【大紀元日本6月16日】米紙ニューヨーク・タイムズは15日付社説で、「中国の株ブームを心配する」と述べ、「中国株式市場の動きはむしろ奇妙で不可解なものだ」と指摘した。今、中国景気の減速感が強まる中、中国株式市場は高騰しており、株価の推移は右肩上がりに伸び続けている。これはおそらく、巨大なリスクが潜んでいるとみられる。
中国株は過去12ヶ月間で147%の増加(2.47倍)となった。相場の持続上昇に賭ける個人投資家の多くは貯蓄預金を株に投入したり、資金を借り入れ、株式購入に充てたりしている。中国指導部は株式市場の大幅上昇に警戒を払っている。大幅上昇の後に大幅反落が始まる可能性があるからだ。中国株式相場がいったん大きく反落した場合、家庭の資産状況や国の金融システムに大きなリスクがもたらされる。
中国株価が一段高となった原因は、経済活性化を目的とした中国政府による銀行融資拡大によるものとされている。5月28日付ブルームバーグの報道によると、証券会社の信用取引融資は同月27日まで、前年比5倍増の計2兆元(約40兆円)超に達したという。株式購入にかかわる実際の債務規模はもっと大きい。一部の投資家は銀行や身内から資金を調達している。
中国株式市場の最近の動向によると、中小企業や業績好調でない企業の株価が大幅に上昇しているにも関わらず、大企業の株価上昇はそれほど芳しくない。NYタイムズ紙によると、これは中国株価市場に潜むリスクの芽であり、投資家が短期収益追求の衝動に駆られ、財産を失う危険を冒すことを物語っている。公式発表データによると、6月5日時点で中小企業や新興企業が上場する深セン市場平均株価収益率(PER)は143倍超と、大型国有企業中心の上海市場水準(約25倍)を大きく上回る。一方、米S&P500指数のPERはがわずか約21倍程度だった。
中国経済が成長している場合なら、株ブームは筋が通っていると思われる。しかし、中国経済は安定しておらず、厳しい下押し圧力に直面している。国際通貨基金(IMF)は15年の中国の成長率は6.8%まで鈍化する可能性があると予測した。こうした状況下、中国の株式市場は反落どころか、合理的でない活況を呈している。
中国株が上がり続ける原因について、投資家らは価格下落が止まらない不動産に見切りをつけ、代わりに株式市場から高いリターンを望み、株への投資を始めたとの見方もある。
中国政府と証券規制当局は現在、株式市場での投機を抑えるための措置を講じている。しかし、中国では、株式購入資金は依然として融資で容易にまかなうことができる。中国政府が打ち出した利下げ預金準備率引き下げなどの金融緩和政策、様々な景気刺激策によって、資金調達がより容易になる。これは投資家の高揚感や株式市場の過度膨張に結びつけたものだと見なされている。
過去の例として、中国株は2006年から2007年にかけて、相場が急騰し、その後、大暴落したという大波乱に見舞われた歴史がある。中国政府は当時、融資規制を厳格に実施していたため、株価急落による金融システムへの損傷は大きくなかった。しかし、今回の中国株の急騰は、大きなリスクを抱え、広い範囲に影響を及ぼすことが予想される。
また、中国の「株ブーム」はこれまで、中国国内だけの問題とされているが、中国国外の投資家ないし世界経済にとっては、潜在的に緊要かつ切実な問題となる可能性があるとの見方もある。
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