B-21「レイダー」爆撃機が作戦配備の段階に近づくにつれ、謎に包まれた画期的な中核技術、特に今なおほとんど知られていない新技術や設計思想への期待が高まっている。
B-21が持つ従来の枠組みを変える空襲能力は、将来、脅威の高い空域での作戦方法を変える可能性がある。
米空軍、B-21の配備に向けた統合作業を開始
米空軍第8空軍は9日、サウスダコタ州エルズワース空軍基地で「B-21統合第1分遣隊」を正式に発足させ、指揮権の移管式を行った。エルズワース基地はB-21にとって最初の主要作戦基地となる。米空軍によると、同分遣隊は、同基地へのB-21配備に向けた統合作業を一元的に調整し、歩調を合わせて進めるために設けられた。
関連作業は、施設の建設、通信システムの設置、乗員の訓練、任務システムの統合を並行して進める。新型爆撃機を作戦体系に組み込むまでの移行期間を短縮し、継続的に作戦を遂行できる完全な体系を構築することが目的だ。米空軍は、過去の爆撃機の機種更新から得た経験を踏まえ、B-21が到着する前に、兵站、訓練手順、整備施設の準備を全て終える必要があると強調した。
これに先立ち、B-21の試験飛行による評価も進展した。米空軍は6月12日、運用試験を担当するパイロットが初めて開発試験担当のパイロットと同じ機体に乗り込み、B-21を飛行させたと発表した。飛行を実施したのはエドワーズ空軍基地の「B-21レイダー統合試験部隊」。第412試験航空団は、現代の軍用機の試験において、これほど早い段階から運用試験担当者を飛行試験に加えることは極めて珍しいと述べた。
米空軍の主要大型兵器システム責任者、デール・ホワイト氏は、B-21では「開発試験」と「運用試験」を従来より早い段階から統合しており、空軍が新たな調達・試験モデルを進めていることを示すと述べた。同氏はこの方法を「より賢く、より速い」と表現。兵器システムの作戦能力の獲得を早めると同時に、より機敏な調達・試験の手順を確立することが目標だとした。また、この試験モデルによって、空軍の作戦要員はB-21がもたらす「非対称の殺傷力」を手にするまで、さらに一歩近づいたと強調した。
乗員はパイロット2人
B-21の乗員構成については、以前から外部でさまざまな臆測があった。米空軍は7月9日、B-21「レイダー」にパイロット2人を乗せると正式に発表した。B-21の高度な能力と任務上の要件を評価した結果、パイロット2人の構成が同機の作戦任務に最も適していると判断したという。また、専用の転換訓練計画を設け、一部の兵器システム士官(WSO)と戦闘システム士官(CSO)から訓練を受ける人員を選抜し、訓練修了後にB-21のパイロットへ転任させる。
この措置には、パイロットが既存の爆撃機で蓄積した戦術や戦場での経験を、B-21部隊に引き継げるという利点もある。同時に、人工知能が自律的な作戦能力を将来の戦場へと押し広げている中でも、空軍が人間のパイロットの戦場での直感を代替できない資産とみていることを浮き彫りにしている。
ステルス技術を背景に重要な役割を担う
2023年3月7日、米空軍グローバル打撃軍司令官のトーマス・A・ビュシエール氏は、米空軍協会の戦争シンポジウムで、B-21は「将来の爆撃機部隊の主力」になると述べた。2024年9月18日には、空軍はB-21がB-1B「ランサー」とB-2「スピリット」を段階的に置き換え、米空軍の「世界規模の打撃能力の主力」になると改めて確認した。
米空軍がB-21にこれほど重要な役割を担わせるのは、同機が備える次世代の低被探知性と、敵の防御を突破して攻撃する能力と密接に関係している。B-2爆撃機と比べると、空力的な外形はおおむね似ているものの、細部には世代の違いが表れている。B-21は機体の線がより滑らかで、翼と胴体の一体化が進んでいる。主翼上部の空気取り入れ口は大幅に小さく、機体背面とのつながりもより滑らかになっている。
さらに、レーダー反射断面積に影響する機体表面の鋭角部分や継ぎ目には、ほぼ完全に滑らかな設計が施され、敵のレーダー信号をほとんど反射しないという。B-21の具体的なレーダー反射断面積(RCS)の数値はなお機密であり、公開情報だけで実際のステルス性能を確認することはできない。ただ、米戦争省は、B-21には50年にわたる低被探知技術の進歩が取り込まれており、脅威の高い環境で長距離から防御を突破して攻撃する戦力として設計されたと明言している。
