中国人2人が韓国でスパイ活動を行った疑いで起訴された事件が注目を集めている。2人は、韓国軍と米軍の通信を傍受したり、在韓米軍関係者から軍事情報を入手したりしたとして起訴された。
朝鮮日報は9月29日、2人の経歴を報じた。1人は中国共産党(中共)軍の通信傍受部隊に長年所属し、もう1人は中国軍の特殊部隊や公安機関で勤務していたという。
中共軍通信傍受部隊の元幹部 韓米軍パイロットの交信を傍受か
朝鮮日報が入手した起訴状によると、中国人男性A(60代)は、2024年以降、韓国軍と米軍の戦闘機パイロットと管制塔との交信を傍受した疑いで起訴された。Aは中共軍総参謀部の通信傍受部隊に約40年間所属し、大校(上級大佐に相当)の階級にあったという。
検察側は、Aが2024年3月から2026年8月までに、全羅北道群山、京畿道烏山、光州空軍基地、京畿道平沢のキャンプ・ハンフリーズ、釜山海軍基地などで計13回、軍の通信を傍受したとしている。
Aは主に、空軍基地の管制塔や滑走路に近いホテルの客室に無線受信機やアンテナを設置していたとされる。
13回のうち7回は、韓国空軍と米空軍が共同使用する群山空軍基地周辺で行われた。今年8月、Aは群山のホテルで通信を傍受していたところ、京畿南部警察庁に逮捕された。
捜査当局によると、Aは傍受した音声データや周波数情報を外付けハードディスクに保存し、国外に持ち出していた。収集したデータは13.9TBに上った。
Aは一度中国に出国した後、韓米合同軍事演習「乙支フリーダムシールド」が始まる直前の今年8月初めに韓国へ再入国した。
米軍関係者に接近し軍事資料を入手か
中国人男性B(40代)は、1998年から2006年にかけて、中国軍の特殊部隊や公安機関で勤務していた。警察と検察の捜査では、Bが中国共産党員だったことも確認されたという。
朝鮮日報によると、Bは2021年11月から2025年5月まで、平沢の在韓米軍基地キャンプ・ハンフリーズ付近で軍用品店を経営していた。
その間、現役の米軍兵士Cと、米第8軍司令部の秘書室に勤務する韓国籍の女性職員Dと知り合った。検察側は、Bが食事や贈り物を通じて2人との関係を深め、軍事関連資料を入手したとしている。
Cから入手した資料には、AH-64アパッチ攻撃ヘリコプターやF-35戦闘機の訓練映像、米軍の空挺降下や集結訓練の映像などが含まれていた。
Dからは、米軍司令官の就任式の写真、米軍将官の行動予定に関する情報、2023年の乙支フリーダムシールド演習の事後評価資料などを入手したとされる。
京畿南部警察庁は8月、一般利敵罪の疑いでAとBを逮捕し、検察に送致した。
報道によると、Aは通信傍受について「趣味でやっていただけだ」として容疑を否認している。Bも、店を経営する中で軍関係者と知り合っただけだとして、容疑を否認している。
一方、聯合ニュースによると、検察側は、Bがキャンプ・ハンフリーズ正門付近で軍用品店を経営しながら身元を隠し、情報収集を行っていたとみている。
Bはチャットアプリを使い、収集した軍事関連資料を身元不明の人物に送信したほか、SNSにも投稿し、計7回にわたり情報を流出させたとされる。
中国人による軍事施設の撮影相次ぐ
今回の事件を受け、中共が韓国国内で組織的な情報収集を行っている可能性を指摘する声も出ている。
韓国ではここ2年ほど、中国人がドローンやカメラを使って重要な軍事施設を撮影し、摘発される事件が相次いでいる。
2025年11月には、中国人の高校生2人が、韓米軍の施設や国際空港などで戦闘機を無断撮影した疑いで逮捕・起訴された。2人は2024年後半から2025年3月にかけて韓国へ繰り返し入国し、離着陸する戦闘機や管制塔などを撮影していたとされる。写真は数百枚に上ったという。
また2025年8月には、30代の中国人男女2人が、ドローンを使って済州海軍基地を違法に撮影した疑いで摘発された。
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