【大紀元日本12月5日】先月行われた三中全会で、夫婦のどちらか一方が一人っ子であれば第2子の出産を認めることが決まった。条件付きとはいえ、長年人権侵害の「悪法」として世界中から糾弾されてきた「一人っ子政策」は撤廃に向けての第一歩を踏み出した。市民はさぞ喜んでいると思いきや、そうでもないらしい。あるネット調査によると、80%の親は経済力を理由に「第2子を考えていない」という。
北京にいる兄の子育てを見てこの結果に納得。今年4歳の姪が生まれてから、国産粉ミルクへの不安から、外国産粉ミルクを並行輸入業者を通じて2歳まで取り寄せていた。近くの公園にはブランコなどの遊具がなく、時々有料の室内遊び場に連れていく。プールが好きな姪を「鳥の巣」で泳がせたら、1回400元(約6400円)と月収5000元の兄にとって決して安くない。3歳になって幼稚園に預けたが、中国では会社が近くの幼稚園に入園を斡旋しているので、会社の近くまで連れて行くために、マイカーも購入した。「一番お金がかかっている」と兄は嘆く。
大都市では、子供を成人まで育てるのに49万元がかかると中国社会科学院が調査した。第2子となると、100万元を用意しないといけない。これでは、サラリーマンにとって負担は重い。
ただ、逆から考えれば、お金があれば第2子を育てられることになる。いままでも罰金を払って二人目を生んだ芸能人はたくさんいた。罰金にしても子育てにかかるお金にしても、子作りは中国では金持ちの「特権」となった。
今、一人っ子政策違反として話題になったのは有名な映画監督、張芸謀。張監督は2011年に再婚した女性と3人の子供を設け、罰金を支払わなかった。新聞各紙は早速、監督の推定収入で罰金を試算し、7千万元や、1.6億とそれぞれ数字こそ違うが、どれも巨額に上る。渦中の張監督は「いかなる懲罰も受け入れる」と事実を認め、謝罪した。
しかし、「人こそ国の財産だ」と主張し、張監督はすでに悪化した出生率に貢献したとして咎めるべきではないとの声が上がっている。「中国の万古千秋にかかわる問題で、裁判を起こしてまで当局と戦ってほしい」と北京大学の教授は張監督にゲキを飛ばした。
「人が多いと、戦争のときに有利だ」という毛沢東の発想で中国の人口は50年代の5億人から急増し、1979年から一人っ子政策の実施を開始した。30数年ぶりの政策の見直しも、親が生んだ子供の数によって左右される。基本的人権である家族計画は国に操作され、市民は振り回されるばかりだ。名監督の張芸謀でもこの運命から逃れることができなかった。
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