台湾の国家安全保障当局は、電子機器受託生産世界最大手の鴻海精密工業(ホンハイ)に対し、中国国有半導体メーカー、紫光集団への出資計画を撤回するよう求めている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)10日付が報じた。
鴻海は先月、子会社を通じ7億9800万ドルの出資によって紫光の2番目の株主になった。しかしこの計画は、台湾経済部(省)投資審議委員会の承認が必要となる。
FT紙は台湾当局者の話として、当局は承認しない方針だと伝えた。
別の関係筋によれば、投資審議委員会はまだ鴻海の出資計画を正式に審議していない。総統府国家安全会議と対中政策を担う行政院(内閣)大陸委員会の高官は、この計画を中止させる必要があるとの認識を示した。
台湾国家安全保障当局は同計画について調査を進めているという。
ペロシ米下院議長の台湾訪問後、台湾海峡の情勢が一段と緊張した。こうした状況下で鴻海の紫光集団への出資は「ますます困難になる」と情報筋は述べた。
台湾側は、鴻海側の資金が、ハイテク分野で世界の覇権を握ろうとする中国政府に流れるのではないかと懸念している。鴻海は現在、生産ラインを少しずつ中国以外の国と地域に移管している。ただ、依然として75%の生産能力を中国本土に残している。
台湾では中国のスパイ活動に対する懸念が強まっており、昨年9月、半導体など先端技術の不正持ち出しを防ぐ法律を強化することが提案された。
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