10月27日の参議院法務委員会で、日本保守党の北村晴男参院議員が「外国人との秩序ある共生社会の実現」をテーマに質疑に立ち、山下貴司法相および内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室の内藤内閣審議官を相手に、外国人の受け入れ政策をめぐってやり取りした。
北村氏は警察庁の統計を基に、犯罪を行う可能性の高い外国人の「類型化」を進め、場合によっては特定の国・地域からの受け入れを制限すべきだと指摘したが、山下氏は「特定の地域の出身であることのみをもって一律に入国を制限することは困難」と述べ、慎重な姿勢を示した。
北村氏「犯罪率高い地域は受け入れ停止も」
北村氏はまず、7月16日の同委員会で高市早苗首相が「犯罪を行う可能性の高い外国人について、客観的なデータに基づく一定の類型化ができるのであれば、送り出し国とも連携して対策を検討する」と答弁していたことを引き合いに出し、この類型化に向けた調査・分析が現在どこまで進んでいるかを質した。
山下氏は、出入国在留管理庁が保有情報の分析や内外関係機関との連携を通じて、問題となる恐れのある外国人の特定・類型化を行い、上陸審査に反映させていると説明した。
これを受け北村氏は、警察庁が公表した令和7年の統計を基にした資料を示し、刑法犯・特別法犯を合わせた検挙人員の国籍別構成比で、ベトナム人が32.6%、中国人が16.1%を占めると紹介。さらに、在留外国人全体に占めるベトナム人の比率は18.2%にとどまるため、検挙人員の比率(32.6%)はそれを大きく上回っており、「他国出身者と比較して検挙される割合、すなわち犯罪を行う可能性が格段に高いと言わざるを得ない」と指摘した。
その上で「ベトナム人の中にも善良な方がたくさんおられることは十分認識している」とも付け加えた。
山下氏は、ベトナム関連では不法残留者数がこの1年で約3千人減少したことなどを挙げ、多角的な検討を進めると応じたが、北村氏は、全体の不法残留者が同期間に約1万人減少している中での3千人の減少であり、「他国との比較で特に多いとはとても思わない」と指摘した。
そのうえで、検挙数・検挙率が近年増加を続けている以上、「入管庁で個別の判断だけでは賄いきれない状況があるからこそ、こういった結果になっているのではないか」と話した。
さらに北村氏は、ベトナム北中部のタインホア省、ゲアン省が特に治安が悪く、ベトナム国内の企業でもこれらの省出身者の採用を避ける動きがあると指摘。韓国では過去にこうした地域からのベトナム人労働者の受け入れを停止した例があるとする資料も示した上で、「日本国内で犯罪を行ったベトナム人の出身(省)を調査分析し、犯罪率が特に高いようであれば、それらの省からの受け入れ停止などの措置を検討すべきではないか」と提案した。
山下氏は、個々の上陸申請ごとに可否を判断しており、問題となる恐れのある類型に該当する場合は慎重審査を行っているとした上で、「特定の地域の出身であることのみをもって一律に入国を制限することは困難ではないか」と述べた。
ただし、ベトナム人の比率が高い原因についてはしっかり調査・情報収集する必要があるとし、特定・類型化のための分析を進める考えを重ねて示した。
これに対し北村氏は、個々人の将来の犯罪可能性を正確に見抜くことは「人間業ではない」として、過去の犯罪歴だけでなく出身地域も判断材料にせざるを得ないとの見方を示した。講じうる選択肢として、ベトナム人の受け入れを一律停止する、ベトナム人に対し格別に厳格な審査を行う、出身省で区分して扱いを変えるの3通りを挙げ、「世界一の日本の治安を守るために方法を選択すべきだ」と述べた。
フランスの暴動「日本で同様の事態が起きないよう外国人政策に生かすべき」
質疑の終盤、北村氏はフランスで起きた大規模デモ・暴動を取り上げた。日本の報道では高校生による教育問題や物価高騰への抗議とされている点を踏まえつつ、「仮に日本のような高いレベルの民度が保たれている国であれば、それだけが原因で1500もの商店が略奪される事態はあり得ない」と述べ、かつてのフランスでもデモ・ストライキは頻繁にあったが今回のようなことは起きなかったはずだとの見方を示した。
資料として提示したマクロン大統領の見解では、暴動には「多数の犯罪者が加わった」「扇動者が非行者を巻き込んだ」としているとし、この「非行者」の属性を分析し、日本で同様の事態が起きないよう外国人政策に生かすべきだと訴えた。
さらに、米トランプ大統領やJ・D・ヴァンス副大統領が「寛容すぎる移民・難民政策が原因」との見解を示している点を紹介し、EUの移民受け入れ方針に従わず独自に国境管理を続けてきたチェコ、ポーランド、ハンガリーなど東欧諸国では同様の暴動が起きていないとして、「トランプ氏らの指摘にも十分な合理性がある」と述べた。
北村氏は、内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室に対し、フランスの暴動の原因や実際に暴動・放火・略奪を行った者の属性をどう認識・分析しているか、また外国人労働者を百万人単位で受け入れる方針を維持する中で日本で同様の事態を防ぐための対策を問うた。
同室の内藤内閣審議官は、他国で起きたデモの原因や参加者の属性は「他国の内政に関わる事柄」として回答を控える一方、外国人受け入れの基本的なあり方については治安への影響も含めて課題を整理し、将来推計も踏まえて政府全体で検討を進め、本年度中に基本方針を取りまとめる考えを示した。
検討途上のため具体的な調査内容などは答えられないとしつつ、「治安に与える影響を分析することは非常に重要」との認識は示した。
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