【大紀元日本8月9日】広東省江門市局は今月初め、狂犬病予防対策として、同市内3つの区でいかなる犬も所有することを禁じた。この犬所有禁止令の実施により、ペットとして飼われているのも含め、約3万6000匹の犬を今月26日までに当局は処分するという。しかし愛犬家からは反対の声は強く、感染症の専門医や獣医らからは、処分という極端な対応を疑問視する声が聞かれる。
江門市局によると、今月26日までに同市江海区と蓬江区、新会区で発見するいかなる犬も、押収されるかあるいは処分される。例外として、資産5万元(約60万)以上の会社には番犬として犬を所有することが許可される。
地方紙・江門日報(電子版)8月2日の報道によると、市局はこの法令について「社会秩序と公衆衛生を確保し、住民のために健全な環境を創るため」と犬の処分理由を公表しているが、蔓延する病気の専門家らは「短絡的な判断であり、法令を実行するのには非現実的、しかも非人道的」と市の決定を否定的に見ている。
約400万人が住む江門市では、過去3年間で42人が狂犬病で死亡した。
江門動物疾病管理センターの李局長は環球時報の取材に対し、「犬を飼う前、もし病気の場合には安楽死させる、ということを飼い主に約束させている。私たちは犬が処分されないように、より健全な他の方法を模索中だ」と話した。
犬の排泄物や鳴き声を不満に思う住民は、市の決定を支持している。しかし愛犬家は、「区内のすべての犬を殺してしまうなんて、やりすぎだ」と嘆く。
中国経済の発展と共に個人収入が増加したことで、ペットとして犬を買う家庭が急上昇した。同時に、中流階級の間では、動物の権利と愛護について関心が高まっている。
中国疾病予防控制センターの陳博士は、「これ(犬禁止令)は実行にあたり現実的ではないし、人道的でない」と非難している。陳博士は、短期的には効果があるが、やがて人々は犬を飼い始めると予測している。さらに、「犬を押収したり処分したりするためだけに、当局が個人宅のドアを蹴破って侵入していくなんて、法令の実行自体が難しいだろう」と述べ、「予防接種のほうが、安く済むし効果的だ」と付け加えた。
中国健康部(日本の厚生労働省に相当)によると、狂犬病による死者は2007年には3300人で、2008年には2466人と減少している。
中国在住で動物愛護国際基金獣医アドバイザー、カティ・レフラー博士は英紙ガーディアンの取材に対し、「ここ数十年の経験で、犬の捕獲処分は狂犬病予防に全く効果がないことが明らかになっている。管理機関がとるべき予防方法は、大規模な予防接種だ。さらに、噛み付きなど迷惑行為をする犬の飼い主への教育指導である」と述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。