【大紀元日本3月15日】3月11日に発生した東日本大地震は巨大な津波を引き起こし、東北地方を中心とする沿岸地域に壊滅的な被害を与えた。多くの住民が犠牲となり家屋をなくしたが、その被害の全貌はいまだ明らかになっていない。菅首相は13日の記者会見で「戦後65年経過した中で、最も厳しい危機」であると、今回の災害の深刻さを表した。
震源に近い仙台市も、仙台湾に面する沿岸部が津波に襲われ、甚大な被害を出している。
そんな中、車いすを使う不自由な体でありながら、懸命に年老いた母を救い出した男性がいた。
香港メディア「アップルデイリー」の報道によると、体が不自由で常に車いすで生活を送っていた宮田城さん(56歳)は、90歳の母親と2人で暮らしていた。
地震発生当時、激しい揺れのため車いすから落ちた宮田さんは、母親が家の2階で眠っていることに気づき、両手で懸命に這いつくばりながら2階に上がった。その時、窓の外に黒い津波が押し寄せてくるのを見た。
母親は、右足を倒れたたんすに圧迫されていた。両手を使って母親のもとに行き、気力を振り絞って、頭で母の足の上のたんすを脇にどかした。幸いにも、1階までしか水に浸からなかったので、2人はそのまま家の2階で過ごした。1日後、水が引いてから家を離れ、避難所で治療を受けたという。
当時を振り返り、宮田さんは涙を流しながら「あの時、母親を救うこと以外何も考えず、頭の中は真っ白だった」と、その時の心境を語った。
(翻訳編集・柳小明)
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