英国が警告 中国と西側の競争、核エネルギーの新領域へ拡大

2026/10/16 更新: 2026/10/16

英国原子力公社のトップは、中国共産党(中共)と西側諸国の競争が、核融合エネルギーの開発という新たな領域に広がっていると警告した。この技術が商業化されれば、世界のエネルギー安全保障の構図と地政学的な勢力図を塗り替える可能性がある。

中共と西側が新たな競争

フィナンシャル・タイムズの10月15日の報道によると、英国原子力公社(UKAEA)のデニス・ホワイト最高経営責任者(CEO)は取材に対し、英国は世界をリードする核融合計画を持つが、中共政府も関連技術と供給網の発展に向け、投資を急速に拡大していると述べた。

ホワイト氏は「新たな競争が始まった。現時点では、この競争は基本的に、中国(中共)と西側、あるいは西側と同盟関係にある国々との間で繰り広げられているようだ」と語った。

ホワイト氏は以前、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の原子核科学・工学科を率い、民間核融合企業コモンウェルス・フュージョン・システムズを共同創業した。同社は、ビル・ゲイツ氏の投資ファンド、ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズの支援を受けている。

カナダ出身のホワイト氏は9月、核融合開発が重要な局面を迎える中、英国原子力公社のトップに就任する道を選んだ。

エネルギー競争が核融合へ拡大

核融合は、原子核を融合させ、質量をエネルギーに変換することで膨大なエネルギーを放出する。このエネルギーを使ってタービンを駆動し、発電できる。

この技術は数十年にわたって開発されてきたが、複数の課題があるため、実験室の段階を脱することが難しかった。

長年克服が困難だった技術的な障壁には、約1億度の高温と反応に必要な高圧をいかに生み出して維持するか、こうしたシステムの稼働に伴う膨大なエネルギー需要にいかに対応するかなどがある。

世界の電力需要が増え続け、エネルギー安全保障への関心が高まる中、核融合は従来と根本的に異なるエネルギー源を切り開くものとして、大きな注目を集めている。

ホワイト氏は、核融合が商業化されれば、「史上最も重要な地政学的出来事の1つ」になる可能性があると述べた。

西側はすでに画期的な進展

ホワイト氏は、西側がすでに画期的な進展を遂げていると指摘した。米国の国立点火施設(NIF)が2022年に達成した、投入量を上回るエネルギーを得るという節目の成果、原子炉の電力需要を減らせる超電導磁石技術の進歩、英国原子力公社の核融合装置「MAST Upgrade」での内部圧力に関する突破などが含まれる。

NIFは、カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)にある国家的な大型研究施設だ。現在の世界的な核融合開発競争では、慣性閉じ込め核融合(ICF)方式における米国の中核的な能力を担っている。

英国原子力公社は8月、オックスフォードシャー州カラムにあるMAST Upgradeの内部圧力に関し、研究者らが画期的な成果を上げたと発表した。

ホワイト氏はまた、原子炉の極限環境により耐えられる材料の開発に向け、人工知能(AI)が数十億通りの合金の組み合わせを評価する作業を支援していると明らかにした。

英国のUKフュージョン・エナジーは先に、ノッティンガムシャー州ウェストバートンの廃止された石炭火力発電所跡地に、2040年までに核融合の原型発電所を建設する計画を公表した。

中共が投資を拡大

ホワイト氏は、中国側が長年にわたって核エネルギー分野への投資を拡大し続け、短期間で一定の進展を遂げたと警告した。

ロイター通信は2025年1月28日の独自報道で、中共が大型のレーザー核融合研究施設を秘密裏に建設していると伝えた。

米国の独立研究機関CNAのデッカー・エベレス研究員によると、衛星画像には、四川省綿陽市の整地された土地で、中央の実験区画1つとレーザー区画4つを備えた研究施設が建設されている様子が写っている。施設の名称は「レーザー核融合大型装置実験室(Laser Fusion Major Device Laboratory)」だ。

米上院が知的財産の保護を要請

米上院の委員会は以前、中共による核融合分野への投資拡大と、米国の知的財産の窃取について警告していた。

2024年9月27日、米上院エネルギー・天然資源委員会(ENR)のジョー・マンチン委員長(ウェストバージニア州選出、無所属)は、委員会の公聴会で、中共が米国の核融合開発計画を模倣し、米エネルギー省(DOE)の国立研究所を手本として、研究計画と研究所の規模を急速に拡大していると述べた。

マンチン氏は、米国は現在もこの競争で先行しているが、中共がこの分野に「大々的に参入している」と指摘した。2023年の中共の核融合分野への投資は、他の全ての国の投資総額を上回ったという。報道によると、中共は同分野に年間約15億ドルを投入している。

責任編集:任子君

高杉
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