沖縄県政12年ぶり転換 仲村覚氏「認知戦への対応が課題」 経済・安保の国家戦略訴え

2026/09/16 更新: 2026/09/16

9月に投開票された沖縄県知事選で、自民党や日本維新の会など5党の推薦を受けた新人の古謝玄太氏が初当選を果たし、自民系が12年ぶりに県政を奪還した。古謝氏は経済振興を前面に掲げる一方、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を容認しており、沖縄県政は移設反対を続けてきた玉城デニー氏の県政から大きく方向転換することになる。

今回の知事選について、基地問題や経済振興という個別政策だけでなく、「沖縄の大きな未来をどちらの陣営に託せるか」が本質的な争点だったという一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏は、新県政には経済再建と安全保障に加え、沖縄をめぐる情報工作など「認知戦」への対応が重要な課題になると指摘している。

経済振興と辺野古容認で県政転換

前那覇市副市長の古謝氏は選挙戦で、1人当たり県民所得の倍増や沖縄振興予算の増額などを掲げ、経済振興を訴えた。

安全保障をめぐっては、米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認する立場を示した。移設反対を貫いてきた玉城氏とは立場が異なり、古謝氏の当選によって沖縄県政は経済政策だけでなく基地問題でも転換点を迎える。

仲村氏は、有権者が今回の選挙で重視した点は一様ではなかったと分析する。経済状況を重視した判断に加え、安全保障上の判断や、沖縄をめぐる被害者意識への反発など、複数の要因が交錯した選挙だった。

こうした中、仲村氏が選挙後の県政で特に問題視するのが、古謝、玉城両陣営の公約で十分に取り上げられなかった「認知戦」への対応である。

「認知戦」への対応、県政の課題に

中国共産党(中共)は基地や環境問題を「先住民族への人権侵害」にすり替えて国連の管理リスト登録を狙うほか、歴史ドキュメンタリーを通じ前近代の朝貢関係と現代の主権を混同させ、統治の正当性を否定する言説を国際社会に広めている。これに対し、県政レベルではこうした国連の先住民族勧告等に対して明確に反論していないと指摘した。

地元の地方議員らは民意と代表権を乗っ取っているとして国連や政府へ反論を展開してきた。

仲村氏は今回の知事選について、中国によるナラティブ工作が全く失敗し、彼らが沖縄という工作拠点を失った選挙だったと分析する一方で、両陣営の公約には「認知戦への対処」という視点が欠落していたと指摘した。

仲村氏が特に問題視するのが、国連の人権機関などから示されている「沖縄の人々を先住民族と認めるべきだ」とする勧告への対応である。県政側が明確に反論しない状態が続けば、沖縄をめぐる国際的な議論に影響を与える可能性があるとしている。

仲村氏はさらに、こうした主張を放置することで、国連の「脱植民地化特別委員会」などの管理リストに組み込まれる事態につながれば、将来的な独立運動や治安上の問題、国際法上の混乱を招く口実になりかねないとの懸念を示した。

行政が自発的に対応しにくい側面もあるとして、県民が陳情書を提出するなどし、新知事や県政に問題への対応を求めていく環境づくりが必要だとしている。

経済と安全保障「国家戦略として一体化を」

仲村氏は、防衛と経済は一体であり、経済安全保障の観点からも「沖縄の経済発展自体が一つの防衛」となると述べ、防衛と地域経済の双方を成り立たせるための処方箋として、県単位の振興策だけではなく、安全保障を含めた国家戦略の中に沖縄の経済振興を位置付ける必要があると主張している。

東南アジアとの経済サプライチェーンの中に沖縄をどう位置付けるかという国家ビジョンを描き、沖縄の地理的な優位性を生かし、地域振興を全国的な経済戦略と結び付ける視点が必要だとしている。

その際ボトルネックとなるのが高い電気代と水不足であり、沖縄の電気代を日本一安くする国家戦略が必要だと指摘し、小型原子炉(SMR)などを利用した安価で安定的なエネルギー自給体制の構築を挙げ、エネルギー自給を高めることができれば、経済振興だけでなく、安全保障や国民保護にもつながり、「一石三鳥」の効果が期待できるとの考えを示した。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。
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