米上院議員らは2日、中国共産党が台湾侵攻をした場合、米中間の金融取引をすべて断つという「壊滅的な」ダメージを与える制裁法案を発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて中国共産党が台湾への武力侵攻に踏み切るとの懸念が高まるなか、抑止力を高めることを狙う。
法案はリック・スコット上院議員ら3人が共同提出した。中国共産党の台湾攻撃に対する処罰に曖昧さを残してはならないとし、財産取引のほか制裁対象者の株式・債券への投資を禁じる。さらに、台湾に対する武力行使に関与した中国人のビザの取り消しや入国を制限する。
大統領が当該制裁を実施する時期については、米国の国家安全保障上のリスクを軽減するためにも台湾侵攻の発生から30日後と義務付けた。
スコット氏は、法案成立により「ロシア軍による侵略を真似れば経済的な孤立と厳しい金融制裁を受けることになる」という強力なメッセージを中国共産党に送ることができると強調する。
中国共産党は台湾への威嚇を強めるなど、台湾統一には武力行使も辞さない構えを示している。この2年間、中国軍機は台湾の防空識別圏(ADIZ)への侵入を繰り返しており、その数は昨年961回に上った。1日には中国軍機延べ8機がADIZに侵入した。
ウクライナ侵攻を受けて台湾の蔡英文総統は2月24日、国家安全保障会議で軍や関係部門に警戒と監視の体制強化を命じている。
米国は1979年に定めた台湾関係法に基づき、台湾に自衛手段を提供することが義務付けられているが、台湾有事に際しての対応については明確にしない「戦略的曖昧さ」と呼ばれる政策を取ってきた。
法案立案者の一人、ジョン・ケネディ上院議員は中国共産党が台湾への軍事圧力を強めている状況から「これまで以上に台湾への武力侵攻が中国経済に壊滅的な打撃を与えることを明確にする」必要性が高まっていると強調した。
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