服に鍵をかけ、巨大なタグを付け、果ては灰皿までぶら下げる。それでも足りず、今度は2メートルを超える長いリボンが登場した。
中国のネット通販で、買った服を普段のお出かけや旅行、イベントなどで着用し、用が済んだら返品する行為が問題になっている。こうした悪質な返品を防ごうと、販売業者の苦労と工夫が尽きない。
中国には、ネット通販で購入した商品を「7日以内なら理由を問わず返品できる」という制度がある。本来は消費者を守るためのものだが、これを悪用し、ネット通販を「無料の貸衣装屋」のように利用する客もいる。
中国メディアが伝えた業界データによると、婦人服の返品率は50~60%、ライブ通販では70~80%に達するという。もちろん、すべてが悪質な返品ではないが、店側にとっては深刻な負担だ。
例えば、服を何着も購入し、SNS用の写真を撮ったらまとめて返品。新しい服で旅行に出かけ、汗をかいたまま返品。過去には、運動会で着て汚れた服を生徒らが集団で返品した事例もある。子どもの発表会シーズン終了後、衣装の返品率が9割に達した店もあった。
こうした事態に、店側もあの手この手で対抗してきた。
最初は、取り外すと返品できなくなる小さなタグを1~2個付ける程度だった。それが次第に増え、今では1着に20か所以上も取り外し防止の仕掛けを施す店まであるという。
さらに、ファスナーに暗証番号付きの小さな鍵を取り付ける店も登場。試着はできるが、鍵を外さなければファスナーを完全には開けられない。購入を確定すると店側から暗証番号が伝えられ、ようやく鍵を外せる仕組みだ。
ほかにも、レンガほどの大きなタグや、なんと本物の灰皿を服にぶら下げる店まで現れた。付けたままでは恥ずかしくて外出できず、外せば返品できないというわけだ。

そして今回登場したのが、長さ2メートルを超えるリボン。襟元や袖口に通され、胸元や背中に長く垂れ下がる。「外した場合は返品・交換不可」。かといって、こんな長いリボンをぶら下げて街を歩くのも恥ずかしい。
「そこまでよく考えたものだ」と、店側の知恵に感心する声もある。まさに、あの手この手の知恵比べだ。
店側がここまで必死になるのも無理はない。返品された服には汗や化粧品の汚れが残り、再販売できなくなることもある。送料やクリーニング代、値下げによる損失も店側の負担となる。
本来、消費者を守るための返品制度。それを悪用する人が増えれば、店側は客を疑い、普通の購入者まで不便を強いられる。
灰皿に鍵、巨大タグ、今度は2メートルのリボン。ここまで考えつく店側には感心するが、そもそも服を売るのに、こんな苦労までしなければならないとは。
悪質な返品客がいる限り、店側の知恵比べはまだまだ終わりそうにない。

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