【大紀元日本4月18日】中国の温家宝首相が4月11日に来日。6年半ぶりの中国首脳部の訪日は、日中間の「氷を溶かす」旅と位置づけられ、目的に掲げた「戦略的互恵関係」については環境・エネルギー協力の推進などで具体化を協議した。今回の韓日訪問で内外に一定の成果を見せた温首相だが、中国国内では先月、同首相の「腐敗が深刻」発言で物議を醸し、対立する江沢民派閥から非難されたという。
「腐敗」発言で攻撃された温首相
香港月刊誌「争鳴」によると、温家宝・中国首相は先月、全国人民代表大会と全国政協委員会議(以下、両会)終了後の記者会見で「目下、腐敗は日増しに深刻になっており、多くの上層部に関係している…」と発言し、民衆の理解と支持を得た。
一方、この発言は、胡・温政権と江沢民派の勢力争いが渦巻く中国共産党(中共)内部で、李長春、曾慶紅、賈慶林などの攻撃を受けたという。
全国人民代表大会閉会後の記者会見で、記者から「いかにして有効に行政領域での贈収賄を制御するのか」の質問に対して、温首相は少し間を置き「目下、腐敗は日増しに深刻になっており、しかも多くの上層部が関係している。腐敗をもたらした主な原因は、権力の過度な集中と有効的に制約・監督ができないことだ。政府関係者は多くの行政資源と審査批准権力を握っており、権力・金銭交易が生じ易く、私利を獲得するために権力を使い、官民結託などの腐敗が現れた」とコメントした。
中央党政最高指導層が公の場で、政府の腐敗が日増しに深刻化している事実を認め、多くの上層部と関係することに言及したのは、温首相が初めてのため、大陸では大きな反響を呼んだ。
同日夜、大陸のインターネットの掲示板に温首相の回答に対して、4万1860通の意見記録が殺到し、3月18日午後10時には、すでに11万580通が貼り付けられた。
新華社は、掲示板に貼り付けられた内容は「汚職した者を厳重に懲罰すべきだ、そうでなければ、法律は白紙同然だ」「共産党は自ら改革しなければ、民衆が共産党に対し革命を起こす」「制圧があるところに、反抗がある。腐敗官僚に対して造反し、腐敗官僚らを引きおろすべきだ。民衆の意見を基にすべきだ」「温首相、人民を失望から失望へ、そして、絶望へ突き落とさないよう」「首相は人民を率い、官僚特権階層を覆し、調和社会を建設する」などを挙げた。
新華社ネットによると、すでに77人の副省級またはそれ以上の高級幹部が腐敗、汚職にかかわったと指名され、一連の腐敗・汚職事例も挙げられたという。
地方政府関係者らが非難
3月16日当日、中共中央弁公庁に地方省級関係者から、温首相が示した「腐敗は日増しに深刻化になっている」を確認する問合せだけでも80数件があったという。また、3月19日、同件について、中央書記処への問合せは41件があった。福建省委、河南省委、山東省委、安徽省委は相次いで、中央書記処に対して、内部が混乱しており、重圧を受けているとし、民衆が腐敗に対してデモを起こせば、省委、省政府は影響を受け、行政麻痺になりかねないと強く訴え、中央政治局常委会に対して、「内容訂正」するように求めたという。これに対して、中央書記処の賀国強・書記は中央政府局へ報告すると言って責任を逃れた。
李長春が非難「温首相は党内に不和の種をまく」
中央政治局の李長春・常任委員は例会で次のことを挙げ、温首相に対して非難した。温首相は党内の仲間を仲を引き裂くために、不和の種をまき、指導者に重圧をかけた。17年間行ってきた反腐敗活動の成果を否定した。前2期の中央指導者集団の行政成果を否定した。党内における一部の問題に対する見解の相違の存在を公にした。社会の「腐敗は日増しに深刻化した」を利用し、党中央指導者および執政の合法性を否定する懸念がある。実質上、政治体制改革の停滞と遅れを認めた。政治、組織において、3つの代表思想、第3代指導者(江沢民)の決定および制定方針を否定した。
江沢民集団と胡・温の権力抗争
中央政治局の例会で、李長春が温首相を非難した後、曾慶紅、賈慶林も同問題に対して、中央政治局常委会、中央政治局内部の検討を行っていないことを理由に、温首相を非難した。
一方、人大代表の呉儀氏は例会で、腐敗状況は日増しに深刻になっていることは事実だとし、上層幹部らの思想および仕事のやり方を変えることができれば、社会の進歩と経済発展に適応できると強調した。実際、現状の体制監督態勢の遅れと不適応が事実であるとし、温首相は事実を語り、党・国家・人民に対して責任を負っており、具体的な状況に応じて問題解決の手段を講じていると評価した。
温首相は、今回の発言で非難され騒ぎを引き起こした。しかも、今回は、胡・温両氏に対して非難をした李長春、曾慶紅、賈慶林、賀国強は共に江沢民派であり、彼らは江沢民の政治主張を固守し、政治体制改革に反対している。
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