新疆ウイグル自治区前トップを党籍剝奪 習近平側近また失脚 現政権の求心力に影

2026/07/14 更新: 2026/07/14

中国共産党は14日、新疆ウイグル自治区党委員会書記を務めた馬興瑞を党籍と公職を剥奪する処分を決めた。中共当局の発表は極めて厳しい内容で、「親族が職務上の影響力を利用して巨額の利益を得ることを黙認し、一族ぐるみの腐敗を行った」と異例に言及しており、これまで流れていた一部の情報とも符合する内容となった。

新華社通信によると、党中央は馬興瑞の党籍剝奪と公職追放を決定。党中央規律検査委員会(中紀委)と国家監察委員会は、馬興瑞の「重大な規律違反・法律違反」について立件し、調査を実施したという。先月30日に開かれた政治局会議では、中紀委がまとめた「馬興瑞問題の調査結果および処分に関する報告」が審議、了承されたとしている。

当局は、馬興瑞について「政治規律と政治的ルールに重大に違反した」と認定。側近らによる重大な規律違反や犯罪容疑を「黙認し、監督を怠った」と批判したほか、人事で他人に便宜を図り、自身や親族が違法に就職をあっせんしたと指摘した。また、贈答品や金品を違法に受け取り、親族による低価格での住宅購入を支援したほか、「権色交易(権力と色情の取引)」にも関与したと非難した。

特に親族に関する問題については、「親族が職務上の影響力を利用して巨額の利益を得ることを放任し、一族ぐるみの腐敗を行った」と強調。「本人または親族、特定の関係者と共謀し、巨額の財物を違法に受け取った」とも指摘した。

当局は、馬興瑞の事案について「性質は極めて深刻で、影響も極めて悪質」と断定。党籍剝奪、公職追放に加え、第20回党大会代表資格を取り消し、検察当局へ送致して刑事訴追手続きに入るとした。党籍剝奪については、今後開かれる党中央委員会総会で正式に追認される。

これに先立ち、先月26日には全国人民代表大会常務委員会が14人の全人代代表資格の喪失を公告しており、第20期政治局委員だった馬興瑞も対象となっていた。

馬興瑞は昨年7月に新疆ウイグル自治区のトップを退任し、当局は「別の任務に就く」と説明していたが、新たな役職は公表されていなかった。今年4月3日に失脚が発表され、その際、中央農村工作指導小組副組長を務めていたことが初めて明らかにされた。

馬興瑞は昨年10月の第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)以降、公の場に姿を見せず、今年4月になって失脚が公表された。山東省出身で、習近平の妻・彭麗媛氏と近い関係にあるとの見方も流れていたことから、事件の背景に注目が集まっている。

中国問題に詳しい評論家の陳破空氏は、大紀元に対し、「馬興瑞の失脚は習近平と彭麗媛の双方に大きな打撃を与えた」との見方を示した。

陳氏によると、習近平が馬興瑞の失脚を望んでいたのではなく、長期間処分が遅れた背景には習近平や馬興瑞の抵抗があったとしている。馬興瑞は深圳市党委書記時代に彭氏の親族と利益関係があり、習近平の側近であり第20回党大会後の有力幹部だったと指摘した。その上で、「党長老や『紅二代』、党上層部の多数が法的処分を支持したため、近平も馬興瑞を守り切れなかった」と述べた。

独立系評論家の蔡慎坤氏も、大紀元に対し「馬興瑞の問題は汚職だけではない」と指摘した。蔡氏によると、馬興瑞の妻・栄麗は、多数の高級幹部の妻や子女に対し、香港など域外の保険商品を数百万元から数千万元規模で贈っていたとされる。こうした手法で、馬興瑞夫妻は広範で複雑な政治的人脈を築いたとの見方を示した。

また、当局は馬興瑞が側近の重大な規律違反や犯罪容疑を「黙認した」と批判している。これに関連し、広東省政治協商会議副主席だった郭永航は3月27日に失脚した。郭氏は山東省出身で、馬興瑞が深圳市トップだった時代の側近として知られる。

また、かつて中国航天科技集団で馬興瑞の秘書を務め、現在は江西省南昌市長だった高世文についても、先月、経歴が当局の公式サイトから削除された。中国のSNSでは、当局が言及した「側近」とは、広東省から新疆へ同行した秘書の李光禄を指すとの見方も出ている。

馬興瑞は第20期政治局で失脚した3人目の委員となり、これまでに何衛東、張又侠も失脚している。

陳氏は「習近平が第20回党大会で構築した指導部体制は完全に揺らいでいる。習は表向きは依然として権力を握っているように見えるが、権威は大きく失われた」との見解を示した。

唐兵
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