【大紀元日本3月16日】元最高指導者・江沢民氏(89)の牙城である上海市の規律検査委員会は10日、市の10の政府機関に対して査察を行うと発表した。その多くは江氏の子息らの支配を強く受けていることから、一族への逆風が強まっているとみられる。
中国メディアによると、5月までの2カ月間、党員の腐敗を監督する同委員会の10の巡視チームは、それぞれ市の教育、都市建設、司法、経済などを主管する市政府機関に進駐し問題の有無を調べるという。
2003年に上海市高級幹部らの汚職を告発したことで「国家機密漏えい罪」で3年間の懲役刑に服した弁護士・鄭恩寵氏(65)は大紀元の電話取材に対し、「これらの市直属機関の多くは、江沢民氏の息子らと密接な関係にある」と指摘した。
市の経済分野には、長男の江綿恒氏(63)が強い力を持つ。1994年、長男が今回の調査対象である「上海市経済信息化委員会」傘下の国有企業、投資コンサルタント会社「上海市聯合投資公司」のトップに就任し、中国電力通信業界の国営大手に次々と投資した。それにより、長男は業界の利権をほぼ独占でき「電信王」の異名を付けられた。
長男をめぐっては、今年1月、政府の最高研究機関「中国科学院」上海分院のトップを年齢上の理由で退任し、電力通信業界の上層部幹部が相次ぎ取り調べを受けているなど、不利な状況が続く。
一方、市の都市建設領域は江氏の次男、江綿康氏(61)の勢力地盤である。
上海市規律検査委員会トップの候凱党委書記は中央規律検査委員会トップの王岐山氏と近い関係にあるとされ、2013年に同ポストに就いた。当初から、江沢民一派の基盤を崩すための人事と思われ、就任後「上海は桃源郷ではない、(汚職取締りの)蚊帳の外ではない」などと発言していた。
(翻訳編集・叶子)
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