中国で、最高指導者・習近平に顔が似ていたらネットでアウト。まあ、ここまでは「中国ならありそうな話」である。
だが今回は、人間ですらない。一頭のラクダが「顔が低俗」と判定され、まさかのアウトになった。
この珍事件をめぐっては、ネットでは、「アウトの原因は本当は顔ではなく『包包(習近平のあだ名を連想させる)』という名前にあるのではないか」との見方が広がっている。
そうでも考えなければ、ただのラクダの顔を見て「低俗」と判定した審査員こそ、いったい何を想像したのかという話になる。
「包包駝(包包ラクダ)」
話題のラクダは、顔の両側が大きなほっぺのように丸く膨らんでいる。中国語でこうした顔を「包包臉(臉は顔という意味)」と呼ぶことから、飼い主は「包包駝(バオバオトゥオ)」と名付けた。「駝」はラクダの意味。つまり、見た目そのままの「包包ラクダ」。なんとも素朴な名前である。
飼い主はこのラクダを食肉処理場から1万元(約20万円)で買い取り、日常の様子を撮影して動画サイトに投稿していた。
ところが、その自慢の「包包顔」が、まさかの規制対象になった。
飼い主が公開した通知によると、動画サイト側は、ラクダの顔の膨らみについて「低俗な連想を招きやすく、健全なコンテンツという方針に合わない」と判断した。
これには飼い主も困惑。すかさず、「膨らんでいるのはラクダの顔ですよ? ほかの部分なんて撮っていません」「このラクダの顔のどこが低俗なの?」「ラクダの顔を見ていやらしいものを連想するなんて、審査員のほうこそ何を考えているの?」と猛ツッコミ。
さらに飼い主は、中国当局が「ネットいじめ防止」を呼びかける際の言い回しをまねて、「審査員とネットユーザーの皆さん、『包包駝』への勝手な想像を直ちにやめてください」「キーボードから放たれるのは冗談ではなく鋭い刃。それがラクダを押しつぶす最後の一本のわらになるかもしれない」と、皮肉たっぷりにラクダを「擁護」。「変な想像をしてラクダを見ないで」と訴えた。
ここまで猛烈に異議を申し立てた飼い主だったが、それでもサイト側の判断は変わらなかったという。
本当に問題だったのは「顔」?
では、本当に「顔」が問題だったのか。ネットで疑われているのが、ラクダの名前にある「包包」だ。
習近平は2013年、北京の庶民的な店で肉まんを食べ、その姿が大きく報じられた。そこから「習包子(シー・バオズ=習まんじゅう)」という呼び名が広まり、その後、ネット上では習を揶揄する呼び方としても使われるようになった。
そのため今回も、「顔ではなく『包包』という名前が引っかかったのでは」「本当の理由をサイト側が書けないだけでは」と推測するネットユーザーが相次いだ。ただし、名前が実際の規制理由だったことは確認されていない。
「顔が悪い」のか、「名前が悪い」のか。いずれにせよ、ラクダには何の落ち度もない。ただのラクダまで「危険」に見えてしまう。中国の検閲が、すでに狂気の域に達している証しではないか。
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