人はどこから来るのか。なぜ思考するのか。この意識はどこから来るのか。こうした疑問への回答を模索しているのは、心理学や生理学、哲学といった心の分野の専門家だけではない。物理学の立場から、生命の謎を明らかにしようとしている研究者もいる。
自然科学から精神世界まで、幅広い記事を掲載しているウェブサイト「コレクティブ・エボリューション」が報じたところによると、人類はその長い歴史の間、死後の世界についても様々な探求を行ってきた。その中でも一番の難題は「人が死ぬと、その意識はどこへいくのか?」というテーマだ。
意識はどこからくるのか
人の意識は大脳から生まれるのだろうか。それとも、意識は大脳がどこかから受け取っている情報なのだろうか。仮に意識が大脳から生じていないのだとすると、人の肉体は意識にとって必ずしも必要なものではない、ということになる。そして、意識は肉体から抜け出すことのできる、それ自体が単独の存在なのだということにもなる。
20世紀の著名なドイツ人科学者で、量子物理学の基盤を固めたマックス・プランク博士は意識について次のような見方をしていた。
「私にとって、『意識』の模索は最も根源的なテーマ。 全ての物質は意識の産物に過ぎません。私たちは意識の根源を探求することはできない。認識できる万物の存在は、すべて意識に基づいているから」
ここ数年、物理学の観点から、意識についての熱い議論が繰り返されている。2010年、再生医学の専門家であるロバート・ランザ氏は、量子力学と天文物理学理論に基づき、生物中心論という理論を発表した。同氏は、生と死を研究することでしか、宇宙の本質を正確に探究することはできず、意識とは、物質的な宇宙をリードする存在だと説明している。
ランザ氏の理論によると、人の意識は肉体の消滅と共に消え去ってしまうのではなく、人の死に伴って存在する場所を変えるだけで、決して大脳から生じているものではない。
大脳や人体を超越する意識
同ウェブサイトはさらに、心理学や医学分野で行われてきた臨死体験の研究結果も、生物学的観点から、人の意識は大脳の機能だなどと安易に定義できるものではなく、意識とは大脳や人体といった物質的な存在を超越していることを示している。
米国の医師、ジェフリー・ロング博士はその著書『God and the Afterlife(邦題:臨死体験 9つの証拠)』で、4000例の臨死体験によって、大脳が全く機能していない状態でも、人は見たり聞いたり、時には実際の情景を認知することができることまで裏付けられていると論じている。そして、無神論者を含む大勢の人が臨死体験中に神の啓示を受け、蘇生した後にその時に見たこと、考えたこと、聞いたこと、感じたことを思い出し、生き返ってからの生活や世界観が一変していることも挙げている。
また、米バージニア大学の精神科・神経科教授、ブルース・グレイソン氏もかつて米国で行われた会議で、「臨床現場で遭遇した多くの臨死体験から、現在の科学はいわゆる物質世界の範囲に限定されており、精神世界の研究に踏み込んではいない。だが人の意識は精神世界の中で起きていることであり、物質的な現象ではない」と述べている。
(翻訳編集・島津彰浩)
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