北朝鮮が、香港に100社を超えるペーパーカンパニーを設立し、金正恩体制における核兵器開発のための資金を調達している。米CNNが報じた。北朝鮮への資金源を断とうと国際社会は制裁を試みるが、数多くの抜け穴により資金ルートの遮断にいたっていない。
CNNは16日(現地時間)、「アジア国際金融の中心地である香港が、北朝鮮政権のマネーロンダリングの中心(hot spot)になった」とその実態を報じた。記事によると、「香港ウナフォルテ有限責任会社(Unaforte Limited Hong Kong)」は、北朝鮮と連携した幽霊会社、いわゆる「シェルカンパニー(shell company)」で、北朝鮮の国際金融ネットワークアクセスにおいて入口の役割を果たしているという。
資産や事業活動がない、表向き(殻)だけの会社を意味するシェルカンパニー(フロントカンパニーとも呼ばれる)は、それ自体は合法だ。しかし、不法資金の助成や租税回避、所有権隠蔽などのための悪用方法になっていることが多い。実際、ウナフォルテは、国連の対北制裁の専門家パネルが、最近発行した2件の報告書から、北朝鮮の羅先経済特区に銀行を開設したことが明らかになっている。国際貿易法の専門家クリストファー・ウォール弁護士は、「国連安保理違反事案だ」と指摘する。
米NPOセキュリティデータの分析企業C4ADSは、香港に160社もの北朝鮮シェルカンパニーが存在していると推定した。米ワシントンDCの金融制裁分析の専門会社サヤリ・アナリティックスも、100社を超える香港企業が北朝鮮の制裁対象と関連があると見ている。
CNN報道によると、北朝鮮と違法取引をしたことが摘発されて、金融制裁を受けた中国の丹東鴻祥グループは13社のペーパーカンパニーを香港に設置し、このうち11社はウナフォルテから遠くないところに位置しているという。
規制の緩い香港「正体と国籍を隠そうとする北朝鮮にはうってつけ」専門家
北朝鮮の2015年輸出額は、23億8000万ドルで、石炭が34%、衣類が25%を占めている。これらの企業は、北朝鮮の石炭・燃料売買および武器販売など、国際社会が禁止した貿易の大部分を行う。米財務省のマンデルカー次官(テロ・金融情報担当)は先月29日、上院聴聞会に出席し、「北朝鮮政権は、商品やサービス購入のためにフロントカンパニーを使用し、その他の不正な金融慣行を通じて国際金融システムにアクセスする」と述べた。
香港が北朝鮮ペーパーカンパニーの「隠れ家」として脚光を浴びる理由について、国連専門家パネルの、ヒュー・グリフィス氏は「香港は北朝鮮に最も近い海外の金融センターでありながら、北京よりも規制が緩いため」と分析した。
ウナフォルテの登記をみると、一人の名前とカリブ海地域のパスポート番号のほかに、何の情報も登録されていない。グリフィス氏は「(会社設立・運営が容易という)条件は、企業の背後にいる力の正体と、国籍を隠そうとする北朝鮮にはうってつけだ」と説明した。
中国には北朝鮮関連企業300社以上
さらに、このような北朝鮮の会社は香港だけでなく、中国にも300社以上もあるとされる。サヤリ・アナリスティックスのジェシカ・ナイト氏は「香港と中国の(北朝鮮と関係する)企業は社主及び役員を共有するなど、すべて緊密に連携しており、一つの大規模な北朝鮮ネットワークの一部として運営される」と述べた。北朝鮮の資金源を遮断するのための国際社会の制裁にもかかわらず、香港が北朝鮮の中心的な「資金流入」の経路になっている。
(翻訳編集・齊潤)
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