返品してもらっちゃ困る! 中国通販の苦闘

2026/11/04 更新: 2026/11/04

服に鍵をかけ、巨大なタグを付け、果ては灰皿までぶら下げる。それでも足りず、今度は2メートルを超える長いリボンが登場した。

中国のネット通販で、買った服を普段のお出かけや旅行、イベントなどで着用し、用が済んだら返品する行為が問題になっている。こうした悪質な返品を防ごうと、販売業者の苦労と工夫が尽きない。

中国には、ネット通販で購入した商品を「7日以内なら理由を問わず返品できる」という制度がある。本来は消費者を守るためのものだが、これを悪用し、ネット通販を「無料の貸衣装屋」のように利用する客もいる。

中国メディアが伝えた業界データによると、婦人服の返品率は50~60%、ライブ通販では70~80%に達するという。もちろん、すべてが悪質な返品ではないが、店側にとっては深刻な負担だ。

例えば、服を何着も購入し、SNS用の写真を撮ったらまとめて返品。新しい服で旅行に出かけ、汗をかいたまま返品。過去には、運動会で着て汚れた服を生徒らが集団で返品した事例もある。子どもの発表会シーズン終了後、衣装の返品率が9割に達した店もあった。

こうした事態に、店側もあの手この手で対抗してきた。

最初は、取り外すと返品できなくなる小さなタグを1~2個付ける程度だった。それが次第に増え、今では1着に20か所以上も取り外し防止の仕掛けを施す店まであるという。

さらに、ファスナーに暗証番号付きの小さな鍵を取り付ける店も登場。試着はできるが、鍵を外さなければファスナーを完全には開けられない。購入を確定すると店側から暗証番号が伝えられ、ようやく鍵を外せる仕組みだ。

ほかにも、レンガほどの大きなタグや、なんと本物の灰皿を服にぶら下げる店まで現れた。付けたままでは恥ずかしくて外出できず、外せば返品できないというわけだ。

 

服の返品を防ぐため、店が灰皿をタグ代わりに取り付けたメンズ服。(映像よりスクリーンショット)

 

そして今回登場したのが、長さ2メートルを超えるリボン。襟元や袖口に通され、胸元や背中に長く垂れ下がる。「外した場合は返品・交換不可」。かといって、こんな長いリボンをぶら下げて街を歩くのも恥ずかしい。

「そこまでよく考えたものだ」と、店側の知恵に感心する声もある。まさに、あの手この手の知恵比べだ。

店側がここまで必死になるのも無理はない。返品された服には汗や化粧品の汚れが残り、再販売できなくなることもある。送料やクリーニング代、値下げによる損失も店側の負担となる。

本来、消費者を守るための返品制度。それを悪用する人が増えれば、店側は客を疑い、普通の購入者まで不便を強いられる。

灰皿に鍵、巨大タグ、今度は2メートルのリボン。ここまで考えつく店側には感心するが、そもそも服を売るのに、こんな苦労までしなければならないとは。

悪質な返品客がいる限り、店側の知恵比べはまだまだ終わりそうにない。

 

店側が編み出した「物理的な防御策」。左は暗証番号付きの小型ロック(購入が確定すると店側が番号を伝えて解除できる仕組みになっており、外したあとのロックはそのまま客へのプレゼントとして渡される)右は、取り外したら返品不可の「巨大タグ」(中国のネットより)
李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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