対台湾兵器売却に反発する中国 「アメリカ雇用創出を混乱」で報復を示唆

2011/09/14 更新: 2011/09/14

【大紀元日本9月14日】中国政府は、米オバマ大統領が台湾へ更なる兵器売却を続ければ、中米関係は悪化するとし、圧力をかけている。

中国共産党の機関紙・人民日報は9日、「アメリカの議員は火遊びをしている」との表現を使い、米防衛産業のために台湾へ武器売却を促進している米国議会議員の動きを非難した。

台湾の領有権を主張する中国は、対台兵器売却案について「アメリカは後悔することになる」とし、その報復としてアメリカ国内の雇用問題に触れた。「中国は、24万人の米国人に職を失わせるだけの力がある。アメリカの雇用創出を混乱させることができる」と、10日の人民日報には記されている。

報復について中国は、オバマ大統領が昨年1月、F-16戦闘機を含む総額64億ドルの最新鋭武器を台湾に売却すると発表して以来、その可能性をほのめかしていた。オバマ大統領の発表に対して北京当局は「強烈な憤慨」を駐中国米大使に伝えるとともに、軍事や産業などに係る報復措置の発動を示唆した。米中軍事協力関係は、1年間凍結した。

9日付けの人民日報に記された「アメリカの議員」とは、5月、台湾海峡の平和安定と維持のため、新型戦闘機の売却に同意するようオバマ大統領に連名書簡を送付した上院議員45名を指すと見られている。米国議員40人以上が連名で大統領に書簡を送ることは極めて稀だ。

その一人であるテキサス州出身のジョン・コリン上院議員はさらに今月12日、「売却案が無くなればアメリカの産業は犠牲になる」とし、大統領は新型戦闘機の売却案を強硬に進めるようにとの議案を提出した。テキサス州には航空機・宇宙船開発製造企業ロッキード・マーティン社がある。

コリン議員は5月の連名書簡の中で、「売却案の消滅はアメリカ外交政策において、共産中国に(台湾海峡の)支配権を与えることになる」とも警告していた。

これに対し台湾外交部は、台湾海峡の平和・安全への関心を具体的な行動で支持表明したことに感謝の意を示し、今後も引き続きアメリカと協力して国防・安全保障を増強していくと伝えた。台湾は、アメリカにとって最大の武器売却の相手国であり、米国債保有では世界5位の国である。

痛みを感じるまで叩かなければ-「中国の声」掲載 国民扇動

米軍トップのマレン統合参謀本部議長が7月に訪中した際、人民解放軍の陸・海・空軍施設および潜水艦基地を視察し、この際中国当局が米メディアに同行取材を許可していたことから、南シナ海問題で凍結した米中軍事関係はある程度雪解けに向かうかに見られていた。しかしアメリカの対台武器売却案の最終決定締め切りを目前にして、再び両国の軍事関係は冷却し始めた。

人民日報は「中国の声」を代表する論者の話として、ペンネーム「中声」のコメントを掲載した。同氏は「米国議会の中の一部の狂人が騒動を作りあげ、ガンを広げている」とし、「この狂った考えが実現すれば、中米関係がどのような苦しい状態に陥るか分からないのだろうか?」と米国議員の動きを激しく批判した。

また同紙英語版は8月に、同様にアメリカを強く非難する、ペンネーム「Ding Gang」の評論「アメリカが台湾に武器を売るなら罰するべき」を掲載した。「対台兵器売却によりアメリカは雇用を創出することができるだろうが、(中略)この問題の本質は、一部のアメリカの議員が中国の利益に対して侮蔑的な態度を示していることだ」とした。また、「彼らが痛みを感じるまで叩かなければ、中米関係はジェットコースターの如く落下するだろう」との強い言葉を使い、北京当局の報復を匂わせた。

この人民日報などが行っている「中国の声」意見の掲載は、中国共産党による中国国民の扇動手段として、しばしば使われる。

オバマ大統領の最終決断まで、あと20日

バイデン副大統領は8月下旬のアジア歴訪の際、対台売却案の是非について、政府はまだ最終決断に至っていないとロイター通信に対して述べていた。

その後、米国政府は、最新型戦闘機・F-16C/Dを66機、80億ドル相当の兵器売却か、あるいはすでに台湾が購入済みの146機のF-16A/Bの改良を行うかについて、10月1日までに案件の詳細を明確にすると発表した。

もし売却されたとしても、台湾海峡防衛の安全保障について必ずしも有効ではないとの見方も出ている。台湾紙・台北タイムズの副編集長J.M.コール氏は6日、「台湾はスパイゲームに負けている」と題する米ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿記事のなかでこう主張する。

「台湾の機密漏えいはザルのごとくますます酷いものになっている。兵器技術が一旦台湾へ売却されれば、『中国には渡らない』として米国政府や武器メーカーを安心させることはできないだろう。これには新型F-16C/Dのみならず、最新鋭の電子レーダーを搭載する改良型F-16A/Bの技術も含む」

コール氏の主張は「現実と合致しない」として台湾与党・国民党の激しい反発を買った。台湾行政院新聞局は同紙に記事撤回広告を出すよう要請している。しかし野党・民進党は、「与党は台湾における中国のスパイ活動を見過ごしている」と指摘し、コール氏の意見に賛同する者も少なくない。

最新型戦闘機の売却を米国に求めている馬英九・台湾総統だが、米中関係の変化により、アメリカからの武器購入はますます困難になりつつあると、7月にウォール・ストリート・ジャーナルの取材に答えている。

アメリカによる対台武器売却案により、2大国に股がる台湾の安全保障はますます複雑化している。オバマ大統領の最終決断まで、あと20日と残されていない。

(翻訳編集・佐渡 道世)