高市政権 第6回日本成長戦略会議

「強く豊かな日本」投資枠を創設 緊縮脱却へ官民投資370兆円

2026/07/02 更新: 2026/07/02

令和8年6月30日、高市総理大臣は総理大臣官邸にて第6回日本成長戦略会議を開催し、「日本成長戦略(案)」を取りまとめた。高市総理は、従来の過度な緊縮財政から脱却し、大胆な政策パッケージによって国内投資を促進することで、賃上げ、消費拡大、そして更なる投資へと繋げる「投資と賃上げの好循環」を加速させる決意を表明した。

成長戦略の全体像と「強く豊かな日本」投資枠

今回の戦略案では、AI・半導体、量子、防衛、GXなど17の戦略分野における62の主要製品・技術を特定し、2040年度までに官民合計で370兆円超の国内投資を想定している。 これを実現するための強力なテコ入れとして、『「強く豊かな日本」投資枠』が創設された。この枠は、いわゆる「シーリング(概算要求の枠)」を設けず、複数年度の計画に基づき必要な予算を適切に要求できる仕組みであり、経済安全保障上重要な分野等については、つなぎ国債による財源確保も検討される。

令和8年6月30日、高市総理は、総理大臣官邸で第6回日本成長戦略会議を開催した(出典:首相官邸ウェブサイト)

各委員による提言と提出資料の要旨

会議では、産学労の各界を代表する委員から、戦略の実効性を高めるための具体的な提案がなされた。

会議をまとめる高市総理(出典:首相官邸ウェブサイト)

松尾豊氏(松尾・岩澤研究室):AXによるGDP底上げ

生成AIの導入から高度なAI開発に至る「AX(AIトランスフォーメーション)5ステップ」を提唱した。特に中堅・中小企業の現場でAI活用を推進する「AXエバンジェリスト」を2年で3万人育成する講座(AXEL)の企画を提示し、AXの推進により実質GDP成長率を最大年1.6%pt押し上げることが可能であると試算している。

会田卓司氏(クレディ・アグリコル証券):積極財政によるデフレ脱却

「サナエノミクス」の本質を積極財政による投資拡大と位置づけ、企業が内部留保(貯蓄超過)に偏っている現状を打破すべきだと論じた。具体的には、ネット(正味)の国内資金需要をGDP比マイナス5%程度に維持する「高圧経済」の方針を掲げている。この「ネットの国内資金需要をGDP比マイナス5%程度に維持する」とは、国内の投資意欲(資金需要)が貯蓄を上回る状態をGDP比で5%分確保し続け、民間が「溜め込む」のではなく「投資に回す」環境を意図的に作り出すことを指す。

この方針を通じて、名目成長率3%、物価上昇2%の安定的な達成と、構造的な経済停滞からの完全脱却を求めている。

小林健氏(日本商工会議所):中小企業の「稼ぐ力」強化

国内投資の推進役として中堅・中小企業の役割を重視し、1兆円規模の予算確保による伴走支援を要望した。また、労働不足に対応するための変形労働時間制の柔軟化や、生産性向上に裏打ちされた納得感のある最低賃金の決定を求めている。

竹内純子氏(国際環境経済研究所):エネルギー安全保障とPDCA

過去の産業振興政策の失敗に学び、勝ち筋のない分野からの撤退判断を含む厳格なPDCAを戦略に取り入れるよう提言した。また、成長の前提となる「安価で安定的なエネルギー」を確保するため、省エネの推進に加え、石炭火力の維持や原子力の最大限の活用を含む総合パッケージの必要性を強調した。

伊藤麻美氏(日本電鍍工業):人材の質と企業風土の改革

中小企業の投資意欲を削ぐ要因として、権利ばかりを主張し生産性を低下させる労働者の存在に懸念を示した。真の成長には「心の通った行動ができる人材」や「真心に満ちた人材」が不可欠であり、企業が成長に不適切な人材を整理できるような環境整備も時には必要であると指摘している。

会議をまとめる高市総理(出典:首相官邸ウェブサイト)

芳野友子氏(日本労働組合総連合会):労働環境と透明性の確保

長時間労働に依存しない企業文化への転換と、女性活躍を阻む構造的課題の解消として「選択的夫婦別氏制度」の導入を訴えた。また、『「強く豊かな日本」投資枠』については、財政規律の緩みや不透明化を避けるため、国会での報告・確認の仕組みを構築すべきだと主張した。

今後の展開

高市総理は、本戦略の実現に向け、従来の政策の延長線上にない「新たな発想」での実行を各閣僚に指示した。特に初年度となる次期予算編成に向けて、産業界との対話を深め、予見可能性の高い複数年度の事業計画を策定するよう加速を促している。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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