【大紀元日本5月6日】4月22日、四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県のキルティ僧院でチベット人僧侶300人が連行された事件で、2人のチベット族住民が軍と警察の暴行により死亡したことがAFP通信の報道で明らかになった。なお、連行された僧侶の行方は現在も不明だという。
RFIフランス国際放送は、インド北部のダラムサラにあるチベット亡命政府の情報として、中国当局は寺院への統制を強化するため、約2500人いるキルティ僧院の僧侶の数を400人程度に減らす動きを見せていると伝えている。これについてチベット亡命政府中国オフィス職員のツェリン・ナム(次仁娜姆)さんは次のように答えた。
「われわれが入手した確実な情報によると、今年の年末にキルティ僧院は中国当局により直接管理されるようになる。当局は、僧侶の数を大幅に削減するため、外地から来た僧侶を全て家に返すとともに、チベット人が僧侶になり寺院へ入るには、中学(日本の中学と高校に相当)の卒業証書および現地政府の宗教部門の許可を必要とする手はずがとられるそうだ。従来、僧侶になる上で、このような国家からの管理や制限はなかった」
ツェリン・ナムさんによると、中国当局によるこれらの規定は、四川省アバ県のキルティ僧院だけでなく、チベット自治区のある寺院ですでに実施されているという。
キルティ僧院に対しては、今年の年末まで中国当局の「教化」が行われ、その後、新規定が本格的に実施されるとのこと。その際、新たな衝突が起きることを懸念しているという。
また、チベット亡命政府の欧州代表ケルサン・ギャルツェン氏は4月30日、フランス南部の都市ツールーズにおいて、チベットの情勢を「非常に厳しく、非常に緊迫している」と述べ、国際社会に対してチベット人への更なる支持を呼びかけた。
この日、ミディ・ピレネー地方で開催された「チベット人言語文化」の研究討論会に出席したギャルツェン氏は記者に対し、「我々は中国にも中国人にも反対していない」と述べるとともに、チベット人は独立を望んでいるのではなく、中国国内において本当の自治が実行されることを望んでいるということを、ダライ・ラマとチベット亡命政府はすでに明確に伝えていると述べた。
ギャルツェン氏はさらに、何人かの目撃者から、4月22日の衝突で2人のチベット族住民が軍と警察に殴打されて死亡したという証言を得ている。
ノルウェー・チベットの声4月29日の報道によると、チベット亡命政府のチベット婦女会の責任者チョガ・ラモ(卓嘎拉姆)さんは、インドを訪問中の四川省・蒋巨峰省長とニューデリーで会談し、現在緊張しているアバ県の情勢緩和を請願する書簡を提出。蒋省長はこの書簡を受け取ったという。
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