イタリア北部ミラノで10月17、18日の両日、デモ参加者と警察の衝突や商店の略奪、器物損壊などの暴力行為が相次いだ。サルビーニ副首相は19日、治安維持のため兵士500人を追加派遣すると表明した。市中心部では再び暴動が起きることへの警戒から、店舗が営業時間を短縮したり、ショーウインドーを板でふさいだりするなどの対応に追われている。
右派政党「同盟」を率いるサルビーニ氏は19日、SNSに「有言実行だ。ミラノを守るため、兵士500人を追加派遣する」と投稿した。今回の増派は一連の治安対策の一環で、関連法令は20日の閣議で正式に審議される見通しだ。
高級ブランド店 商品撤去や窓の封鎖 警戒高まる
ミラノ中心部の高級ブランド店が立ち並ぶモンテナポレオーネ通りでは、シャネルやティファニー、ディオールなどが安全上の懸念からショーウインドーの商品を撤去した。多くの店舗が19日は通常より早く営業を切り上げ、窓を木板で覆うなどして警戒を強めた。
通りには一部の観光客の姿が見られるものの、警察が巡回し、再び暴力行為が発生しないよう警戒に当たっている。
生活費高騰への抗議 各地で暴力に発展
ミラノでは17日、公共サービスの質の低下や生活費の上昇に抗議するデモが行われた。当初は平和的な抗議活動だったが、次第に暴力的な衝突へと発展。週末には、覆面姿の参加者数百人が市中心部でごみ箱に火を放ち、店舗を略奪した。参加者には未成年者も多く含まれていた。
被害に遭った店舗には、スポーツ用品大手デカトロンやアウトドア用品ブランドのアークテリクス、通信大手ボーダフォンなどが含まれる。リーバイスやアンダーアーマー、デカトロンなどの店舗も、ショーウインドーを段ボールや木板で覆う措置を取った。
イタリア警察によると、18日の暴動では若者271人を警察署に連行した。19日の発表では、このうち30人以上を逮捕。逮捕者には未成年者23人と外国籍の13人が含まれていたほか、28人が司法当局に送致された。
17日には、ボローニャ、ブレシア、ベルガモ、トリノなど北部のほかの都市でも衝突が発生した。警察が18日に公表した報告によると、これらの都市では計28人が逮捕された。
一連の騒乱は、隣国フランスの抗議活動とも重なる。フランスでは17日、生活費の高騰や公共サービスの質の低下、学校間の資源配分の不均衡などに不満を抱く数十万人が街頭に繰り出した。同国では近年、特に激しい抗議活動の一つとなった。
ただ、複数のメディアやフランス政府によると、平和的に始まったデモには極左勢力の団体も加わり、店舗の略奪や警察への攻撃、放火などの暴力行為が発生した。ルコルニュ首相は、極左勢力が複数の都市で暴力を扇動し、略奪や街の破壊を引き起こしたと非難した。
メローニ政権 未成年者の暴力対策強化へ
イタリアのメローニ首相は暴力行為を非難し、19日に閣僚や治安当局幹部を集めて対応を協議した。政府は、全国で展開する治安維持作戦「安全な街路(Strade Sicure)作戦」に兵士500人を追加し、ミラノに重点配置する方針だ。同作戦には現在、約6800人の兵士が参加している。
メローニ首相は来年に予定される総選挙を控えている。
タイヤーニ副首相兼外相も、Xへの投稿で暴力行為を批判。「政府は国家に対するこうした攻撃に断固として対応する。未成年者による暴力の抑止に向けた措置も講じる」と表明した。
イタリア紙コリエーレ・デラ・セラによると、メローニ政権は対策の一環として、未成年者に対する予防的な身柄拘束の期間延長や、少年ギャングへの取り締まり強化を検討している。実現すれば、議会で審議中の治安関連法案の一部規定を前倒しで施行することになる。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。