台湾の警察は18日午前、台北市にある総統府の憲兵を刃物で切りつけた無職の男(51)を逮捕した。男の所持品や逮捕後の供述から、中国共産党イデオロギーに傾倒していたと見られ、台湾ネットユーザは容疑者を「党の宣伝に毒された男」と例え、危険思想を非難した。
逮捕されたのは台湾籍で北投区在住の無職・呂軍億容疑者。中国共産党の旗である五星紅旗と遺書を所持していた。台湾メディア・中央社が報じた遺書の内容によると、「総統府に五星紅旗を掲揚する」「剣をあえて見せつける。銃剣(暴力)は赤い(血)ことを示す」などの共産党イデオロギー支持を示唆する内容が記されていた。
また、容疑者は毎日、中国中央テレビ(CCTV)を視聴していた。2001年、中国海南島の東南の海上で、米偵察機に空中接触して死亡した中国人民軍パイロット・王偉を英雄視していたという。
当局の発表によると、犯行動機は「政治的な立場を示すため」と供述している。また、容疑者が凶器に利用したのは、近くの「国軍歴史文物館」に展示されていた、日中戦争時の旧日本軍の軍刀。犯行当日、ガラスケースをハンマーで割り、盗んだことを認めている。
総統府は当時、親子デーとして建物の一部を開放していた。来訪者のケガ人は報告されていない。
ネットユーザたちは、容疑者について「XX(共産)党は奴隷化する洗脳に成功した」「宣伝効果を確かに目にした」「本土ニュース(CCTV)を毎日見たから、日本の軍刀で台湾憲兵を切りつけるような、信じられない神経の人間になった…」と、思想の問題を指摘した。
中国国内では共産党宣伝部による検閲・統制でメディアの自由なく、プロパガンダの色合いが強い。2009年、北京のベテラン・メディア関係者の凌滄州氏ら、中国文化界および法曹界など28人は、「中央テレビ局を排斥、洗脳を拒否」と題する声を発表。「人民日報」や中央テレビ局などの中国官製メディアの捏造、虚偽を告発した。また、見ない・聞かない・購読しない・買わないなどの方法でこれらのメディアをボイコットを呼び掛けた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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