機体の大きさの変化も、ステルス性能に影響する重要な要因だ。B-21はB-2より機体の大きさ、重量ともに明らかに小さい。B-21の翼幅は132フィートで、B-2より約40フィート短い。B-2の最大離陸重量は約33万6500ポンドだが、米空軍はB-21の最大離陸重量をまだ公表していない。機体の規模や降着装置の構成から、最大離陸重量はB-2の約60%と推測する分析もある。より小さく軽い機体は、高度な推進装置、強力な計算能力、新素材、エネルギーや機内空間の高度に最適化された管理など、より進んだ技術を意味する可能性がある。
原則として、設計者は機体の大きさ、重量、速度、航続距離の間で難しいバランスを取らなければならない。しかし技術の発展により、作戦半径や兵器搭載能力を大きく犠牲にせず、機体をより小さく、離陸重量をより軽くする選択が可能になった。その代わりに低被探知性を高め、飛行速度を上げ、機動性を改善することで、脅威の高い環境におけるステルス爆撃機の防御突破能力と生存性を高められる。
B-21の低被探知性は、レーダー反射断面積を小さくすることだけではない。赤外線や電磁波の放射など、さまざまな探知可能な特徴を管理し、異なる探知手段によって発見される確率を下げることで、全体的なステルス性能を高める。また、こうした低被探知技術を電子戦、通信、指揮統制システムと組み合わせることにより、脅威の高い空域で、より高い防御突破能力と生存性を維持できる。
従来の航空攻撃機を超える
新技術の採用により、B-21の作戦能力は従来の意味での爆撃機を大きく超え、強力な「センサー」の中継点であり、空飛ぶ指揮統制プラットフォームにもなる。米空軍は同機を、高度な通信、データリンク、任務システムの能力を持ち、より広範な統合作戦ネットワークに加わることができる、防御突破型の長距離爆撃機と説明している。したがって、その作戦上の価値は搭載する兵器の量だけでなく、脅威の高い環境で戦場情報を取得、処理、交換し、ほかの作戦機と連携して任務を遂行できるかどうかにも左右される。
B-21は統合作戦システムの空中における中継点として、ほかのセンサー、作戦機、指揮統制システムと情報を交換できる。こうした能力は、戦争省が進める「統合全領域指揮統制(JADC2)」の構想と呼応する。同構想は、陸、海、空、宇宙、サイバー空間という異なる作戦領域を結び、センサー、意思決定者、兵器の間で戦場情報をより速く共有し、連携した作戦を実現することを目指している。
人工知能と協同戦闘機
軍種をまたぐ複雑な作戦ネットワークでは、人間の頭脳が刻々と変わる膨大な戦場情報を数秒以内に処理することは、もはやできない。B-21の人工知能システムは中枢としての役割を果たすことになる。AIが戦場情報を分析して、選択可能な最適化された作戦案を提示すれば、パイロットは限られた注意力を作戦上の判断と任務の割り当てに集中できる。短時間で戦場の変化を把握して行動し、脅威の高い環境におけるB-21の任務遂行能力を高めることができる。
B-21のパイロット2人体制は、「有人機と無人機の協同作戦」の余地を残している。米空軍は協同戦闘機(CCA)計画を加速させている。現在、米軍はXQ-58A「バルキリー」を含む複数の協同戦闘機の試験機を開発し、自律的な連携、人と機械の連携、有人機と無人機による編隊などの試験を続けている。これらの無人システムは、前方での情報収集、監視、偵察、通信、敵の欺瞞といった任務を担うほか、有人機と連携して対空・対地攻撃を行うことも期待される。
B-21は「システム群」の一部として、将来、無人戦闘機と協同作戦を行える。価値の高い航空機と、低コストで「消耗可能」な無人システムの組み合わせは、B-21の防御突破能力が及ぶ範囲をさらに広い作戦空間へ拡大し、脅威の高い環境で任務を継続する能力や、遠距離からの精密打撃能力を強化する可能性がある。
米軍はB-21の複雑な作戦体系を支えるため、専用の支援施設も建設している。米陸軍工兵隊は9月8日、「コンティ・カイト合弁会社(Conti Kight JV LLC)」に約7498万ドルの契約を発注した。ミズーリ州ホワイトマン空軍基地にB-21用の「高周波・測定格納庫」を建設し、任務に必要なステルス性能を維持できているか検査、確認する。この措置は、B-21のステルス能力には専用施設での継続的な検査と整備も必要であることを示している。
エドワーズ空軍基地での運用・開発合同飛行試験から、エルズワース空軍基地での指揮権移管、ホワイトマン空軍基地で急ピッチで進む施設建設まで、B-21は予定された日程に沿って着実に作戦配備の段階へと向かっている。同機は、比類のない防御突破能力と攻撃能力によって、将来の戦場における交戦のあり方を再定義することになる。
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