自体は容易でも、全軍からの忠誠を確保することは容易ではないことを示している。軍上層から基層に至るまで続く沈黙を前に、習近平の焦燥は想像に難くない。これが第一の論点である。

第二の論点は、手続き上の異例さだ。郭伯雄、徐才厚の失脚時には、まず中共中央政治局会議で発表され、その後に『解放軍報』が社説を掲載するという順序が踏まれていた。ところが、張又俠失脚の最初の情報源は政治局ではなく、中共国防部の公式サイトだった。これは明らかに通例から逸している。

その後、『解放軍報』は1月25日の社説および31日の評論文章の双方で、張又俠と劉振立の処分は「党中央の決定」であると明記している。仮に事態が急で手続きが追いつかなかったとしても、1月30日に開かれた中共中央政治局会議で、この問題が取り上げられ、手続きが補完されるのが通常であろう。

しかし、張又俠失脚後に初めて開かれた政治局会議では、張又俠や劉振立の名前は一切触れられず、「党中央の集中統一的指導を堅持する」との抽象的表現に終始した。

では、『解放軍報』が「党中央の決定」とした表現は事実ではなく、独自の言い分に過ぎなかったのだろうか。もしそうであるなら、なぜ軍報は虚偽とも取れる表現を用いたのか。

考えられるのは、習近平が『解放軍報』を通じて「党中央」の名義を前面に掲げ、その権威を盾に、軍内部、特に張又俠系の勢力に対して服従を迫ろうとした可能性である。

袁斌
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