米国株式市場が激しく乱高下 投資機関で見方に相違

2026/06/08 更新: 2026/06/08

強い米雇用統計の発表を受け、6月5日の米国株式市場は激しく乱高下し、主要3指数がそろって急落した。今後の資本市場の動向をめぐっては、ゴールドマン・サックスをはじめとする投資機関の見方が分かれている。

米株式市場の主要3指数は先週6月5日に一斉急落した。ダウ工業株30種平均は1.4%下落し、5万866.78ドルで引けた。S&P500種指数は2.64%安の7384.59ドルで、2025年10月以来最大の1日下落幅を記録した。ナスダック総合指数は4.18%安の2万5709.43ドルと、1100ポイント超の下落となり、2025年4月以来最大の1日下落幅となった。

分析機関は、米国株が「暗黒の金曜日」を演じた主因として強い雇用統計を挙げる。今回のデータは連邦準備制度理事会(FRB)が近い将来に利下げを実施するとの期待を大幅に後退させた。FRBが長期にわたって景気抑制的な金融政策を維持、あるいは利上げに転じる可能性があり、利上げがもたらす高金利環境は株式市場、とりわけハイテク株にとって主要な下押し圧力となる。

最新の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は17.2万人増と、市場予想の8.5万人を大幅に上回った。失業率は4.3%で横ばいを維持した。

一方、投資家心理を測るCNNの「恐怖と欲望指数(CNN Fear & Greed Index)」は過去1か月間で変動を繰り返した。5月1日には同指数が71と、投資家が「欲張り」な状態とされる水準にまで達したが、5月中旬には63まで低下した。6月7日時点では55となり、依然として「中立」の領域にあるものの、投資家が徐々に「恐怖」の領域に近づいていることを示している。同指数はCNN(ケーブルテレビネットワーク)が2004年に設計した市場センチメントの変動を測る指標である。

ゴールドマン・サックスの米州株式執行サービス責任者ジョン・フラッド氏はブルームバーグの取材に対し、6月5日の下落は週末前の利益確定売りに加え、IPO(新規株式公開)を通じてより多くの株式が市場に供給されるとの投資家の見込みによるものとの見方を示した。過去にはこうした売りが、投資家が買いを入れてリターンを得る機会となることが多かった、と同氏は述べた。

フラッド氏は「今年これまで買い場は多くなかったが、歴史的に見てS&P500種指数が2%調整した際に買いを入れると、おおむね利益が得られてきた。この傾向は今後も続くと考えている」と述べた。

また同氏は、投資家から最も多く挙げられる懸念事項として、インフレ、イランをめぐる地政学的緊張、プライベートクレジットへの不安の3点を指摘し、これらは信頼感が悪化しているサインではなく、健全な「懸念の壁(Wall of Worries)」だと述べた。

AI産業への資金流入が加速 バブル化懸念も浮上

市場では技術・AI(人工知能)産業に資金が大量に流入しており、バブル化への懸念が高まっている。公開情報によると、今後5年間で企業がAIに投じる設備投資の累計額は約5兆ドルに上る見通しで、そのかなりの部分は負債による資金調達が占めるという。バークレイズの5月の報告書によると、米国の超大規模テック企業が今年これまでに世界で発行した無担保債券の額は1550億ドルを超え、前年通年の発行総額を45%以上上回った。

債券・クレジット大手のダブルライン・キャピタル(DoubleLine Capital)のファンドマネジャー、ロバート・コーエン氏はブルームバーグのグローバル信用債フォーラムで、現時点では債券価格や評価水準はまだ過熱していないが、テック企業がAIへの巨大な投資を続ける中で、今後数か月ないし数年のうちにバブル水準に達することは確実であり、その確率は100%だと明言した。

同じく債券・クレジット大手のオークツリー・キャピタル・マネジメント(Oaktree Capital Management)も、バブルがいつ崩壊するかはまだ断定できないとしながらも、将来的に投機過熱が生じる可能性を前提に投資配置を行っているとしている。

英国のマン・グループ(Man Group)が最近公表したリサーチでは、AIバブルは実在しており急速に拡大していると指摘した。鉄道、電力、ネットバブルのいずれにおいても、技術そのものは長期にわたって存続したが、市場の期待が産業の実際の供給能力を超えたため、その資金調達サイクルはしばしば断裂したと論じた。したがって、AIバブルが崩壊するかどうかはもはや時間の問題だとしている。

任義
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