中国各地で今冬、感染症の流行が急速に拡大している。特に小児を中心に重症化事例が相次ぎ、集中治療室(ICU)への入室や死亡例も確認されるなど、深刻な状況となっている。
中国の疾病対策当局が公表した統計によると、直近3か月間におけるA型インフルエンザの重症による入院、集中治療室(ICU)への入室および死亡例は、前年同期比で40.2%増加した。今シーズンの流行規模は、当局の監測データ上、過去4年間で最も高い水準に達しているとされる。
現在、中国で検出されているウイルスの大半は、A型インフルエンザの一種であるH3N2型であり、全体の95%以上を占めている。感染力が極めて強く、発症後短時間で高熱を呈しやすい点が特徴とされる。
また、変異が生じやすいことから、過去の感染やワクチン接種によって獲得した免疫が十分に機能しない可能性も指摘されている。
複数の医師は、H3N2型は重い肺炎や脳炎などの合併症を引き起こしやすく、命に関わるケースも少なくないと警鐘を鳴らす。命を取り留めた場合でも、後遺症の恐れがあるという。
北京や上海などの大都市では、子ども専門病院の救急外来が連日混雑している。学校や幼稚園では集団感染が相次ぎ、上海では「学年の大半が欠席や隔離状態になった」という保護者の証言も出ている。
特に5〜14歳の年齢層で感染率が高く、教室単位、学年単位での広がりが目立つ。
複数の保護者によると、当初は普通の風邪のように見えた症状が、1日から2日で急変した例があった。突然、高熱や意識障害、けいれんを起こし、脳炎や重い肺炎と診断され、ICUで生命維持装置につながれた子どももいるとされる。
一方、中共の官製メディアの報道では、流行の深刻さは比較的控えめに伝えられている。医療現場の医師や保護者が感じている危機感との間には、大きな隔たりがあるとの指摘も少なくない。
専門家は、感染が広がるほどウイルスは変異しやすくなり、状況がさらに複雑化する恐れがあると警告する。

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