「問題を解決するのではなく、問題を提起した人を解決する」
中国のネットで、当局の対応を皮肉る際によく使われる言葉だ。問題そのものを正すのではなく、声を上げた人を黙らせ、問題を見えなくする。
今回、江蘇省の役所で起きた一件にも、「またこのパターンか」と言いたくなるような対応がみられた。
8月25日午前9時ごろ、灌雲県の役所で、始業から30分たっても複数の窓口が無人だった。待たされた市民がその様子を撮影し、SNSに投稿した。
動画が広がると、施設側は「職員は朝の会議中だった」と説明。「当直者はいた」と主張。翌日、来庁者はスマホを入口のロッカーに預けるよう求められ、庁舎内への持ち込みができなくなった。
施設側は、市民に一部の場面だけを撮影され、実態とは違う印象でネットに拡散される恐れがあるとして、スマホの持ち込み制限を正当化した。
さらに、発端となった「勤務時間なのに窓口が無人」の動画も、その後、中国のネット上から削除された。
こうした役所側の対応が伝わると、ネットでは「直すのはそこ?」「窓口の勤務態勢を改めるより先に、市民が撮れないようにするのか」「また問題ではなく、問題を指摘する側を何とかするのか」と批判が噴出した。
こうしたケースは今回が初めてではない。本紙は2025年8月、湖南省で起きたよく似た出来事を報じている。始業時間を過ぎても職員が来ない役所を男性が撮影し、SNSに投稿したところ、2日後の深夜、警察官4人が自宅を訪問。本人は不在だったが、対応した両親が強いショックを受け、農薬を飲もうとする事態にまで発展した。
役所の問題を撮影すると、今回はスマホを持ち込めなくなり、動画も消えた。過去には、同じように役所の問題を撮影した市民の自宅に、深夜、警察がやって来た。家族は農薬を飲もうとするほど追い詰められた。
問題が起きるたび、問題そのものではなく、それを表に出した側への「対策」が先に進む。「ああ、やっぱりそうきたか」。本来なら驚くべきことに、もはや驚かない。その感覚こそ、この一件が映し出す中国社会の異常さなのかもしれない。
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