中国メディアは内政問題から目を背けさせ、国民のうっ憤を晴らすために、外国企業を批判するプロパガンダ・キャンペーンを適宜行っている。3月15日の中国「消費者の日」では、中国中央テレビが消費者視点から外国企業を猛烈に批判する、恒例番組を流す。今回の対象はTHAAD(サード、高高度防衛ミサイル)配備を進めるのに協力した韓国大手ロッテが濃厚とみられ、そうなればロッテの中国市場でのダメージは避けられない。
CCTVの番組でやり玉に挙げられた企業は、中国市場での売り上げ激減と信用の失墜が避けられなくなる。 法的に問題がなくても、中国の消費者たち(実際にはネット水軍が多い)の抗議が殺到し、中国マーケットでのプレゼンスは急転直下する可能性が高い。
韓国国防部は2月28日、ロッテの所有するゴルフ場をTHAAD敷地として用地交換契約を結んだことを明らかにした。これに反発する中国では、旅行当局が韓国行き旅行商品の取り扱い停止したり、ネットユーザがロッテ商品の不買運動の呼びかけしたりするなど、両国関係は険悪さを増している。
国営放送「3.15晩会」の恐るべき影響力
CCTVによる毎年の恒例番組「3.15晩会」では、民衆の怒りや不満を大企業や外国企業に向ける。過去に取り上げられた企業は次の通りで、日本の企業も犠牲となっている。
放送以降、錦湖タイヤの中国でのプレゼンスは低下。今年1月、韓国紙・毎日経済新聞が伝えたところによると、錦湖タイヤ買収をめぐって中国企業3社が入札競争を展開しているという。
ロッテの中国市場の今後は
ロッテには不穏さが募っている。瀋陽に3兆ウォン相当を投入して建造される予定の複合施設「瀋陽ロッテタウンプロジェクト」は昨年12月に一時中断している。ロッテグループの主力流通系列会社ロッテショッピングは同計画について、これまで不振だった中国ビジネスの転機となると期待していた計画だった。
韓国金融監督院が発表した昨年のロッテショッピング半期報告書によると、中国でのビジネスを進行中の従属法人は合計27社、過去2015年末の基準全体の資産総額は2兆35億ウォンに達する。昨年半期基準で残っている従属企業の資本金総額は1兆3233億ウォンで、これまで清算した法人まで考慮すると、これまで中国での累積損失額は約1兆ウォンに達するという分析もある。
ロッテ側は「中国事業はまだ初期段階で、投資費用が大きい」「現在の現地化と店舗移転などの事業改善の只中にある。中国はあきらめることができないマーケットとして長期的な観点で見なければならない」と述べた。
業界の関係者は、「中国政府の目に見えない制約や規制はすでに数年前からあった」「中国当局の政策と消費者マーケットの間に乖離が存在するため、営業戦略や品質競争力に応じて克服していかなければならない」と強調した。
(翻訳編集・斎潤)
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