中共が出入国規制を強化 パスポート申請から出国まで制限拡大

2026/08/03 更新: 2026/08/03

中国では、パスポートの申請に何段階もの審査を受ける必要がなくなり、一般市民の私用での海外渡航に対する規制が緩和され始めたのは、1990年代後半のことだった。しかし、中共が7月31日に公布した新たなルールは、これまでの規制緩和に大きく逆行する内容となっている。パスポートの申請から出入国まで幅広く制限される可能性があり、出国制限を執行する権限は「県の出入国管理機関」にまで付与された。中共がまた「鎖国」に向かう強い兆候だとの見方も出ている。

中共は7月31日、「国務院の出入国管理に関する規定」を発表した。9月15日から施行される。

規定は全19条で、主に出国時の安全リスクへの対応、申請理由の事実確認、出入国制限措置の整備、仲介サービスの規範化などについて定めている。

第3条は、移民管理機関やビザ発給機関が、出入国者の身元や申請理由を確認する際、関連事項について質問し、文書や資料、電子データなどの提出を求めることができると定めた。出入国者は調査に協力しなければならないとしている。

第4条は、「中国国民が輸出管理や技術輸出入管理などの規定に違反し、国の産業や重要技術の安全を損なう恐れがある場合、国務院の商務部門など関係当局は、その人物の出国を禁止できる」と明記した。

規定によると、法律に基づき出国禁止を決定した場合、決定機関は当事者に対し、出国を禁止する旨と、その理由および根拠を書面で通知する。ただし、「国家の安全保障や刑事事件の捜査などに影響を与える可能性がある場合」には、当事者に通知しなくてもよいとしている。

また、中国人が海外で国家の安全や利益を損なう違法行為や犯罪行為を行った場合、帰国後、6か月から3年間にわたり出国を禁止される可能性がある。

新規定をめぐっては、ネット上で批判や懸念が広がっている。「これまでで最も厳しく、不透明な出入国規定だ」との声も上がっている。多くの人は、人の移動だけでなく、資金や情報の流れも含め、中国の扉が徐々に閉ざされつつあると受け止めている。毛沢東時代に完全に逆戻りするかどうかは、誰にも分からないとの指摘も出ている。

中国人権弁護士の遊飛宇氏は「一連の政策は、第一に、愚民化政策だ。第二に人の移動を制限し、第三に資金の移動を制限する。国内の人に海外で何が起きているかを知らせず、海外の人が国内の人を支援できないようにするものだ。中共は内部の矛盾が一気に噴き出し、社会が制御不能になることを恐れている」と述べた。

遊氏は、中共が再び鎖国に向かおうとしていると指摘した。反スパイ法や民族団結法、香港国安法なども同じ発想に基づいており、人々が海外との往来を通じて真相を知り、体制にとってのリスクが生じることを防ぐ狙いがあるという。

元人権派弁護士、雷志鋒氏は「中共が中国を支配下に置いているのは、国を永遠に自らの統制下に置くためだ。これまでは、政権に影響を及ぼす可能性のある一部の人だけを対象に、出入国を制限していた。しかし、今回の国務院の出入国管理規定によって、事実上、すべての中国人が出入国管理の対象になったと言える」と批判した。

中国本土の作家で時事評論家の李承鵬氏も、Xへの投稿で、新たな「出入国管理に関する規定」について、「出国制限の拡大、合法化、常態化だ」と指摘した。李氏は、出国審査で理由を告げられないまま足止めされる可能性があり、「国家の安全を損なう」という理由で海外渡航を認められなくなる恐れがあると述べた。

中国の人権弁護士、王全璋氏はネット上で、この規定がなくても、中共はこれまでも人々の出国を制限してきたと指摘した。

近年、いわゆる「国家の安全を損なった」との理由で出国を制限された人は数え切れず、制限期間が終了した後も、恣意的に延長されることは珍しくないという。

多くのネットユーザーが特に理解できず、受け入れられないとしているのが、「虚偽な手段により、出入国証明書を不正取得する行為」に関する規定だ。「何をもって不正取得とするのか。自分のパスポートを申請するのに理由が必要なのか。これは国民の基本的な権利ではないのか」といった疑問が相次いでいる。

遊氏は、「今回の出入国に関する規定や、前の民族団結法を見ると、国内では全体主義的な統治がさらに強化されていることが分かる。国民生活や人権を踏みにじる動きは、さらに深刻になっている」と語った。

遊氏は、中共の政策が今後さらに高圧的で厳しいものとなり、文化大革命期のような制度へ逆戻りし、社会全体がさらに抑圧的で恐怖に満ちた状況に向かう可能性があるとの見方を示した。また、審査権限の拡大は、官僚による権限の私物化を助長し、腐敗をさらに深刻化させる恐れがあると指摘した。

ジャーナリストの方偉氏は、今回の出国制限に関する新規定について、次のようにまとめた。

「当局が出国すべきではないと判断すれば、海外渡航を思いとどまらせることができる。出国理由が不適切とされれば、出国を認めないこともできる。国内で処罰を受けた人や、海外で『国家安全を脅かした』と判断された人、重要技術を持つ人も、出国禁止の対象になり得る」

雷氏は「1990年代には、一般人を含むすべての国民がパスポートを申請できるようになった。それ以前のように、外交関係者や公務員だけが申請できる制度ではなくなり、普通の人も申請できるようになった。しかし、今回中共は扉を完全に閉ざそうとしている。当局が認めない人はパスポートを取得できず、取得できたとしても出国できなくなる」と述べた。

中国の元人権派弁護士雷志鋒氏は、中共が国民全体を対象に出国制限を強化する背景について、国内外の情勢や経済状況を受け、体制側が強い不安を抱いているためだと指摘した。そのため、より厳しい統制に踏み切ろうとしていると述べた。

 

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