天安門広場前に停まる公安車両。参考写真(Ben Burkland/Carolyn Cook/Flickr)
【大紀元日本3月2日】北京で3日に開催される予定の中国当局主要会議「両会(人民代表大会・人民政治協商会議)」。今年も例年通り、直訴者の取り締まり、人権活動家への監視などが進められており、中国は物々しい雰囲気に包まれている。
指導部の任期交代を行う今回の両会は、「この10年間で最も重要な会議」と位置付けられた。地元紙の報道によると、北京市政府は2月20日に準備会議を召集、会期中の社会安定維持について、「最重要任務だ」と語尾を強めた。
毎年、両会の開催間近になると、中国各地の直訴者たちが北京市に押し寄せる。自分たちの抱えている問題を指導部に訴え、解決してほしいと懇願するためだ。捕まれば地元に強制送還されるが、それでも微かな望みを捨てられず、彼らは毎年やってくる。
一部の直訴者によると、地元当局から誓約書の署名を強要された。そこには「両会期間中に、北京に行かない、陳情しない、過激な言論を発さない」などが記されている。
また、市は周辺地区に警察を大量に派遣した。私服警官や警備員、直訴者を探し出して地元に連れ戻すための地方当局の関係者も大勢配置した。
人権団体からの情報によると、地方からの十数人の直訴者は25日、米国大使館の門前に集まり、米国側に自分たちへの人権侵害、理不尽な処遇に目を向けてほしいと請願したが、全員が武装警官に強制連行された。
「直訴者に家を貸すな。違反者に罰則」という内容の北京当局の通達書(人権団体提供)
直訴者が集中する市内の一部地域では、彼らへの貸家を禁止する通達書が貼り出されており、夜中の突撃捜査は度々行われ、拿捕された大勢の直訴者はトラックに乗せられ、各地方に連れ戻されるという。ある女性直訴者は、「陳情資料のコピーもできない。店の人は警察に命じられて、コピーさせてくれない」と声を細めて語った。
また、「社会の不安定要素」とレッテルを張られた人権活動家、民主化活動家らは、厳しい監視と行動の制限を受けている。
活動家らに法的支援を行うとして、当局に目を付けられた北京在住の丁家喜弁護士もその中の一人。2月25日夜から、毎日24時間体制で彼には「付き人」がついている。「仕事中も例外ではない。このような処遇は両会閉幕まで続くであろう」と苦笑いする彼はVOAの取材に対して、胸の内を明かした。「無実の人間の行動自由を制限するのは、れっきとした違法行為。これは中国の現実、中国人として受け入れざるを得ない部分だ。しかし、すべての中国人は現状を変えようと努力するべき。当局はいつも恐怖感を抱いている、まるで末期のがん患者のようで、政権の崩壊を恐れている。実際には、この微々たる数の政治異見者、人権活動家はその政権を覆せるわけがない」
昨年11月、習近平氏が党総書記に就任後、人権活動家や政治異見者らへの厳しい制限が緩和されるではないかとの期待はあった。しかし丁家喜弁護士は「私たちの勘違いだった。習・総書記が『直訴者を止めたり、強制送還したりしない』と宣言したけど、新指導部もまったく変わっていない」と失望の表情をのぞかせた。
「『人民代表』との肩書きだが、実際に人民自身が選んだわけではないし、私たちの声を代弁するはずもない」とある直訴者がVOAの取材で怒りを顕わにした。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。