日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏が、2026年2月中旬、中国共産党(中共)政権が日本に仕掛けている認知戦について講演を行った。本講演において仲村氏は、中共政権が沖縄を標的として仕掛けている「認知戦」の構造を解き明かすとともに、それに対抗するための強固な歴史的視座と国を守る覚悟を説いた。
沖縄をめぐる「認知戦」の脅威
現在、日本国内、とりわけ沖縄において、中共による「認知戦(Cognitive Warfare)」が激化している。仲村氏は、中国側の準備段階はすでに終了し、日本から主権を剥奪する意図を持って実行段階に移っていると警告する。
この認知戦の中核にあるのが「ナラティブ(物語)」である。これは嘘と事実を巧みに繋ぎ合わせ、偽りの物語を構築して相手を洗脳する手法を指す。中共側が流布しようとしているナラティブは、「沖縄県民は日本人ではなく、独自の民族(琉球人)であり、日本政府や米国によって搾取・差別されている」というものである。
具体的には、中共の「三戦(世論戦・心理戦・法律戦)」という大計略の中で、以下のような工作が行われている。
- 国連を利用した法律戦: 国連の場において、沖縄の人々を「先住民族」と認定させようとする動きが活発化している。2008年以降、国連から日本政府に対し、沖縄の人々を先住民族として認め、権利を保護するよう勧告が繰り返されている。これは、沖縄の主権が日本にないことを国際社会に認めさせ、最終的に自衛隊や米軍を「占領軍」とみなすための布石である。
- 被害者意識の植え付け: 沖縄県民に対し、「日本に差別されている」「基地を押し付けられている」という被害者意識を増幅させることで、日本本土との精神的な分断を図っている。
ナラティブに対抗する歴史的視座
仲村氏は、こうした中共のナラティブに対抗するためには、正しい歴史認識が不可欠であると強調する。もし自衛隊の指揮官が「沖縄は元々日本ではない」「差別されてきた」という偽りの歴史観を持っていれば、沖縄を守るという動機が揺らぎ、戦わずして敗北することになるからである。
講演では、以下の歴史的事実が提示された。
沖縄のルーツと「倭寇」
一般に信じられている「平和な琉球王国」というイメージとは異なり、沖縄の歴史的起源は室町時代の武装商船団「倭寇」にあると仲村氏は指摘する。勝連城跡からローマ帝国のコインが出土した事実などは、沖縄が単なる中国の冊封体制下にあっただけでなく、独自にグローバルな交易を行っていた海洋勢力(強い倭寇)であったことを示唆している。


祖国復帰運動の真実
戦後の沖縄返還運動は、単なる領土の回復ではなく「日本民族への復帰」を渇望する運動であった。1951年のサンフランシスコ講和条約締結時、沖縄県民の8割が「祖国日本への即時復帰」を求める署名を行い、マッカーサーや吉田茂首相に届けられた。吉田首相はこの署名を見て沖縄の魂に触れ、講和会議で「潜在主権」の確保を宣言したのである。
佐藤栄作首相の決意
1972年の沖縄復帰記念式典において、佐藤栄作首相(当時)は「沖縄は祖国に復帰いたしました」と宣言し、戦争によって失われた領土を平和的に回復した歴史的意義を強調した。この事実は、沖縄が決して「切り捨てられた」のではなく、国家の悲願として取り戻されたことを証明している。
国を守る覚悟
仲村氏は精神的な武装の重要性を説いた。
中共が仕掛ける認知戦は、物理的な戦闘が始まる前に、相手の戦う意志を挫くことを目的としている。したがって、「沖縄を守る」という行為は、単に領土を守るだけでなく、「日本民族の分断を防ぎ、統一を守る」という深い意義を持つものであると認識しなければならない。
仲村氏は、正しい歴史を知り、沖縄県民がかつて示した祖国愛と一体感を再確認することこそが、最強の抑止力になると結論付けた。「命を懸けて沖縄を守る」という強固な決意と、明確な説明能力こそが、認知戦に打ち勝つ鍵となるのである。
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