中共ロケット残骸による宇宙ごみ問題が深刻化する理由

2026/05/27 更新: 2026/05/27

使用済みの上段ロケットは宇宙ごみの中でも最も危険な部類に属する。中国共産党(中共)は近年、宇宙開発を急速に拡大しており、大量の宇宙ごみを生み出している。専門家の分析によれば、中共がロケット打ち上げを継続する限り、使用済みロケットをめぐる問題は悪化する一方だという。

10年前まで、中共の年間軌道投入ロケット打ち上げ数が20機を超えたことは一度もなかった。しかし2022年以降、中共は64機を打ち上げ、昨年は過去最多の93機という記録を樹立した。中共のロケット打ち上げには一つの重大な問題がある。上段ロケットの処分に関する既定の規範を無視していることだ。上段ロケットとは、第一段ロケットから分離した後、衛星や宇宙船を所定の軌道に投入する役割を担う飛行体部品を指す。

過去20年ほどの間に、大多数の国(および国内の民間企業)は上段ロケットの処分について、より責任ある対応を取るようになった。数トンもの巨大な金属塊を近地球軌道上に放置し続ければ、いずれ重大な問題を引き起こすことは明らかだからだ。

中共ロケット残骸の質量が驚異的な増加を示す

米国の著名な技術系ニュースサイト「Ars Technica」は5月26日、欧州宇宙機関(ESA)のスペースデブリ オフィスおよびジョナサン・マクダウェルが編纂した「人工宇宙物体総目録」のデータを基に分析記事を掲載した。それによると、旧ソ連(およびその後継国ロシア)がこの問題の「最大の加害者」であり、地表から600〜2千キロの長寿命軌道上に約800トンものロケット機体を放置している。これに対し、米国が同軌道上に残置した使用済み上段ロケットの総重量は約57トンに過ぎない。ただし、これらの数値はおおむね横ばいであり、ロシアについてはロケット段が軌道離脱・落下するにつれて、むしろ緩やかな減少傾向を示している。

一方、中共のロケット残骸の質量は驚異的な増加を示している。宇宙状況把握(SSA)の専門家、ジム・シェル氏の最新分析によれば、過去5年間で長寿命軌道上に滞留する中共のロケット残骸の質量は、100トン未満から252トンへと急増した。

「中国(中共)は……近地球軌道の高高度領域に大量のロケット残骸を放置し続けている」とシェル氏は5月25日、LinkedInに投稿した。

「軌道上のデブリの総質量は、宇宙環境の長期的な持続可能性を左右する重要な変数だ。使用済みロケット上段を長寿命軌道上に放置することは『ベストプラクティス』とは言えない。これはすべての主要宇宙開発国が認めている事実だ」

中共の巨大低軌道衛星網計画が大量の廃棄ロケットを生み出す

シェルは、中共のロケット上段残骸数の近年の増加は、主として打ち上げ頻度の上昇に起因していると指摘する。中共政府が大規模な「衛星メガコンステレーション」の展開を開始したことで、打ち上げ件数が急増した。

「衛星メガコンステレーション」とは、数百から数万機の人工衛星で構成される巨大ネットワークを指す。これらの衛星は低地球軌道(LEO)上で協調して運用され、継ぎ目のない宇宙網状インフラを形成する。

中共の宇宙産業は現在、大規模衛星コンステレーションの展開初期段階にあり、中共政府がこうしたロケット残骸の放置慣行を改めない限り、すでに過密状態にある宇宙環境はさらに悪化する。「国網」や「SpaceSail(千帆星座)」などの中国衛星コンステレーションは通常、高度800キロ以上の比較的高い軌道で運用される。これらのコンステレーションを支えるため、中共は今後10年間に1千機以上のロケットを打ち上げる可能性がある。

国網は中共初の国家主導による巨大低軌道衛星網計画であり、国務院国有資産監督管理委員会(国資委)直属の中国衛星網絡集団(CSNG)が主導する。「SpaceSail」は中国では通常「千帆星座(G60スターリンク)」と呼ばれ、中共が計画する低地球軌道衛星インターネット・メガコンステレーションで、上海垣信衛星科技有限公司が主導する。

2024年8月6日、中共国有の上海航天衛星技術有限公司(SSST)は長征6A型ロケットで18機のインターネット衛星を軌道に投入した。これが中共の「千帆ブロードバンドネットワーク」の初期衛星群となった。ペイロードを展開した直後、上段ロケットが爆発し、拡大し続けるデブリ群を生成した。米宇宙軍司令部(USSPACECOM)は当時、上段ロケットの分解によってデブリ群が形成され、現在も地球周回軌道上を飛行しており、同軌道の高密度領域にある1千機以上の衛星やその他の物体が危険な衝突リスクにさらされていると発表した。

2024年6月30日、中国の民間宇宙企業・天兵科技(スペース・パイオニア)は新型「天龍3号」ロケットの推進系統静的点火試験を実施した。エンジニアが推進器を検証していたところ、発射台に固定されているはずのロケットが予期せず自力で飛翔し、爆発した。機体は最終的に河南省鞏義市の山中に墜落した。民間インフラに近い場所に燃焼中のロケット部品が落下する様子を捉えた映像が相次いで公開された。

ロケット残骸が衛星より危険な理由

「Ars Technica」の記事によれば、衛星数は廃棄ロケット残骸数を10対1以上の割合で大きく上回るが、衛星は通常サイズが小さく、軌道接近(衝突リスク)が生じた際に軌道変換機動で回避できる。これに対し、ロケット残骸は「死んだ」物体であり、姿勢制御も軌道変換もできない。このため、「最も懸念される」宇宙ごみに分類されるものの大多数はロケット残骸が占める。

現代の宇宙打ち上げにおけるベストプラクティスは、上段ロケット内に推進剤を一部残留させ、任務完了後に当該段を適切に処分することとされている。低軌道打ち上げ任務(たとえばSpaceXのファルコン9ロケットによるスターリンク衛星の投入)では、ロケットは大気圏に再突入する「デオービット点火」を実施し、陸地から遠く離れた海域、通常南太平洋のど真ん中にある「ポイント・ニモ」付近に落下させる。高高度打ち上げ任務では、一部のロケットが上段を太陽周回軌道に送り込む場合もある。

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