<赤龍解体記>(38)薄煕来、18大常務委員入りで必死の闘い

2011/10/31 更新: 2011/10/31

【大紀元日本10月31日】来年10月に開催の中共18大における、7名の新しい常務委員補欠選挙では、太子党および毛派の代表とされる薄煕来が、最も有力な候補の1人と思われていた。しかし最近、日増しに白熱化している中共内部の激闘情勢からすれば、薄煕来の優勢は次第に衰微し、そして彼はすでに弱体化されたという説もある。そこで、劣勢に陥った薄煕来は異常な政治姿勢を打ち出し、たとえ政敵と共倒れになってもいとわない決闘の意志を示したものと思われる。

先日、薄煕来は「全国省級中共機関紙編集長会議」の代表と会見した際に、「執政者として、もしいつも考えすぎて優柔不断であり、いつも小心翼々で自分の身を守り、またはひたすら自分が順調に昇進するのみを考えるのであれば、どんなことも成就できない」「でたらめなことを言う人がいるが、中国人はこんなに多いから、陰口などは避けられるものか」と述べた。

彼のこの発言は胡錦濤への牽制、とりわけ温家宝の「文革余毒」論への反撃であったと思われる。

今年4月23日、温家宝は今の中国に警戒すべき二つの勢力があり、一つは封建主義の余毒であり、もう一つは文化大革命の余毒である。この二大余毒により、人々は本当のことを言わず、決まり文句と大きな口ばかりたたいていると指摘した。温家宝の鉾先は重慶で「唱紅打黒」(革命歌の熱唱とマフィア組織の取り締まり)をもって18代常務委員入りの入場券を手にしようとする薄煕来への批判だったと思われる。

香港紙「苹果日報」26日の報道によると、各派閥激闘の結果、中共18大の9名の政治局常務委員の選出は、「三三三原則」に従って決めるという。すなわち、胡錦濤の「団派」と太子党と他の派閥が、それぞれ3人を占めることで合意したという。団派は、李克強の他、李源潮と汪洋の入選はほぼ間違いないとされる一方、太子党は習近平の他、王岐山の入選もほぼ決まった。残りの1人は皆から注目される焦点となっている。

薄煕来は、「唱紅打黒」や「共同裕福」などの政治運動により、名はよく売れているが、しかし中共の指導層は彼のやり方を認めない。薄煕来の一連の政治的挙動は団派の恨みを買ったのみならず、他の派閥も彼の野心ややり方に警戒するようになったのである。そのため、太子党の中で、何時も控えめな兪正声(上海トップ)が太子党の第3人目として中共18大で政治局常務委員会に入る可能性が高まったという。

薄煕来の行方について、国際の中文系サイトは、情報筋によると「薄煕来は最近、政治的動きが目立ってはいるが、習近平の一貫して実務的な作風をもってみれば、彼らの挙動は結局無駄になってしまうだろう」と伝えている。

他のサイトも「中共指導部に近い人物」の話を引用し、江沢民は薄煕来と特別な関係を持つわけではないし、江沢民は実際、彼のやり方を感心もしない。それに、江沢民は薄煕来の未来の昇進について特別な面倒を見なかったし、かえって薄煕来はやりすぎで、人をやっつけるタイプだとしている。したがって、江沢民は薄煕来の後ろ盾になるわけはない、という。

今年の夏、中共は北戴河会議で18大常務委員人選について議論した際に、薄煕来を応援する者は一人もいなかったし、模擬投票でもビリになったそうである。つまり、薄煕来はこの北戴河会議で最大の敗北者になったのである。

上記のような背景で、薄煕来が18大で常務委員になろうとすれば、敵陣に肉薄するしかない。薄煕来の近年の一連の政治的パフォーマンスについて、中国時事評論家・朱建国氏は、このことは彼の常務委員入りが阻まれていることを裏付け、よってこういった活動を以って世論の支持を得て、背水の陣に立ちむかったのだろう。

中国問題専門家謝田教授は次のように見ている。薄煕来が胡錦涛と温家宝を赤裸々に批判するようになったというのは、中共の内部闘争がすでに白熱化し、薄煕来は共倒れになっても辞さない決意をしたことの端的な現れである。しかし、こういった状況は、中共の歴史において未曾有のことである。これまでは、彼らは中共の利益を配慮していたが、今は一切配慮しなくなった。

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