親中共記者処分、新華社が独メディアと法輪功を攻撃

2008/09/03 更新: 2008/09/03

【大紀元日本9月3日】(更新)ドイツ政府系メディア「ドイツの声ラジオ(DEUTSCHE WELLE)は最近、中国語放送部責任者の張丹紅(女性)に対して、一週間番組司会を降板させる処分を下した。張は北京五輪期間中、報道の中及び多くの公の場で、「チベット」や「法輪功」関連のサイトをフィルターリングする中国当局のインターネット封鎖を擁護、中国共産党を「世界人権宣言」第三条の実現に「世界のいかなる政治勢力よりも多大の貢献を捧げた」と賛美するなど多くの普遍な価値観を反する発言をした。この件について、中国の官製報道機関新華社は、「ドイツの声」を「言論の自由を破壊した」と攻撃した上、同メディアは張を処分した原因は、法輪功の影響を受けているからだと事実を歪曲した記事を出して、読者に法輪功に対する反感を煽ごうしている。

張丹紅氏(42)は80年代末北京大学ドイツ語専門を卒業後、ドイツに留学した。その後、張丹紅が「ドイツの声」放送局に入社、中国語報道部の記者・編集者として勤め、副部長まで昇進した。北京五輪前、張丹紅氏はテレビなど多くの公の場で活躍、多くの中国共産党賛美の発言をしてきた。五輪開催の直前に、ドイツメディアの取材を受けた際、張は、中国共産党は「世界人権宣言」第三条の実現に「世界のいかなる政治勢力よりも多大の貢献を捧げた」とコメント、五輪期間中にもチベットと法輪功のサイトへのインターネット封鎖が解除されないことについて、「ドイツでも児童ポルノと極右翼のサイトは見られない」と語った。

これらの発言は、ドイツ政界とメディアから強い非難を招き、「『ドイツの声』ラジオの職務に相応しくない」「中国共産党への賛美」との見方が続発した。

「ドイツの声」は8月22日、張丹紅に期限付きの司会降板の処分を下し、謹慎中にメディア取材を受けてはならないと処した。同ラジオ局の公表によると、張は局内のネット編集の仕事を続けているという。

張丹紅はこれまでに、チベット弾圧について、中国共産党はチベット文化への保護に重大な貢献をしていると中共を代弁したり、メルケル総理の対中政策及びダライ・ラマーとの会談を批判したりした。また、中国人は経済発展のみが重要であり、政治への関心を必要としないなどの報道をしてきた。

8月28日、中国の新華社は、同件について「ドイツの声の記者、“親中国”のため停職処分」との記事を出した。張丹紅に独占取材をしたとし、「同ラジオ局内で彼女を批判する会議が開かれ、無期限の停職処分を受けた」などと伝え、張氏を愛国の英雄と讃えた。また、「ドイツ社会による中国支持の言論への圧制。言論の自由への破壊」などとドイツメディアを攻撃した。更に、「ドイツ政府とメディアが法輪功関係者から影響を受けている、独紙『ミラー』の『法輪功』背景の記者が張丹紅に対してネガティブな報道をしている」などと歪曲報道をし、読者に法輪功への反感を煽動している。

翌29日、新華社は更に、「ドイツ政界とメディアによる張丹紅氏への批判は、ナチスが異議者に対するやり方を連想させられる」「両国関係のさらなる発展および両国国民の友好感情に影をもたらす反中国の悪い風潮である」との批判記事を出した。

新華社の報道は、中国の各報道機関及びニュースサイトに広く転載され、各官製報道機関からもドイツを批判する記事が相続いている。海外在住の中国問題の専門家・司馬泰氏は、「中国官製メディアが本件の事実を歪曲して報道し、さらに法輪功関係者を巻き込むのは、国民の愛国心を利用して怨恨感情を煽ぐためである」と分析した。

この話題は、中国国内多くのネット掲示板でも話題となっているが、「真実を報道する記者が毎日、逮捕・拘束されている。そのような国のある党のメディアは、言論自由の言葉をいう資格がない」「張丹紅は早くドイツの声を辞め、CCTV(中央テレビ)の報道部長、または外交部のスポークスマンになったほうがいいじゃないか」など、かえって中国当局の言論体制を批判する発言が多いため、中国当局は掲示板のこうした発言を常に削除している。

(記者・李明、翻訳・編集/叶子、肖シンリ)
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