中国 出世より生き延びることを選ぶ時代

中国若者が夢を捨てた 広がる「あきらめ」

2026/03/31 更新: 2026/03/31

「もう高い給料はいらない。ちゃんと帰れる仕事だけでいい」

中国の若者の間で、こうした声が広がっている。

背景にあるのは、厳しさを増す現実だ。長時間働いても収入は伸びず、休みも少ない。しかも仕事は安定せず、いつ職を失うか分からない不安がつきまとう。

かつては「努力すれば報われる」と信じられていた。だが今、多くの若者はそれを信じていない。

その変化は、日常の過ごし方にも表れている。

週末になると、スーツケースを引いた若者がスーパー銭湯に集まる。数千円で一夜を過ごし、スマホを見ながら静かに時間をつぶす。そこは、現実から少し離れるための場所になっている。

旅行の仕方も変わった。遠くへ行く余裕がないため、飛行機の乗り継ぎ時間を利用し、途中の街に短時間だけ立ち寄る。安い食事をして、少し歩き、また移動する。限られたお金で気分転換をするための工夫だ。

こうした行動に共通するのは、「無理をしない」という選択である。

高収入や出世を目指すのではなく、「定時で帰れること」「毎月きちんと給料が出ること」を重視する。目標そのものを引き下げることで、なんとか日々を乗り切ろうとしている。

その背景には、変えようのない現実がある。努力しても収入は増えず、将来の見通しも立たない。人脈や後ろ盾がなければ選べる仕事は限られる。

結婚や住宅購入といった将来設計も、多くの若者にとって現実的ではなくなりつつある。

その結果として広がっているのが、「あきらめ」である。頑張っても報われないと感じた若者たちが、やむを得ず選んだ生き方だ。

競争から一歩引き、目標を下げ、無理をしない。静かに広がるこの変化は、いまの中国社会が抱える問題の深さを映し出している。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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