台湾民間シンクタンク、国策研究院文教基金会は27日、「クアッド4カ国首脳会議と中国脅威に関する座談会」を開催した。参加した専門家は、日米豪印4カ国の枠組み「クアッド(QUAD)」と新設された米英豪3カ国の枠組み「オーカス(AUKUS)」は、覇権的な動きを続ける中国共産党に対抗する取り組みで、それぞれの役割を分担しているとの見方を示した。
27日の座談会に出席したシンクタンク「台湾智庫」の頼怡忠執行委員は、「米英豪3カ国の共同声明をみると、オーカスは軍事同盟であることがわかる。英国も今後、インド太平洋地域で軍事的な役割を担う。同時に、(原子力潜水艦の取得で)この地域における豪州の軍事防衛力がさらに強まる」と述べた。
今月15日、米英豪の首脳は共同で会見を開き、3カ国による「インド太平洋地域の平和と安定の維持」に向けた新たな安全保障枠組み「オーカス」を創設すると発表した。首脳らは今後、人工知能(AI)、サイバー空間、水中防衛力などの分野で技術を共有していくとした。米英両国は、豪海軍の原子力潜水艦の取得を支援すると表明した。
台湾中山大学の中国およびアジア太平洋地域研究所の郭育仁教授は、クアッドが軍事同盟ではないため、軍事・安全保障に焦点を当てたオーカスが設立されたと分析した。
頼氏は、米国と豪州との原子力潜水艦技術の共有について注目した。「米英豪の首脳は創設声明を通して、豪州が今後、対中で軍事行動を起こす可能性があると暗に警告したのだ」
また、頼氏は、「どの国とも軍事同盟を結ばないというインドの一貫した外交姿勢」が、クアッドが軍事枠組みになれない理由だとした。
「インドはクアッドの主導国ではない。インド側はこれ以上クアッドにコミットすると、将来自分らがコントロールできない展開に巻き込まれるのではないかと心配しているだろう。オーカスの設立によって、クアッドが軍事同盟に発展する可能性はさらに低くなった」
また、24日に発表されたクアッドサミットの共同声明は、「技術標準の策定に関しては、われわれは、開放的で、包摂的で、民間主導で、マルチステークホルダーによる、コンセンサスに基づくアプローチを促進するため、特定セクターに関するコンタクトグループを設立する」とし、重要技術分野での協力を進めていくことを強調した。
郭氏は、同声明は「中国側が長年、欧米各国の重要技術を窃盗してきた問題について、日米豪印4カ国は具体的な対策を制定していることを意味し、共通の技術標準を作っていくだろう」と指摘した。
郭氏は、オーカスとクアッドのそれぞれの役割分担をみれば、「米国は各同盟国に明確に細かく役目を分けたと見受ける」とした。
(翻訳編集・張哲)
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